最初連れてきた男
「すまない、キレるつもりなかったんたけど」
ロ―ランドは、逆ギレして帰ってしまったセオドアにも、「謝っておいてくれ」と言う。
「いいのよ、私も友人の紹介で仕方なしに会っただけだから」
「最初連れてきた男にしろよ」
「エドガーね」
「間違いないよ」
「人を見る目があるのね」
ロ―ランドはルリコをじっと見て言った。
「僕は君を見ているんだ。君が相手を連れて来て、厨房の前に来たときの君の顔を」
「そうなの?」
「連れてきた時には、もう君の中では答えは出ているよ」
そう言って厨房の中に消えた。
エドガーは山火事の消防活動の応援で、ロスアンゼルスからかなり離れた山林地帯まで来ていた。
木という木には全て火が燃え移り、炎の固まりが山道を塞ぐ。
四台の消防車は立ち往生した。その一瞬に先頭の消防車に火が燃え移り、前方から猛スピードでバックしてきた、火の燃え移った農家のトラックと衝突してしまった。
エドガーはトラックの農夫を間一髪で助け出すと、ガソリンに引火してトラックは炎上した。その炎は、先頭の消防車をも巻き込んだ。エドガー含む、先頭の消防車に乗務していた隊員達は、後部車両に移り、三台の消防車は炎と煙の中、消防活動を断念し、山道を戻らざる終えなかった。
エドガーは農夫を救助するために、軽い火傷を負った。
ルリコは夜、エドガーと会った。彼が手に包帯を巻き、疲弊しきっている様子を見て
「今夜は早く眠った方がいい」
と提案した。
「一緒に居てくれた方が早く元気になれる」
と彼は答えた。そして
「あのレストランに行きたい」
と言った。
「今日は私の運転で行きましょう」
続く