見つけた『顔』は、
夜分遅く失礼します。ぺんぎんです。
楽しんでいただけたら幸いです。
声のない慟哭。
泣き叫べば楽かもしれない。
なのに、『俺』はただ呆然としていた。
呆然と、目の前にある出血死した死体を眺めていた。
『俺』は死んだ筈だ。
この死体と同じように、大量に血を流した。
何が起きたか、分からないまま。
仰向けの状態で。
にもかかわらず、『俺』は生きている。
生きて、あの死体の側にいる。
「……はは」
何故か笑いが込み上げてきた。
何故笑っているのか、分からない。
ただ、この状況で笑わない方がどうかしている。
そんなことを考え、蹲る。
「……はは」
体が震えた。
小刻みに、頼りなく。
死体の側で、『俺』は笑い、
声を殺して、泣いていた。
***
――目が合った。
蹲って、死体から目を背けていたのに。
死体の目がこっちを見ている気がした。
じぃと、ただ視線を感じていた。
おかしかったのだ。
死体が『見る』わけないのに。
視線を感じ、違和感を覚え、
『俺』は初めて、死体の顔を見た。
そして、目が合った瞬間。
「――は?」
間抜けな声が出た。
視線の先にあったその顔は――
『俺』の顔をしていた。