ゴブリン小隊
今日は綺麗に満月が出ていて、夜でも比較的明るい。
俺は農場の東の平原へと、狩りに来ている。
モンスターのドロップ装備狙いなので、第二領域まで行く予定だ。
出発地点でいきなりモンスターを発見。
俺は前方にいたコボルトを、弓で射抜いた。
当たり所がいいと、弓でも一撃で倒せる。
まあこの辺にいる魔物は弱いから、というのもある。
回収した魔石の魔石値は8だった。
この辺でも最弱の部類だが、弓の練習の的としては丁度いい。
俺はコボルトに刺さっていた矢を回収して状態を確かめる。
使えそうならそのまま再利用するし、矢じりが潰れているだけなら錬成で形を変化させて元に戻せば使用可能になる。
矢は消耗品なうえに、現状では補充が効かない。
回収できるものは、回収して使用している。
「またドロップしてくれると、いいんだけどな――」
弓は初めて使った時から、すでに実戦で使える腕前だった。
さらに練習して、『弓使い』のレベルを上げようかと思ったが――
最近は夜に用事が増えた。
弓の修練は、実戦と兼ねればいいだろう。
週一のペースで、アカネルかモミジリの寝床に行って、夜這いを仕掛けている。
この世界に転生して、目標だった女をようやく手に入れたのだ。
戦闘だけではなく、そちらも楽しみたい。
とはいえ、現状で子供を作る余裕はない。
理性が働いて最後の一線は越えないが――
満足は出来ている。
夜の用事も疎かには出来ないので、弓は実戦で経験を積んでいくことにした。
広域探知を使い、魔物の集団を探す。
装備目当てで、優先してゴブリンを狩りたい。
ここから北東に一キロの地点に五匹の魔物の集団がいるのを見つけた。
ゴブリンの群れだ。
俺は魔物の集団に向かって移動を開始した。
敵の集団まで三百メートルのところまで来た。
そこで弓を装備して、木の陰に隠れて様子を見ることにした。
魔力で視力を強化して敵の戦力を確認する。
ゴブリンは先頭の奴が松明を持って、隊列を組んで移動している。
先頭で松明を掲げて盾を持った奴が一匹、剣を持った奴が二匹、槍を持った奴が一匹、最後尾に弓を持った奴が一匹。
ここから三百メートルなら、山なりに飛ばせば矢はギリギリ届く。
松明の明かりを目印に、俺は矢を連続して射っていく。
隠密結界は使わない。
弓を射るたびに破れてしまうので、その度に張り直すのはナンセンスだ。
俺の射った矢のいくつかは、敵に刺さった手応えはあった。
しかしそれで倒せるほどの致命傷は、与えられていない。
ゴブリンたちは攻撃者に気付いて、こちらに向かって走ってきた。
俺はスラ太郎にこの場に留まるように命じてから、隠密結界を張りその場から左方向へと走って移動する。
二十メートル程移動してから、腹ばいになって地面に伏せる。
その姿勢のまま、弓と矢に闘気を込めて敵に攻撃する。
狙ったのは槍を持ったゴブリン。
俺の放った闘気を込めた矢は、先制攻撃の矢とは段違いの威力になっている。
ヒュゥオッ、と風を切り裂いてまっすぐに進み、槍を持ったゴブリンの頭部を吹き飛ばす。続けて二発目の矢を、盾を持ったゴブリンに向かって放った。
ゴブリンは革の盾を構えて身を守っていたが、俺の矢はその盾を貫いてゴブリンの身体に突き刺さる。
一撃で絶命させることは出来なかったが、致命傷を与えることは出来た。
残るゴブリンは剣装備のゴブリン・ウォーリア2匹と、弓装備のゴブリン・アーチャー一匹。
ゴブリンは矢の跳んでくる方向にいる俺を発見して、戦闘行動に移る。
弓装備のゴブリンは、俺に向かって矢を射かけ、残りのゴブリン二匹は剣を構えてこちらに向かって走り込んでくる。
居場所を特定された俺は、弓を仕舞って立ち上がり、はがねの短剣を装備して迎撃態勢を整える。
敵に弓兵がいる間は、自身の周囲に空間探知を展開しておくのも忘れない。
俺はゴブリン二体と対峙する。
流石に二対一は分が悪いが、俺には従魔が一匹いる。
ゴブリンの背後から、スラ太郎が体当たりを食らわせて敵を転倒させた。
