彗星の涙
この世の中は不平等だ。小さなだけで捨てられる野菜ように
愛の対象が違うだけで「不揃い野菜」の中に入れられる。
「 中真 樹 」クラスの1番奥の席でいつも座って
外を見ている奴だ、みんなあまり話したがらない。
何を考えているかも見ているかも
よく分からない奴だから。
俺はそんな樹と付き合っている、[不揃いな野菜]だ。
俺達が付き合ったきっかけは、去年の文化祭樹が熱を出した
家が近かった事もあって、後夜祭で貰った景品を届けに
初めて樹の家に行った。樹の部屋に入ったと同時に
暖かな匂いが鼻の奥に届いた。自分の頭がその余韻に
浸っているもう少し、余韻に浸ってもいいだろうか。
そんな事を考えている時樹から衝撃な告白をされた。
「ずっと前から好きだった。付き合って欲しい」
俺の頭は、余韻から一気に動揺に変わった。
「少し考えたい」俺は、そう言って逃げるように
樹の部屋を出た。
いつもの帰り道が、初めて来る土地のように感じた。
それから2、3日した時俺は樹を呼び出した。
「試しに1週間仮に付き合おう」1番卑怯なやり方
だという事はわかっていた。沈黙が少し続いた後
樹から「わかった。ありがとう」と言われた
俺は罪悪感でいっぱいだった。
そんな俺らの有効期限も、後3日で切れる
このまま終わっていいのだろうか。
俺はほんとうに樹に対して何も思っていないのか
自分の感情と頭と会議を繰り返しながらいると樹から
「今日の夜20時学校の屋上で流星群を
見る会がある一緒に行こう」と誘いを受けた。
俺は自分の気持ちをそこで話そうと決めた。
「わかった、今日の夜20時屋上で待ち合わせよう」と
返事をした。返事をしてからその日は
時間まで1日が長く感じられた、俺が屋上に
着いてからしばらくして、遅れて樹が来た。
それから少しして、流星群を見る会が始まった
俺は屋上にある椅子に座りながら
空を見ている樹を横でじっと見ていた。
話す事は、決めてきたはずなのに俺の心はそれを
否定している。異様な程、綺麗な星空と流星群を見ながら
樹が口を開いた。「この関係終わりにしよう」
ほんとは、俺が言おうとした事だった。樹の事だ
きっと、察していたのだろうか。ただ、俺は心のどこかで
「不揃いな野菜」になる事を恐れていた。
だから、あんな卑怯なやり方で樹を突き放そうとしていた。
ここで言わなければ、全て終わってしまう
俺が考えている間に、流星群を見る会は終わっていた。
樹が席を立つと同時に
「俺は帰るね。ありがとう1週間幸せだった」と言った。
引き止めないと、終わってしまう。
「樹…!待ってくれ!本当は…」そこからの事は
あまり覚えていない感情のままに全てを打ち明けた。
樹はさっきまで見ていた。
流星群のような、綺麗な涙を流しながら
俺の話を聞いてくれた。
俺は俺の意思で「不揃いな野菜」になる事を決めた。