何か話して
ルリコはエドガーをロ―ランドのレストランへ連れて行った。
「ハロー」
ルリコはエドガーと厨房のロ―ランドに声を掛けると、窓側のテ―ブルへ。
ロ―ランドは笑っている。
エドガーはベッドに倒れ込み、眠ってしまいたい程の疲労感を感じていた。でも、ルリコの美しい顔を眺めながら、素敵なレストランで時間を過ごす事が一番の回復薬だと信じた。
「今日は話さないのね」
エドガーは彼女を見つめていた。
「話して」
「じゃ、面白い話……………別れた亭主ね、ゲイ寄りのバイセクシャルだったの」
「何だい?ゲイ寄りのバイセクシャルって」
「言葉通りよ。最初から寝室も別」
エドガーはじっと聞いている。
「一月に数える程しか、言葉も交わさなかったわ」
「どうして結婚したの?」
「アジアの人気俳優に似ていたからよ。バカね」
「僕は誰かに似てる?」
「誰にも似てないわ」
嘘、若い頃のトム・セレックに似てる。
エドガーが火傷の右腕を痛そうにしている。
ルリコは彼を自宅まで送った。
「帰らないで」
エドガーがキスを求めた。
「そんな怪我をしてるのに、もう休んだ方がいいわ」
二人はリビングのソファで激しいキスを始めた
「愛してるよ、離れたくない」
「愛してるんだ、何か言ってくれ」
ルリコはエドガーの火傷が気になり、キスに集中できなかった。
エドガーは「寝室へ行こう」と言う。
愛し合おう、と彼は見つめる。
二人はベッドで服を着たまま横になった。
「今日はダメ、休んだほうがいいの」
ルリコがエドガーの方を見ると、彼は静かな寝息を立てて眠りについていた。
ルリコは、寝室のクロ―ゼットの棚の上の沢山の写真立てを眺めた。
女性と女の子の写真がある事に気付いた。
その二人の写真は何枚かある。
「嘘…………………奥さんと娘?」
ルリコはエドガーの寝顔を振り返って見た。
続く