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 漁夫の利

 性奴隷を所有したことで、対象の抱える借金ごと自分の物になった。


 ただし奴隷が働いて得た対価も自分の物になるらしく、借金の減額スピードは上昇した。俺たち三人は、金銭面でも一蓮托生になったらしい。



 この世界の労働奴隷と性奴隷の違いは――


 労働奴隷は雇用と扶養の契約。

 奴隷側は労働を提供して、雇用主は仕事と生活環境を提供する。


 性奴隷は所有と愛人の契約。

 奴隷は性奉仕を行い、主人は奴隷を所有する。


 自分なりに考察してみたが、合っているかどうかは判らない。

 大体はこんな所だと思う。

 




 ちなみに性奴隷二人のステータスは――


*************************

名前  アカネル (所有者ユージ)


HP 16/16  MP 08/08  FP 15/15


職業  労働奴隷Lv06(従順26) 性奴隷Lv02


平均戦闘ステータス   025  

*************************



*************************

名前  モミジリ (所有者ユージ)


HP 14/14  MP 10/10  FP 11/11


職業  労働奴隷Lv06(従順28) 性奴隷Lv02


平均戦闘ステータス   023 

*************************








 ここ三か月ほどは、農場周辺の北と東の平原で雑魚狩りをしてきた。

 地道に頑張った甲斐もあり、モンスター素材の在庫も充実してきた。

 そろそろ、戦う相手のランクを上げようと思う。


 とはいえ、山や森はまだ不安がある。

 上位モンスターの狩りは、東の平原の第二領域の入り口で行う。


 俺とスラ太郎は、連れ立って草原を進む。 

 途中でスライムに遭遇したが、敵の体当たりを待ち構えて、こん棒で迎撃し何事もなく倒した。

 

 農場から一キロ離れた場所に来た。

 前方に大きななめくじの魔物を発見する。

 探知で測った戦闘能力は280くらい、戦うと手こずりそうだ。


「あれは――、スルーだな」


 今回は手あたり次第に遭遇したモンスターと戦うのではなく、相手を選別する。


 今までの経験上、人型のモンスターしかアイテムをドロップしない。

 そろそろ、短剣以外の武器を手に入れたい俺としては、人型を狙って狩っていきたい。




「弱い奴は短剣とこん棒以外は落とさないからなぁ」



 俺は周囲一キロくらいを目安に広域探知を発動する。

 この辺りのモンスターは、広域探知に気付かない。

 ある程度は安心して使える。


 探知した範囲に、ちょうどゴブリンの集団を見つける。

 北西の方角に五匹が群れている。

 平均戦闘能力180前後の奴らだ――



 俺はスラ太郎に、そいつらを挑発して釣って来いと命令する。


 命令を受けても、スラ太郎は行きたくなさそうに渋っている。

 敵が集団だから、ビビっているようだ。


 なんとか『お前そういうの得意だろ? あんな奴ら楽勝だって――』とおだててその気にさせ、作戦を伝えて任務に向かわせる。


 手間のかかる奴だ。


 スラ太郎はゴブリンの集団にそっと近づく。

 そして、自身の体内で作成した酸を噴射した。


「グっ、グギャギャ、ギッ、ぎゃァーー」


 突然、霧状の酸を吹きかけられたゴブリンたちはパニックに陥る。

 その隙にスラ太郎は、大ナメクジがいた方角へと一目散に逃げだした。





 不意打ちを受けて混乱していた、ゴブリンの群れが落ち着きを取り戻し、スラ太郎への反撃に移る。

 ゴブリンの群れの装備は――

 剣2、槍1、弓2、で編成されている。


 近接武器を持った三匹のゴブリンが、スラ太郎を走って追いかける。


 その間に弓を装備した二匹が、スラ太郎へと弓を射る。

 夜間で視界が悪く、距離も離れている。

 弓はスラ太郎に当たらない。

 

 夜の暗闇もこちらに味方している。

 単にゴブリンの弓の腕が悪いだけかもしれないが――。





 ゴブリンから逃げるスラ太郎は、途中で遭遇した大ナメクジの後ろに、素早く回り込んで身を潜める。

 二匹のゴブリンの放った矢は、小柄で素早く動き回るスラ太郎を捉えることは出来なかったが、大柄で動きの遅い大ナメクジには命中した。


 矢で攻撃されて殺気立っている大ナメクジの方向へと、三匹のゴブリンがスラ太郎を追って走り込んでいく。

 大ナメクジは自分がゴブリンの群れに襲撃されたと勘違いして、その巨体でゴブリンにのしかかった。


 一匹のゴブリンが大ナメクジの下敷きになる。




 仲間を救出しようと、槍と剣を装備したゴブリンが大ナメクジを攻撃するが、大ナメクジの身体は、柔らかく滑っていて攻撃が通りづらい。


 その上、傷が塞がるのも早かった。





 五十メートル後方で、その様子を見ていた弓装備の二匹のゴブリンは、スラ太郎のことを後回しにして、仲間を援護するために大ナメクジを狙い攻撃し出す。




 俺は隠密結界を張ったまま、弓使いのゴブリンの後ろに回り込んだ。

 

