☆農場主の娘
クサンゴさんが農場を去ったこともあり、朝食と夕食をアカネルとモミジリと一緒に取るようになった。
二人との行動時間が多くなってから、視線を感じることが増えた。
今も少し離れた林の茂みの奥から、強い視線を向けられている。
俺は広域探知を使って、相手を確認する。
「また、あいつか……」
探索時は魔物の魔力に反応するように設定しているが、人間相手でも使用できるし、薬草を探すときにも利用している。
俺を監視する存在は、この農場の農場主の娘。
名前はイルギット・ブトゥーン。
戦闘能力は58。
年齢を考えると結構強い、戦士団と剣の稽古を積んでいる成果だろう。
あいつは以前から、俺をマークしていた節がある。
とうとう農場の管理サイドも、俺を不審に思い始めたのか?
さて、どうする。
彼女は朝の剣の稽古が終わってから、ここに来ているようだ。
剣と防具を装備している。
まあ武装していようと、俺の敵ではない。
力づくでどうとでも出来るが、後のことを考えるとそれは下策だろう。
出来れば、穏便に済ませたい。
何とか誤魔化して丸め込めればいいのだが――
といっても、相手が何を不審に思い、俺を嗅ぎ回っているかが分からなければ、手の打ちようもない。
今日の夕食の後にでも、接触してみるか……
俺は農作業へと向かった。
夕食を食べている最中に、視線を感じた。
イルギットだ。
俺は食器を洗い場で片づけると、物陰に入り隠密結界を張った。
そのまま、視線を感じた先へと向かう。
茂みに潜む、少女を発見。
この農場の主アレット・ブトゥーンの娘のイルギット・ブトゥーンだ。
朝と同じように、武装している。
一人でぶつぶつ言っているので、聞き耳を立てる。
まずは、情報収集だ。
「あれ? 戻ってこないわね。どこにいるのかしら? はっ、まさか、あの女たちに言い寄られてるんじゃ……やっぱり、お父様にお願いして、あの二人は売り払った方がいいわね。なんでか聞かれると困るけれど、でも……」
あの女たちというのは、アカネルとモミジリのことだろう。
売り払う、とか言ってる。
あの二人をか?
それは困る。
止めるように、交渉しなければ……。
俺はイルギットに、声をかける。
「ちょっといいか? 話をしたいんだが――」
「ひゃっ……」
後ろから声をかけた為、驚かせてしまった。
イルギットは驚きでビクッとなった後で、こちらを振り向き俺の姿を確認すると、驚きと喜びの表情を浮かべた。
「やっと私に会いに来たわね。遅いのよ。もう! でも許してあげるわ。」
やっと……?
待ち合わせなど、していないが?
「……? まあいい。それで……その、俺たちの今後のことを……」
「そうね。私達、結婚しましょう」
結婚……?
「は? いや、売るとか何とかいう話なんだが――結婚? 私達って、俺は奴隷なんだが――?」
「……ッ、そ、そうね。お父様は許してくれないかもしれないわ。それで私を諦めて、あの二人と仲良く……」
待ってくれ。
「諦めるも何も、俺は――」
「そうだわ。私達、駆け落ちしましょ! 主人の娘と奴隷の禁断の恋!!」
俺はあの二人を売るのを、止めて欲しいだけなんだ。
話を戻そう。
「いや、だから待ってくれ。君は何を言ってるんだ?」
「なによ。今更怖気づいたというの? この意気地なし! いいわ、それなら」
イルギットは俺を無視して、一人で勝手にストーリーを進めると、おもむろに腰に差している剣を抜き放つ。
「あなたを殺して、私も死ぬわ!!」
「どうしてそうなる!!」
思い込みが激しいタイプなのだろうが、いささか常軌を逸している。
だが、彼女の作ったストーリーを聞いていると、どうやら俺のことが好きらしいということは解った。
一緒に死んでやることは出来ないが、俺の女にはしてやろう。
剣を振り上げて、斬りかかってくるイルギット。
戦いは避けられないと判断した俺は、空間探知を展開して攻撃に備える。
イルギットは俺に向かって剣を振りかぶりながら距離を詰め、絶妙なタイミングで斬り下ろしてきた。
予想よりも早く綺麗な動きだが、俺は余裕をもって左に躱す。
躱した俺を狙って、イルギットは剣を横薙ぎに振るうが――
その時にはすでに俺は後ろに下がって、間合いの外にいる。
相手の動きを空間探知で正確に読み取り、攻撃を先読みして躱していく。
イルギットは農場主の娘として剣術の訓練を積んできたのだろうが、一人で魔物と戦い続けた俺とは、戦闘経験の質も量も違い過ぎた。
