表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メルドリアスの遊戯世界  異世界転生ハーレムキャラバン  作者: 猫野 にくきゅう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/50

 山賊が現れた 4


 問題はどうやって、山賊討伐を進めるかだ。


 山賊の根城は恐らく、アカネルとモミジリのオシッコポイントの先の、けもの道の奥だろう。

 そちらに向けて魔力探知を打てば、所在ははっきり掴める。


 しかし、それと同時に、敵がこちらの存在に気付く恐れもある。


 魔力感知能力の、高い奴がいればだが――

 敵の下っ端に魔法使いがいたので、俺も慎重になっている。



 山賊達は寄せ集めの集団らしく、練度はバラバラだった。


 ――先ほど倒した三人は、結構強かった。


 親分がどの程度の強さなのかは、判らない。



 やはり、気になるのは――

 魔法使いを、配下に従えていた点だ。


 山賊の親分は、それが出来るだけの強さがあるのだろう。

 

 






 俺はけもの道から、外れて――

 草木の生い茂る、山の中を歩いている。


 隠密結界を張って、魔力探知を短く飛ばしながら、慎重に進む。


 俺の左斜め後方には、松明の明かりが見える。

 アカネル、モミジリ、イルギット、サリシア、ナーズ、ラズ、リズの七人が、けもの道を通って進んでいる。

 

 俺の左前方に、魔力反応があった。

 罪科ポイントの多さから、山賊の一味だと思う。


 松明を持ってけもの道の先の、アカネル達のいる方向へと進んでいる。


 俺は山賊の後ろへと、回り込むように移動する。

 






 山賊は立ち止まり、前方の松明の明かりに向かって、小さく口笛を吹く。

 山族同士が、仲間かどうかを確かめるための符丁だろう。


 前方の明かりからは、何のリアクションもない。

 山賊は警戒して、腰に差しているシミターを抜き放つ。


 俺はそのタイミングで、後ろから山賊の首を、剣で切断して刎ね飛ばした。


 山賊が大声を上げる前に、始末することが出来た。


 ――順調だ。

 このまま、こちらの存在を敵に気付かれることなく、アジトに接近することが出来れば、有利に討伐を進められる。




 ラズとリズは、馬車に乗せられていた。

 ――馬車で、けもの道は通れない。


 山賊は二人を山の奥のアジトではなく、サイザルの壁外地区に運ぼうとしていたのではないか――

 ひょっとすると、そこにも山賊のアジトがあるかもしれない。 


 アカネルとモミジリにシミターを突き付けた三人組の役割は、小鬼族の捕虜の確認とアジトへの報告だろう。


 報告係の三人がいつまでも帰ってこないので、様子見の人員を手配した。


 それが、さっき殺した奴だ。



 ――推測だが、大きく外れてはいないだろう。







 俺の推測が正しければ――

 アジトにいる山賊達も、何かしらの異変は察知しているかもしれない。


 様子見の斥候がいつまでも帰ってこなければ、警戒を強めるはずだ。


 俺は確実に奇襲をかける為に、足早に山の中を進んだ。


 





 茂みに潜んで、前方を見る。


 森が開けた場所に崖と、崖を抉る洞窟があった。

 アカネルたち七人には、俺のさらに後方で、待機するように言ってある。



 山賊のアジトだと思うが、見張りは立っていない。


 不用心すぎる。

 ――というか、魔物が入っていかないのだろうか?


 何かの罠の、可能性もあるが――

 いつまでも洞窟の様子を見ていても、埒が明かない。



 俺は悩んだ末に、広域探知を使うことにした。


 敵に気付かれるリスクはあるが、洞窟の中には山賊以外にも、ラズやリズのように攫われた人間がいるかもしれない。


 いきなり、無差別攻撃は出来ない。





 俺は魔力探知を洞窟方向へと放ち、中の様子を探る。


 洞窟内には、罪科ポイントの高い人間が十六人いた。

 ひと際、戦闘能力の高い奴もいる。


 こいつが親分だろうか?


 山賊のアジトで、間違いないようだ。

 囚われている様な、普通の奴はいない。



 しかし、こいつらは総じて、罪科ポイントが高いな。

 チームとして行動した場合は、連帯責任なのかもしれない。



 俺はそんなことを考えながら、自身の魔力を火属性へと変化させる。

 今の探知に気付いた奴がいれば、隠密行動に意味はなくなる。


 なるべく早く、奇襲攻撃すべきだ。


 俺は両手に一つずつ、炎の球を作る。


 一発ずつ時間差で、洞窟の中へと投げ込んでやった。




 炎の球は、俺のイメージ通りに――

 着弾と同時に、爆発するように燃え広がった。


 洞窟の中が、赤く光る。

 中にいる山賊たちの、悲鳴と怒声が聞こえる。


 俺は少し思いついたことがあり、洞窟の入り口の前まで移動する。

 魔法で作った炎の壁で、洞窟の入り口を塞いでみた。



 

 魔力探知で、大雑把ではあるが内部構造が解る。


 洞窟内は入り口から一本道で、奥の方でいくつか道が別れて、その先に、部屋があったりするが――

 外に繋がる出入口は、ここ以外にない。



 魔法で作った炎も、空気中の酸素を消費している。

 ここでこうして、出入り口を炎で塞いでいれば、山賊の残党を完封できるはず――


 暫くそうしていると、奥の方から山賊がこちらに向かって走ってきた。

 しかし、炎の壁に気付くと立ち止まり、右往左往し酸欠で倒れだす。


 これで決着がついてくれれば、楽なんだが――





 しかし、そう上手くはいかなかった。


 一人の巨漢の男が、大きめの盾を構え――

 炎の壁を突き破り、俺に向かって突進してきた。


 ――早いッ!!


 山賊の親分の、タックルが迫る。


 ドガッ!!!


 俺は躱すのは無理と判断し――

 衝突の瞬間に、自分で後ろへ飛んで衝撃を逃がした。


 しかし、それでもHPの三分の一が、一気に削られた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