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魔王就任 【討伐編】  作者: 市太郎
おいでませ御一行様
15/31

魔王様と討伐隊 □ 14

 イシュ、シャイア、ガルマと共に執務室へ戻ると、用事を頼んでいた淫魔族のステアーナ侯爵が待機していた。

「ステアーナさん、もう戻ったんだ? 仕事早いねぇ」

 低頭しているステアーナ侯爵へは、楽にするよう告げながら自分の椅子にと座る。

 彼は、私の侍女を勤めてくれるリリアーレのお父さんであるが、はっきり言って見た目二十五歳前後にしか見えない。

 リリアーレも、二十歳ちょいの綺麗なお嬢さんにしか見えないのに、二人並んだら兄妹としか見えないんだけど、彼は立派なお父さんなのである。

 淫魔族は総じて『美』という文字が良く似合う一族なんだけど、イシュが『絶世の美青年』とか『超絶の美青年』とするならば、ステアーナ侯爵は『凄い美青年』といった感じ。

 まぁ、ステアーナ侯爵も大変美しいお顔と素晴らしいボディをお持ちなのだが、イシュを前にしてはその美も多少は霞んでしまうのだ。

 これが魔力の差というヤツですね。

 前髪は少し長めだけど、後ろは襟足で揃えられたサラサラのプラチナブロンド、薄い赤紫の瞳をしている。

 背丈も一八〇センチはあると思うんだけど、着痩せするタイプなのか少し細身に見える。

 ステアーナ侯爵はちょっと貴公子というか、穏やかな風貌をしているから優男って印象も受けるんだけど、何せ淫魔族ですから性質は勿論黒い。


「お茶をお淹れしましょうか?」

「さっき飲んだばかりだからね、ありがとう。で、どんな按配だった?」

 イシュの問い掛けには緩く頭を振り、ステアーナ侯爵からの報告を促す。

 本来であれば、本日はお日柄も良く的な口上から始まるのが彼等の流儀らしいのだけど、はっきり言ってその時間が無駄なので、仕事に関してであれば禁止している。

 当初、イシュは立場がとかうるさかったけど、最近は諦めたらしく何も言わない。

「はい。ゴハ月から行われている召喚に付いてですが、確認致しました所、同じ屋敷で繰り返し行われておりました。ノクレアン国の王都ではありますが、中心街から少し離れた閑静な場所でございます。敷地もかなり広く、外からは様子は伺えませんし、屋敷もそれなりの大きさでございました。召喚の陣が組まれておりました場所は、屋敷の地下でございます。今回は陣の有無に付いてのみとの事でしたので、様子だけ確認してまいりましたが、今迄使用していた陣から、更に大きな陣へと組み直してありました。贄の数も多いかと思われます」

「何人位の贄になりそうか分かる?」

「凡そ、二十~二十五人といった所でしょうか。陣の組まれておりました部屋もかなり広く、儀式に加わる人間の数もそれなりに多いかと推測致します」

 ステアーナ侯爵が報告を終えて低頭した。

「いかが致しますか?」

 イシュの問い掛けに唸る。

「まぁ、ラズアルさん達の出方次第なんだけどねぇ……。個人的にはお灸を据えたいと思っているんだけどさ」

「お灸ですか?」

 何、それ? という顔が四つ並んでる。

「あー……要は少し懲らしめてやりたいなぁ、とね?」

「成る程。では、蘇生魔法を掛けてじわじわと内臓を腐らせるとかはいかがでしょうか。或いは、光も射さない真の暗闇の中で、死ぬまで水滴を垂らし続けるという方法も、人間にはかなり堪える事と思いますが」

「我が一族で、生きながらに食い千切ってやりましょうか?」

「それならば、妾一族にてじわじわと締め付けてやるのも一興よのぅ」

 頼りになる大公等からの提案には、常ながら目が据わってくるんですが全てに却下を出す。

 誰が拷問方法を提案しろと言ったのよ。

「そういうんでなくて……ん~……生きながらにして不名誉を背負うって言うのかな?」

 彼等に分かり易い例えで言ってみる。

 まぁ、魔族なので名誉の有り方が少々異なったりもするんだけど、私が言いたい事は何となく伝わったらしい。


「あ、そうだ。ステアーナさんには引き続き仕事をお願いしたいんだ。四日後にあると思われる召喚が終わり次第、魔族を呼び出す召喚の類を全て回収したいんだけど、それって可能かな?」

 取り合えず、どのようなお灸にするかは後で考えるとして、昨夜から考えていた事をステアーナ侯爵に聞いてみた。

 魔族の性質上、召喚した魔族へのお願い事なんて碌なモンじゃないんだから、召喚する事が出来なくなるのであればそれに越した事は無いと思うんだよね。

「我等魔族を召喚する陣は、口頭では正しく伝わりませんので、人間界にある陣が書かれております書を回収すれば宜しいかとは思いますが、呼び出す種族に寄ってまた陣が異なって参ります。淫魔を召喚する陣でございましたら、ワタクシが責任を持ちまして回収致しましょう。しかし、獣族、鳥族、蛇族方の陣に関しては、申し訳ございませんがワタクシでは力不足でございます」

 本当に遣る瀬無い表情で謝罪するステアーナ侯爵には、私は慌てていやいやと手を振る。

「淫魔の分だけでも十分だから。うん。じゃぁ、そっちは宜しく頼むね?」

「ワタクシめに『頼む』等とは、勿体無いお言葉でございます。魔王様直々のご命令ならば喜んで務めさせてさせて頂きます。魔王様のご期待に添えられるよう、必ずや全ての書を回収して参りましょう」

 深々とお辞儀をするステアーナ侯爵に、またもや宜しくとつい言ってしまいながら、イシュに報告書を提出して去って行くステアーナ侯爵を見送る。

「んで、召喚の陣が書かれている他の書とやらも回収出来るかな?」

 からかい混じりにシャイアとガルマを見れば、頼もしい返事を貰えたので任せる事にする。

 この件に関しては、後程サナリにも伝えて貰うようお願いした。

 伝言ついでに、ラズアルさん達が魔界に住んでる人間と会いたいのであれば、案内もしてあげるようにお願いしておく。

 そんな所で目下片付けなければならない件は、淫魔を呼び出そうとしている阿呆共への制裁である。

 ラズアルさん達の話し合いがどのような結果になるかはまだ分からないし、実際誘拐されたお嬢さん達が贄となっているとも限らないんだけど、それはそれ、これはこれである。

 まだ少し時間もある事だし、どのようなお灸であればダメージが大きいのか、またその影響に付いても色々と考えないといけないしね。

 取り合えずは、昼食の時間がかなり過ぎているので、腹拵えとする事にしたのだ。

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