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出会い2

次の日、俺がいつのように一人で本を読んでいると、浜匙が近づいてくる。


「はい、コレ」


浜匙は洒落た紙袋を渡してきた。

中身は昨日貸した俺のハンカチだった。


「昨日はありがと」


「いや、いいよ。気にすんな」


浜匙は柔らかい笑顔でお礼を言う。


「…それとさ」


「うん?」


「昼休み、昨日の場所来て」


浜匙に小さな声で伝えられる。

わざわざ小さな声でいうことか、と思ったが浜匙にとって磐長のことは知られたくないことなのかもしれないと思ったので、俺も小さく頷いた。


「それじゃよろしくね」


そういって浜匙はグループに戻っていった。








昼休み

言われたように昨日の場所に向かう。

そこにはすでに浜匙がいた。


「来たね。とりあえずご飯食べよ」


浜匙は弁当を広げ食べ始めた。なので俺も弁当を食べ始める。


「…美味しそうだね」


浜匙は俺の弁当を見つめている。


「欲しいってこと?」


浜匙は恥ずかしそうに頷く。


「そんな回りくどい言い方しなくても」


俺は唐揚げを浜匙の弁当に入れる。


「わぁい!ありがと!」


唐揚げにかぶりつく浜匙はすごく嬉しそうだ。


「お味は?」


「すごく美味しい!」


「それは良かった」







「さてと、本題は?」


俺と浜匙が弁当を食べ終え、俺が浜匙に本題をきく。


「んーとねぇ、花一君はさ、あの二人のことどう思う?」


「どう、とは?」


あの二人とは、十中八九磐長と林檎のことだろう。


「私ね、秋実さんには勝てないって思ってる」


「勝てない?何に?」


浜匙は悲しげに目を伏せ、笑う。


「きっと磐長君は秋実さんのことが好き。そういう意味」


つまり浜匙は、磐長が自分ではなく林檎のことが好きで、磐長の気持ちが自分に向くことはない、そういうことだろうか。


「花一君はどう?」


「どうって…?」


「秋実さんの気持ちが磐長君じゃなくて自分に向くことがあると思う?」


「…」


正直わからない。

俺は林檎のことが好きだ。今もそれは変わらない。

が、林檎はどうだろうか。磐長と過ごしている林檎はとても楽しそうだったことを覚えている。


「正直…わからない。でも、多分、心の底では諦められてないんだと思う」


「…そうだよね。多分私もそう」


浜匙は頷く。


「でも、でもねきっとあの二人はうまくいく」


「根拠は?」


「ないよ、でもきっとそう」


浜匙の顔は確信に満ちている。


「そしてあの二人は結ばれる。それは嬉しいことだよ。でもね、私たちの気持ちはどうなるの?」


「…仕方がないし、その言い分は自分勝手すぎると思う」


俺たちの気持ちは二人には関係ないし、ましてや二人の邪魔はできない。何より自分勝手だと、浜匙の言っていることに対しておれは思う。


その俺の言葉に浜匙は


「わかってる」


の一言。


「…結局何が言いたいんだ?」


「そうだね…」


浜匙は意を決した強い表情で言った。


「私たち付き合いませんか?」

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