表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/50

可能性の話なら、

更新です。短めですが、楽しんで頂けたら幸いです。

 三人の手紙が、同時に見つかった。


「枚数的には、僕が多そうだけど……」

「枚数なんかどうでもいい」


 切り捨てるように、『私』は言い切った。


「問題は、なんで私達の手紙がここにあるのかってことでしょ」

「……なら、考えられる点を挙げてくとか?」

「推測ってことか?」

「他にやりようがないし」


 数秒、があった。

 

「可能性は低いけど……」

 

 手を挙げたのは、『僕』からだった。


「一緒に住んでた、とか」

「ないだろ」

「ないでしょ」


 即決だった。


「ルームシェアとか、私が無理」

「そもそも、三人で住むには狭すぎるだろ」


 『俺』の言う通りだった。

 この部屋は、あくまで一人の居住スペースだけだった。


 とても三人が住める場所ではなかった。


「なら、他は?」

「ここに住んでたとか」

「それはさっき却下したでしょ」

「いや、一人で住んでたって話だ」


 三人で住んでいないなら、一人で住んでいたなら?


「なら、自分の家に手紙があって不思議じゃないだろ」

「理屈は分かるけど……」

「だったら、なんで他人の手紙が出てくるのよ」

「それは……」


 答えに詰まってしまった。

 可能性はなくはないけど、これにも疑問が生じてしまう。


 自宅から自身の手紙が出てくるのはいいとして。

 何故、他の二人の手紙や葉書まで出てくるのか。


 確証はないものの、三人共知り合いではない。

 そんな気がするのだ。


 少なくとも相性がいいとは言い難く。


「なら、他にどんなのがあるんだよ」

「私? 私は……」


 考えて、思い至る。


「家主が私達にとって共通の知り合いだったとか」


 当たり障りのない答えだった。


「私達が知り合いじゃなくても、家主自体が連絡を取り合ってて……」


 説明しているのに、何故か『私』は言い辛そうにしていた。

 気付いていたからだ。


「だから……」


 言葉が途切れた。

 そして、酷く渋い顔で、自分の答えを却下した。


「ないわ、これ」

「確かに」

「そうだな」


 他の二人も同意見だった。

 一番可能性がありそうな答えだった。

 事実、前にも似たような可能性が『俺』からも出ていた。


 だけど、今は違う。


 名も顔も知らない『家主』が共通の知り合いだった。

 そんな可能性が一番無難で、あり得そうなのに、


 三人共それはないと、何故か確信していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