(おまけ)ほっこり親子?
「うん…」
あれ、ここどこだろう?
目を覚ますと、そこはさっきまでいた王城ではなかった。
「おや、アイシャ、起きたのかい?」
「…おとーさま?どーしてわたしはここにいるの?」
声がして上を向いてみれば、そこにはお父様の顔があった。どうやら私はお父様の膝の上にいたらしい。
ついでに周りも見渡してみると、ここは馬車の中のようだ。日も完全に落ちてしまっているようで、窓から見える空は真っ暗だった。
「ああ、私と国王陛下の話が長引きすぎてしまってね…途中でアイシャが眠ってしまったのだけど、その時にようやく私達はどれだけ時間が経ってしまっていたのかを把握してね、帰ることにしたわけなんだ」
「…ぇ」
思い出した…確かにお父様と国王陛下の話が長すぎて、私は思わず寝てしまったんだわ…
でも、ただの話じゃなくて、ほぼほぼ口論になっていなかった?
いやそれよりも、王族の前で寝てしまうなんて、私はどれだけ不敬を働けば気が済むのかしら。
それもこれも全部この体が幼すぎるせいだわ…多分。
だって眠かったんだもの!二人の話が長すぎたの!
いや、今日だけでも飛行の魔法を使い、森を駆け回って王族との謁見…疲れないほうがおかしかった。
ってか3歳だし私。
「おとーさま、わたし、なんでもするってちかったけれど、(この幼さでは)できないことがおおいかもしれないわ!」
「…当たり前なんじゃないかい?」
やっぱり幼いって不便ね…うん?私は幼いから天使と呼ばれているのだから、これ以上を望むのは傲慢すぎるのでは?
ああ、読んだことがあるわ!傲慢な悪役令嬢が断罪される話!悪役令嬢は身分が高くて、傲慢で、王子の婚約者の場合が多い…って、私じゃん!
えっ、嫌よ断罪されるなんて。私は大丈夫でも家に迷惑がかかるじゃない。
それどころか国ごと巻き込んでしまう可能性もあるのでは?
…やっぱり、婚約はなんとしてでも解消したほうが良さそうね。でもその後は?
「きめたわ!おとーさま、わたしはずーっとおうちにいる!」
家に残ったらみんなに迷惑がかかるかもしれないけれど、婚約解消するのに成功したら、家族との時間を大切にしたいの。
「アイシャ…!なんて健気なんだ!将来はパパのお嫁さんになるかい?それなら一生一緒にいられるからね」
「えっ、おとーさま、うわき?でも、おやこはけっこんすることができないのよね…?それでもうわきはダメよ、おとーさま!」
冗談でもそんなことを言ったらお母様が悲しむわ。
「え!?アイシャ、いつの間に浮気なんて言葉知ったのかい!?いや違う、そこじゃないな。私が調子に乗ってしまったのは事実だが、愛する娘にしてもいない浮気を止められるのは、案外心に傷がつくものなのだよ…」
「…ん?うわきをしなければいいはなしなのよ、おとーさま」
私はお父様を安心させるためにそう言ったものの、余計なことをしてしまったらしい。
この後、家に着くまでずっと嘆かれることになるのだから。
これに関しては、お母様以外の人と結婚の約束をしようとしたお父様が悪いと思う。




