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謎の光に包まれて

 あの後、皆からのアドバイスをもとに何回も直して、ようやく皆の納得のいく自己紹介が出来た。


 だけど、結局あの自己紹介の面影はなくなっていた。


 あの自己紹介は何だったのだろうか。私の時間を返してほしい。


 でも、今の私はすこぶる機嫌がいい。

 なぜなら明日は私の15歳の誕生日だから!


 ここまで私が15歳の誕生日を楽しみにしているのには、理由がある。


 実は佐藤さんが言うには、私は一人で捨てられていたのだけど、手紙が添えてあったらしいのだ。

 けれど手紙は雨で滲んでいて読める状態ではなかったらしくて、


『15年経てば……愛菜…』


 という部分しか読めなかったみたいだけど、私の名前はこの手紙から来ている。


 そしてもうすぐ、というか明日、佐藤さんが私を拾ってから15年が経つ。


 色々考えてみたけど、どうしても私の親が私をすてた理由が分からなかったから、

 私は15年経つのを待つことにした。



『私にとっての家族って、なんだろう。』

 これは、私が人生で一番悩んでいる疑問。


 家族とは、自然に愛し愛され、共に互いを支える存在なのか。


 家族とは、信頼し、唯一心を預けられる存在なのか。


 家族とは、ただ血の繋がりだけがある、他人のような存在なのか。


 家族とは、価値がなくなればいらなくなる存在なのか。



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 結局、それぞれの人間は「普通の家族」への認識が違うから、本物の家族という存在を知らない限りは、私が家族をどう思っているのか、何を望んでいるのかは、わからない。

同様に、家族が私をどう思っているのか、何を望んでいるのかも、わからない。


 けれど、これだけは絶対に確実だ。

 私は人として、親の愛が足りていない。きっと、だから私は少し感情が貧しい。


 喜びや同情などの感情はあっても、激しい怒りや悲しみ、寂しさという感情は、あまり感じたことがない。


 大切なものがないから。


 人としてどうかと思う人もいるかもしれないけれど、私は私だ。誰に何を言われようと。



 そして今の私はというと、明日の誕生日が気になりすぎて寝れずにいた。


 私は私が思っている以上に楽しみにしていたみたいだ。


 そこで私は、0時になるまでの時間を時計を見ながら数えていることにした。


 それなら途中で眠くなっても寝ればいいし、眠れなくてもきっと、0時を過ぎたら落ち着いて眠れる!


 我ながらいいアイデアじゃない?


 と、思ったのも束の間、私はその数秒後に寝息をたてていた。


『ピカァァッ!』


 2つの時計の針が0時を指すと同時に、全身が謎の光に包まれていたことにも気づかずに。

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