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(推定)恥ずかしがり屋の兄とのお買い物

更新が遅れてしまいすみません!

沢山の人、活気のある雰囲気、様々な趣のあるお店、そして決めつけは広場に並んでいる屋台。


「夏だ! 海だ! 食べ物だーっ!! いぇーい!!!」


「…一応言っておくけど…今は夏じゃなくて春先だし、ここは大陸の真ん中だから海もないからね」


街に着いて早々、馬車を降り久しぶりの街の雰囲気に浮かれていると、レイ兄様が折角の雰囲気を台無しにしてくれた。


…あ、レイ兄様に友だちが出来ない理由がわかっちゃったわ。全然空気が読めないのね!


「こういうのはノリなのよ! 一つは合っているのだからそれでいいんだから! ふふふ、レイ兄様、友達は上辺だけだとかなんとか言ってたけど、本当はただ出来ないだけなんじゃないの? まあ、大丈夫よ、私も全く出来なかったから!」


「……ツッコミどころが多すぎるんだけど。うんやっぱ、アイシャは相変わらずだ」


これは…褒められているの? 貶されているの? いいえ、優しいレイ兄様が私を貶すなんて、そんなわけ…ない…わよね? そうよね??


「…褒め言葉として受け取っておくわ!」


私の返答を聞いて、レイ兄様は「プッ!」と吹き出したから、これは貶されていたとみて間違いないのかもしれない。


なんてこと、『優しい兄』という印象を『意地悪な兄』に変えないとだわ!


けれど、精神年齢的には私のほうが10歳も年上だから、一応ここは大人な私が許してあげることにする。


「あっ、レイ兄様! 見て見て! シルアが居るわ!」


あるお店の、ガラス越しに見える白い犬の人形を指すと、レイ兄様は他の何かを見つけたようで、顔をぎょっとさせる。


「ん? どうした――んん? え? ええ? …ねえアイシャ、僕の妹は分身の術が使えるんだっけ??」


レイ兄様は目を何回かぱちぱちさせ何かを試したようだけれど、特に何も収穫はなかったのか最終的には顔をきょとんとさせる。


「えっ? 急に変な……ああー! ええもちろんよ! 使えるわ! 分身の術! ウィステリアですもの!」


「……」


レイ兄様が変なことを言う時は、全て推測でしかないけれど、大体何かを試しているときだ。


つまり私は今、何かを試されているに違いない――と考えた私は、慌てて話を合わせる。


「ウィステリアは全能の神じゃないって……それよりアイシャ、あそこ見て」


レイ兄様が指したのは、先程私が指していた方向と同じで、その先にはシルアの人形ががある。


「ええ! シルアね! でもあれは単にシルアに似ている人形であって、分身ではないわよ?」


あ、私を試していたわけではなかったのね…でも変だわ。レイ兄様もそのくらい分かっているはずなのだけど。あっ、それとも、あの人形が気に入ったのかしら? ふふふっ、やっぱりレイ兄様はまだ子供ね!


「…もういいや。多分気のせいだから」


「? どうして? 気に入ったのなら買えばいいのに…」


はっ! 男の子だから恥ずかしいのね!? もうレイ兄様ったら、それならそうと言ってくれればよかったのに!


「いやそもそも僕は――」


「皆のもの、あのお店に直行よ!!」


近くに潜んでいるであろう護衛にも向けて、片腕を上げ勢いよく叫べば、各方面から「おー!!」という声が返ってきた。いつも親切にしてくれてお菓子をくれる人たちの声だ。


「…アイシャ、なにか勘違いしているようだけど僕は――ああもうわかった! ついて行くって!」


レイ兄様は言葉か続く度に冷たくなっていく護衛達の視線に耐えかねたのか、最後の方はかなりやけになっていた。が、まあ照れ隠しであろう。


…うん?? そう言えば今日も極力目立たないようにしようと思っていたのに、早速目立っちゃってる…? 


◇◇◇


「まあお嬢様、お目が高い! そちらは当店自慢の商品でございます!」 



「ああなんと! お嬢様が今ご覧になっているのは当店一高価なものではないですか! 流石です!」


うわーお、なんというか、その…すごくすごいわ…


店に入った途端、店員の勘なのかなんなのか、物凄く丁寧に接客された。そして言わずもがな、こういうことに一切慣れていない私は目が回っているところだ。


でも、勘だけでここまで丁寧に接客してくれるものなのかしら? 服はレイ兄様も私も一番質素なものを選んでいるし、裕福な家の子供には見えるとしても、この店員の態度の原因にはならないと思うんだけど…来店客全員にこういう態度っていうわけないわよね?


考えられるのは、元々私の顔を誰かが知っていて、私が公爵令嬢だと気づいたか…それとも、あらかじめ知っていた…? どうして? 


………まさか。まさかまさかまさか! いやでも、まだ推測の域よ…ここはちょっと探りを入れれば良いわ…


「ねえあなた、聞きたいことがあるのだけど」


「はい! なんなりとお申し付けください!」


「じゃあ単刀直入に聞くわ。…私が来る前に誰か来たかしら? そうね、例えば…公爵家の人、とか?」


「!? な、なぜそのようなことをお聞きに?」


私の質問を聞くなり店員は不自然に視線をそらし、だらだらと額に汗を浮かべ始める。


…当たりだったみたいね。


はあ…なんでここまでするのかしら、お父様…!!

これからは一週間に一話の頻度で投稿しようと思います。



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