イルギットがどれだけ攻撃を繰り出しても、俺はそのすべてを紙一重で躱す。
十分ほどそうしていただろうか、イルギットは体力は限界を超えて汗だくになり、肩で息をするようになった。
そろそろ頃合いと見た俺は、イルギットの攻撃時にこちらから間合いを詰めて、手首を掴んで足を払い押し倒した。
俺は倒れたイルギットの上にそのまま乗って、両手首を掴んで押さえつける。
「俺の勝ちだ――」
「くっ……」
悔しそうに、顔を背けるイルギット。
俺はイルギットが身に着けている、鎧に手を伸ばす――
チュンチュン、と雀が鳴いている。
俺は農場の小高い丘の上にある、領主の館へ続く林の中で目を覚ました。
昨日はイルギットと決闘を行うことになり、勝利した俺が彼女をモノにした。
そして今日、爽やかな朝を迎えている所だ。
「おい、そろそろ起きろ」
俺は隣で全裸で寝ているイルギットの尻を、ぺちん! と叩いて起こしてやる。
彼女の尻には、俺の性奴隷の証であるハート型の印が浮かび上がっている。
「ん、んぅう――はっ! …………あ、ああっ!」
「よう、おはよう。いい朝だな」
「――お、おはよう。そ、その、あの……き、昨日は……」
「もう、一緒に死のうとか言うなよ」
「い、言わないわよっ、で、でもどうするのよ。これから――」
「ノープランだ。勢いでやっちまった」
「カッコつけて、無責任なこと言わないでよ!」
「唐突に無理心中しようとした奴に、言われたくはないな。――で、これからのこと以前に……昨日から家に帰ってないけど、大丈夫か?」
「そ、それは平気だと思う。ここに来たのは訓練と夕食の後だし、これから帰って見つかっても……早起きして散歩してたことにすればいいわ!」
「そうか……じゃあ、とりあえず俺たちの関係は秘密にしておいて、将来のことはこれからゆっくり考えよう」
俺は問題の先送りを提案する。
「え、ええ。そうね」
どうにかイルギットと、話を付けることが出来た。
これから――か。
さて、どうしたものか――
借金を返し終わってから性奴隷三人を引き連れて駆け落ち、というのが無難なところだろうか。
「まあ、とりあえず服を着ろ」
俺はイルギットの、尻を叩いて促す。
彼女は俺を一睨みしてから、慌てて服を着た。
そんなことがあってから、イルギットは暇を見つけては、俺に会いに来るようになった。俺の性奴隷仲間として、アカネルとモミジリにも引き合わせた。
最初はお互いを威嚇し合っていたが、イルギットに二人の剣の稽古を任せてから徐々に打ち解けるようになってきた。
木の棒を三つ用意して、三人で剣の稽古をする時間を設ける。
素振りや筋トレなんかの基本トレーニングから入り、実戦形式の打ち合いをする。
模擬戦は経験者だけあって、最初はイルギットが圧倒していたが、しばらく練習を重ねると、二人ともいい勝負が出来るまでに成長した。
三人が剣の稽古をしている時間に、俺は農作業をしている。
その日はたまたま、俺の農作業の終わりと、三人の稽古の終わりが重なった。
俺は三人を林の中に連れ込んで、並べて尻を露出させる。
転生したら、奴隷だった。
その境遇にもめげずに、三人の性奴隷を持つまでになった。
俺は三つの尻を眺めながら、我ながらよくやったと感慨にふける。
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名前 ユージ
HP 112/112 MP 126/126 FP 114/114
幸運力
058~-011×2
スキル
空間移動 危険感知
所持品
魔石値 0035334
回復薬 6個
性奴隷
アカネル モミジリ イルギット
借金 金貨24枚 銀貨3枚 銅貨90枚
才能
大魔導士の卵 戦神の欠片 強欲な器
職業
労働奴隷Lv16(従順-56) 農夫Lv13 薬草採取者Lv12
戦士Lv19 剣士Lv17 武闘家Lv16 弓使いLv13 槍使いLv14
魔法使いLv20 魔術師Lv17 魔物使いLv15
探索者Lv19 斥候Lv18 隠密Lv20 暗殺者Lv17
遊び人Lv26 ギャンブラーLv23 ハーレムマスターLv19
薬師Lv18 錬金術師Lv20 鍛冶師Lv20
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季節は秋になっていた。




