極悪ドクター半沢さん
俺の相棒。半沢譲二……『極悪ドクター』と呼ばれる人を人とも思わぬ恐ろしい男だ。
スキンヘッドにサングラスここの男を見て医者だと思う奴はいないだろう。
金髪オールバックの俺が言えた事じゃないけどな。
「いいか塔屋。頭のいい医者はなホームレスで儲けるのよ」
「ホームレスなんて金ねぇだろ?」
もっと金持ちとか芸能人とかの御用達になった方がいいんじゃねぇか?
「バーカ。金ってのはな?金持ちからじゃなくて貧乏人から吸い上げるのが一番なんよ」
貧困ビジネスってやつか。まぁいつだって金に苦しむのは貧乏人だ。それが賢いんだろう。
だけどホームレスじゃ治療費が巻き上げられねーだろよ。
「大丈夫や。ホームレスに無理矢理生活保護を受けさせる。そして生かさず殺さずの治療をしてベッドから動けなくする」
「……おお」
エギーぜ。マジでエギー。国から巻き上げるのかよ?
「話を遮って悪いが俺の仕事は?」
「無理矢理ここにホームレスを連れてこい。逆らったら死ぬぞぐらいは脅していい」
穏やかじゃねぇわ。いいよ。腕力には自信がある。ぶん殴ってでも連れてくる。力が有り余ってたところさ。
「話を続けるで。医療報酬ってのがあるからな。大したこと無くても手術すりゃ金になる。ベッドが埋まったり面倒になったら放り捨てりゃいい」
「それが医者のすることかよ」
「本当にな。これぞ貧困ビジネス!フハハハハ!笑いが止まらんよ。金はいくらあってもいいらなぁ!」
『金はいくらあってもいい』金を愛し金に愛されたこの男が言うと説得力がある。間違いねぇ。
こいつに付いていけば俺も甘い汁を吸える。
俺はなんていい相棒を見つけたんだ。ラッキーだぜ。
「さあ。半沢医院のオープンだ!」
・
半沢は人を人とも思わない。
「ホームレスを食い物にする医者は人じゃねぇ。頭のいいゴミだ」
半沢は頭が良くは無い。
「金がない?そりゃそうでしょう。ホームレスなんだから。趣味だからいいすよ。払えるときに払えるだけでいいんす」
俺は腕力には自信がある。
「てめー!どう見ても病気だろうが!さっさと来い!治してやる!うちのドクターは名医だぜぇ!無理矢理にでも治療してもらうぜ?」
半沢は金に愛されている。
「おい!当然だけど今月もまた大赤字だぜ!先生!」
「大丈夫だ。FXで大勝ちしたからな」
半沢は極悪ドクターだ。
「しかしホームレス専用の病院なんてよくやろうと思ったな?」
「前にお前に話したホームレスを食い物にするドクターを潰すにはホームレスが安心して治療が受けられる病院が必要やからな」
確かにあの話は酷かった。もしそいつらがホームレスビジネスが出来なくなってるならざまぁみろだぜ。半沢先生様々だ。
「でもよ。今はいいホームレスばかりだけど。いつか調子にのったホームレスに痛い目見せられるかもよ?」
「痛い目見たら自分で治す。俺は医者だからな」
半沢がニチャアと笑ったので俺もニチャアと笑った。
俺の目に狂いは無かった。やっぱりこいつは最高の相棒だ。今のところ甘い汁はすすれて無いけどな。
「あんた裏で同業からなんて言われてるか知ってるか?」
「『極悪ドクター』やろ?光栄や。仕方ねー。俺は昔っから皆同じ方向見て前ならえが苦手なんだもん。人と違う方向見て全力疾走するのが好きでよ」
「ちげーねーぜ」
今日も半沢医院には多くのホームレスが集まる。
陰で半沢譲二と塔屋の『犯罪上等病院』と言われてるのは気にくわねーけどな!




