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Rubber Souls  作者: 佐藤アトム
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第十二話「八月の章②」

「おはようございます!今日はよろしくお願いします!」


鳥山中学校の卓球室に大きな挨拶が響いた。先陣を切って卓球室に入ったのは、高橋中卓球部主将の吉良だ。続いて副部長の見上が続く。そして2年の片桐、1年の大空、岬、日向、三杉、松山、次藤と続き、最後に顧問の本郷が入ってきて佐々木と挨拶を交わした。

「佐々木先生、今日はよろしくお願いします。」

色黒で背が高く、色付きの眼鏡をかけた本郷は一見すると公立中学の教師には見えない風貌だったが、れっきとした英語教師である。

「こちらこそ。わざわざお越し頂いてありがとうございます。上原、挨拶!」

佐々木が促すと上原以下9人が一列に並び、

「今日はよろしくお願いします!」

と挨拶を返した。

佐々木は朝のうちに並べた壁際のパイプ椅子を指差し、

「では、高橋中の皆さんはあちらのスペース使って準備して下さい。15分後に始めましょうか。」

「分かりました。じゃあみんな、準備とストレッチまで終わらせろよ!」

「はい!」

高橋中の面々の返事はよく揃って響く。やっぱりウチとなんとなく似ているな、と佐々木は思った。


「ほら、あの2人、こないだの大空くんと岬くんじゃね?」

「ホントだ。本当に高橋中の卓球部だったんだな」

ラバーを拭きながら二宮と三郷が話していると、横で聞いていた一ノ瀬が話しに入った。

「誰?知り合い?」

「うん、こないだ三郷と一緒に運動公園の卓球場で会ったんだ。一緒に打ってないから強いかは分かんないなぁ。」

「マジか。レギュラーかな?あっちのでかい方は強そうだなぁ。」

でかい方、とは大空のことだ。

「でかい方の大空くんはシェークのドライブ型だった。一ノ瀬くんみたいな感じだよ。で、その隣の岬くんもシェークのドライブ型。岬くんはどっちかっていうと三郷っぽい感じだと思ったけど。」

「さすが!情報屋じゃん!」

「その分向こうもおれらのこと見てるけどね」

二宮と三郷は顔を見合わせて苦笑いした。

「いやいや、全然いいでしょ!そこはお互い様だし!」

各々がラバーを磨き、レギュラーはユニフォームに着替え、準備運動を終えると丁度15分が経った。

佐々木が立ち上がり、

「では、時間なので始めます。1番台から5番台までに、今から言うオーダーで入ってください。」

と切り出した。

オーダーは以下の通り。

特に示し合わせたわけではないが、両校とも当然のようにレギュラーメンバーのオーダーだった。部員達のみならず、佐々木も本郷も本気の本気というわけである。


一番台 上原 - 吉良 (審判 五島)

二番台 一ノ瀬 - 見上 (審判 六原)

三番台 二宮・四谷 - 日向・松山 (審判 七宮)

四番台 三郷 - 片桐 (審判 三杉)

五番台 下山 - 大空 (審判 次藤)


佐々木が部員を集めて静かに檄を飛ばす。

「いいか、新チームの最初の試合だ。昨日も言った通り気負う必要はない。そのくらいみんなの実力はついてる。だが、手を抜いて負けていいとも言わん。全力で叩いて来い。いいな!」

「ハイ!」と上原が、応える。

「しゃあ!」と、一ノ瀬も気合充分だ。

「やんぞ!」「おう!」と二宮と四谷。

「勝つ!」と三郷のスイッチも入った。

「いくぞー!!」下山が最後に吼えた。

「いってこい!!」

佐々木が全員の背中を叩き、整然と並んだ台へと送り出した。


台を挟んで向かい側の高橋中は円陣を組んでいる。「高橋中ー!!ファイッ!」「オウッ!」「ファイ!」「オウ!」「ゴーッ!!」

掛け声とともに足を踏み鳴らし気合いを入れると、それぞれの台へと散らばった。

佐々木が両校の部員とも台に着いたのを確かめ、

「では、試合開始!」

と号令をかけた。


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