第二話「四月の章②」
市立鳥山中学校は二つの小学校区から成り立っている公立中学校で、鳥山小と鳥島小の2つの小学校の卒業生を迎え入れている。今回、卓球部へ入部希望を出した一年生で言えば、一ノ瀬、三郷、五島、七宮の四人は鳥山小の卒業生。二宮、四谷、六原の三人は鳥島小の卒業生だ。
二宮昴は入学時は漠然とバスケ部に憧れていたため仮入部もバスケ部へ行くつもりだったのだが、同じクラスになった一ノ瀬に誘われてコロッと意見を変えてしまった。単に憧れがあっただけでバスケットボールに強いこだわりがあった訳でもないし、上背がなかったのでバスケより卓球の方が有利そうだなと思ったからだ。
三郷信五は読書が好きだったため、本当に文学部を諦めて良いのか迷いに迷った。運動神経に自信はなかったし、部活に入ってまでやるほど卓球が好きかと問われれば、そうでもないというのが本音だった。しかし、結局は一ノ瀬の強引さに押し負けてしまい卓球部に入ることを決めた。そしてついでに、同じクラスだった四谷も誘うことにした。
四谷隆平は、三郷に誘われただけだった。もともと入る部活は決めていなかったが、たまたま気が合った三郷に誘われ、流されるようにそのまま仮入部してしまった。彼もどちらかといえば文化系の人ではあったが、運動部の割にゴリゴリではない卓球部の雰囲気にほだされたのかもしれない。
五島章大は一ノ瀬、三郷と同じく鳥山小で卓球クラブだったクチである。一ノ瀬から声はかけられたが、誘われずとも自ら卓球部の見学に行くつもりだった。少しは腕に自信もあったため、順当な入部決定だったようだ。
六原亮は廊下に貼られた卓球部のポスターを眺めているところを一ノ瀬に見られて誘われた。壁に貼られた部活勧誘のポスターを順番に見ていただけだったのだが、偶然卓球部のポスターを見ていたタイミングを偶然一ノ瀬に見られ、興味があるものと勘違いされてしまった。しかし他に入るつもりの部活があるわけでもなかったし、乞われるのであれば扱いは悪くなかろうという気持ちで卓球部へ入ることにした。
七宮忠義も入部先を決めていなかった1人だ。しかし親からは中学では運動をやれと言われていたので、どこかの運動部に入るしかない。そこに都合よく、1組の一ノ瀬という男が卓球部員を集めているという話を聞いて、乗っかることにした。卓球部ならば、「運動部中の文化系部」というイメージがある。きっと、暗い部室でメガネをかけたもやしっ子のような人たちがコツコツコツコツと卓球をしている与し易い部活だろう。そんな所を想像していた。




