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 探索の成果

 俺はピクリとも動かなくなったゴブリンから手を放す。

 フーッ、と一息ついてから、顔を上げて立ち上がる。  


 少し離れたところではスラ太郎が、もう一匹のゴブリンの息の根を止めていた。


 直接は見ていないが、だいたいの気配からスラ太郎の戦いは把握している。

 片目を潰されてのた打ち回っていたゴブリンに、体当たりを執拗にくり返し、さらに弱ったゴブリンの顔面に取りつき溺死させていた。


 ただその際に、ゴブリンから爪攻撃を食らっていたので、そこそこのダメージを食らっているようだ。


 俺はスラ太郎を『鑑定』して様子を確かめる。


*************************

従魔      スライムLv03   


名前   スラ太郎   

HP 09/38  MP 09/13  FP 04/10


スキル

体当たり 異物消化


才能

水属性

*************************


 思った以上にダメージを受けていた。

 俺は持ってきていた回復薬を二つ取り出すと、一つを自分で食べてもう一つをスラ太郎に差し出す。

「これ、食えるか?」


 スラ太郎は差し出された回復薬を身体に取り込む。 

 回復薬はすぐに消化されて、スラ太郎の減っていたHPが全快している。


「MPは……やっぱり、回復しないか――」


 俺が使用した時も、MPとFPは回復しなかった。


 回復薬も作り慣れてきて品質が上がったので、ひょっとしてと思ったが……。

 今のところ、MPの回復は時間経過による自然回復しかない。



 攻撃魔法とか使えるようになれば、MPの回復手段も欲しいところだが――

 よく考えると、MPを使って作る回復薬でMPが回復できてしまっては、ゲームバとして破綻してしまう。


 この世界は女神メルドリアスが創った世界だということを踏まえ考えると、MPの安易な回復手段は無いのかもしれない。


「回復薬も実際に使ってみると、結構なチートなんだよな」



 薬草は回復の効果はあるが、文字通り『薬』程度の効能しかない。

 

 しかし、薬草を魔力で加工した回復薬は次元が違う。

 俺が先ほどゴブリンから受けた無数の傷や打撲ダメージは、もうほとんど回復してしまっている。

 回復薬は『魔法』の品なのだ。



 これを作れることは秘密にしておいた方がよさそうだ。

 俺はまだこの世界の奴隷制度に詳しくない。

 レア能力を持っていると知られると、どんな扱いになるか分からない。


「自分の情報は慎重に扱わなきゃな」


 さて、考えを巡らせている間に、体の傷も完全に塞がったようだ。

 俺は目の前に転がっている、ゴブリンの死体を観察する。


 ん? ――あれ? 


 こいつらが着ていた、革製の鎧が消えてる。


 そういえば、こん棒もなくなっているな。

 倒したら消える仕様なのか。

 装備をはぎ取れないのか。


「そこら辺も、まだよく解らんな」


 俺は魔石の位置を探し出すために、ゴブリン目がけて魔力を薄く広く放出する。

 すると狙い通り、ゴブリンの身体に埋まっている魔石が反応を示した。

 魔力の扱いも、だいぶと慣れてきた。



 それと――


 ゴブリンの死体の傍らにも何か反応があった。

 そこには短剣が落ちていた。

 俺はそれを拾い上げて『鑑定』する。


*************************

鉄の短剣   所有者 ユージ  

強度  306

耐久値600/600

品質A

*************************


「ドロップアイテムってことで良いのか?」


 ゴブリンが落とした物なのに、品質はAなのか。

 しかも丁寧に鞘まである。


 せっかくなので、俺の『専用装備』に指定した。

 この鉄の短剣も、魔石のように異空間に出し入れできるようになるかな?


 早速、試してみる。

 魔石の出し入れと同じ要領で、短剣も異空間に収納することが出来た。

 取り出すときは鞘付きか抜き身、自分のイメージで好きな方を選べる。


「これで装備品の、保管場所の心配はなくなったな」


 俺は鉄の短剣を使ってゴブリンの身体から魔石を取り出した。

 魔石値は二匹合わせて39だった。



 そういえばスラ太郎の特技に『異物消化』というのがあった。


「スラ太郎、こいつら食うか?」


 問いかけると、スラ太郎は俺の手に付いているゴブリンの血を拭い取る。

 その後でゴブリンの死体に取りついた。


 そのまま暫く血や肉を捕食していたが、満腹になったのか残りのゴブリンの死体を放棄して俺のそばに戻ってきた。


 とりあえずスラ太郎のエサは、魔物の肉で良いようだ。



 俺は農場の柵を乗り越えて、奴隷小屋へと向かう。


 スラ太郎はどうしようかと迷ったが、普通に柵を潜り抜けて入ってきた。

 俺の従魔になったから、女神の結界の影響を受けないようだ。


 鑑定してみても、特に異常はなかった。



「俺の方もチェックしとくか」

 俺は夜の暗闇を歩きながらステータスウィンドウを開いた。



*************************

名前  ユージ

HP 59/59  MP 07/63  FP 36/49


幸運力 

058~-011


スキル

空間移動 危険感知


所持品

魔石値   0000076

回復薬 3個


借金 金貨52枚 銀貨1枚 銅貨69枚


才能

大魔導士の卵 戦神の欠片 強欲な器


職業  

労働奴隷Lv09(従順03) 農夫Lv06 薬草採取者Lv03 薬師Lv03 

戦士Lv06 剣士Lv01 武闘家Lv01

魔法使いLv02 魔物使いLv01

探索者Lv02  斥候Lv03  隠密Lv01 暗殺者Lv01

遊び人Lv03

*************************



*************************

専用装備

鉄の短剣


装備

奴隷の服 奴隷の靴


*************************



 職業が大幅に増えてレベルアップもしている。

 今回の探索は大成功と言っていいのではないだろうか。


「けど、やっぱ比較対象が欲しいな」


 ゴブリンとはなんとか戦えたけれど、まだまだ戦士としてはレベルが低いと思う。

 その辺をクサンゴさんに聞いてみるか――。

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