「さて、いくか――」


 いや。

 ――少し早いか。



 もう少しゴブリンに、大ナメクジを攻撃させておきたい。

 しかし敵が分散しているこのタイミングで、確実に奇襲しておくのも魅力的だ。


 欲張りすぎて、敵が合流するのは一番避けたいからな。

 俺は二匹いるゴブリンの、左側の真後ろに陣取る。


 そして、はがねの短剣に闘気を込める。


 闘気なしでも行けるとは思うが、ゴブリンは革の胸当てを装備している。

 確実に一撃で心臓を貫きたい。



 二匹のゴブリンが同時に弓を放ったタイミングで、俺は短剣をゴブリンの心臓に突き刺した。


「ガッ!! グッ、ぐぇ……ッ」


 ゴブリンの発した断末魔のうめき声を聞き、もう一匹がこちらを振り向く。

 俺は心臓を貫いたゴブリンの死体を、もう一匹の方へと突き飛ばす。


 とっさに仲間の身体を受け止めたゴブリンの首筋を――

 俺は、はがねの短剣で切り裂いた。


 首を斬られたゴブリンは、血を盛大に噴き出してやがて死んだ。 


「おっ! ――」


 片方のゴブリンが弓をドロップしたようだ。



 大ナメクジと戦っている最中のゴブリンは、こちらの異変に気付いていない。

 今のうちに装備しておこう。



 弓と五十本の弓矢と、矢を入れておく筒状の入れ物がセットで手に入った。


 専用装備にすると、装備時に矢筒を背中に背負うか、矢を異空間から一本ずつ取り出すかを選択できるようだ。


 弓は今まで使ったことも練習したこともないが、戦士の職業補正で多少は使いこなせるようだ。敵との距離も五十メートル程ある。

 ちょっと練習がてらに使ってみるか。


  


 大ナメクジVSゴブリンの戦いは、大ナメクジの方が優勢のようだ。


 大ナメクジを的にするか。


 目標までの距離は五十メートル。

 直線でも行けると思うが確実に届かせるために、俺は少し山なりに弓を射る。

 俺の放った矢はしかっりと大ナメクジに突き刺さった。


「今度は直線でいってみるか――」



 それから俺は連続で弓を射続ける。


 大ナメクジの手前にいるゴブリン二匹は、弓の射線上にいるので当たるかもしれないが、別に構わない。


「フレンドじゃないから、フレンドリーファイヤーにはならない」


 大ナメクジは遠くからくり出される弓攻撃が煩わしいのか、攻撃のターゲットを俺に変更して、こちらに来ようとする。

 しかし目の前のゴブリンが邪魔で、その場から動けずにいる。



 このまま、大ナメクジを始末できるか――?

 ただ大ナメクジを倒すと、その後でゴブリンの相手をしなきゃいけなくなる。


 ……共倒れしてくれないだろうか。


 その時に俺は、ふと思いついた。

 弓に闘気を込めれば強力な攻撃が出来るんじゃないか?


 それで敵を、貫ければ――

 よし、やってみよう。



 俺は弓と番えた矢に、闘気を込めて弦を引き絞る。


「――これはかなりの威力が出そうだ」


 俺は狙いをゴブリンに定めて矢を放った。

 ヒュオッ!! 放たれた矢はゴブリンを貫き、ズボォォン!!!

 大ナメクジの身体にも、深々と突き刺さってダメージを与える。



「もう一発――」


 俺は最後のゴブリンと大ナメクジを射線に入れて、闘気を込めた矢を放つ。

 矢は一直線に飛んでゴブリンの身体を貫き、大ナメクジの身体を抉る。

 一石二鳥。


 これでゴブリン二匹は倒せた。

 もう一匹は大ナメクジの下敷きで、虫の息だろう。



 大ナメクジだけは、まだ生きている。

 邪魔なゴブリンがいなくなったので、俺への殺意を全身に漲らせて、こっちに向かって這い寄ってくる。


 地べたを這っているのに意外と早い、。

 俺は大ナメクジの頭を狙って、闘気を込めた矢を放つ。


 矢は大ナメクジの頭の半分を吹き飛ばした。

 しかし、それでも大ナメクジは死なずに、こちらに向かって這い寄り続ける。


「タフすぎるだろ。あいつ――」



 俺は装備を、弓からこん棒に切り替えて構える。

 大ナメクジの突進を避けながら、その巨体をこん棒で攻撃し続ける。

 二十数回殴りつけた辺りで、大ナメクジは力尽きて息絶えた。


 大ナメクジから取り出した魔石を鑑定する。


*************************

大ナメクジの魔石 (無属性) 

所有者 ユージ

魔石値 000187

*************************


 魔石値は187、ゴブリンの方はどれも120前後だった。


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