断続的に繰り出されてくる、ゴブリンの弓攻撃は精度が甘い。
避けるまでもなく、外れることが多い。
たまに当たりそうになる攻撃もあるが、空間探知で飛んでくる矢を正確に把握できる俺は、慌てずに矢の軌道から自分の体をずらして避ける。
スラ太郎に不意打ちされたゴブリンは、まだ倒れている。
近接では一時的に、一対一の状況が生まれる。
今のうちに勝負を決めたい、俺は剣を持ったゴブリンとの距離を詰める。
近づいた俺に向かって、ゴブリンは振り上げた剣で攻撃してくる。
俺はそれを横に避けながら、右手に握った短剣でゴブリンの右の手首を切断した。
ゴブリンたちの装備は、全身を覆っているフルアーマーではない。
体の半分くらいは、鎧で覆われていないむき出しの部分がある。
俺は手首を切り落としたついでに、ゴブリンの首筋を切り裂いた。
これでコイツは死ぬだろう。
次はスラ太郎から攻撃されて、倒れている奴を始末する。
俺は飛んできた矢を短剣で弾いて、起き上がろうとするゴブリンの頭を蹴り飛ばす。俺に蹴られたゴブリンは、もう一度地面に倒れ込む。
ゴブリンの手首を足で踏み、剣を封じてから首に短剣を突き刺した。
「流石は、はがね装備だ」
闘気で覆わなくても、ゴブリンの身体を楽に切り裂ける。
これで近接のゴブリンは、全部倒せた。
残るアーチャーをどう倒すか――
顔を上げて敵を見ると、最後のゴブリンはこちらに背を向けて逃げ出していた。
俺は装備を再び弓に変えて、ゴブリンを的に矢を射続けた。
逃げる敵に八本矢を撃って、五本命中させることが出来た。
倒れて動かなくなったゴブリンのところまで行って、止めを刺して矢を回収する。
五匹のゴブリンに完全に止めを刺した俺は、戦利品を確認する。
ドロップアイテムは、念願の鉄の剣。
そして回収した魔石値は、五つで538だった。
それからもゴブリンやコボルトの集団を狙って、討伐を続ける。
季節は春になった。
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名前 ユージ
HP 87/87 MP 83/83 FP 91/91
幸運力
058~-011×2
スキル
空間移動 危険感知
所持品
魔石値 0011520
回復薬 4個
性奴隷
アカネル モミジリ
借金 金貨102枚 銀貨8枚 銅貨31枚
才能
大魔導士の卵 戦神の欠片 強欲な器
職業
労働奴隷Lv13(従順-13) 農夫Lv10 薬草採取者Lv10
戦士Lv15 剣士Lv13 武闘家Lv10 弓使いLv07
魔法使いLv13 魔物使いLv12
探索者Lv14 斥候Lv14 隠密Lv15 暗殺者Lv14
遊び人Lv18 ギャンブラーLv13 ハーレムマスターLv10
薬師Lv14 錬金術師Lv15 鍛冶師Lv13
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専用装備も充実してきた。
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専用装備
はがねの短剣 はがねの剣 はがねの槍 複合弓
こん棒
旅人の服 旅人のマント
革の兜 革の籠手 革の胸当て 革の腰当 革の膝当て 革の靴
革の盾 革のグローブ
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明日からの魔物狩りは西の森で行おうと思う。
農作業をしている時に、帰還途中の農場の戦士団を見かけた。
彼らは農場の北の街道周辺で、訓練を兼ねて魔物を間引いている。
魔力で聴覚を強化して彼らの話を盗み聞きすると、農場周辺のモンスターの減少を訝しんでいる様子だった。
奴隷の俺が魔物狩りをしているなんて、彼らには思いもよらないだろうが――
少しでも違和感を持たれているなら、狩場を変更した方がいいだろう。
それはそれとして――
今日の夜はアカネルの部屋へ行く予定だ。
性奴隷との営みも大切にしないとな。