もう恋人になる?
ウエストウッド近くのエドガーの家は決して大きくはないが、欧風デザインの素敵な家だ。
「お洒落な家ね」
「祖父からの家さ」
エドガーはワインやシャンパンを用意してくれたが、ルリコはコ―ヒ―を頂くことにした。
彼もルリコを家まで送るつもりで、今夜はアルコ―ルは口にしていなかった。
「僕達、良い関係になれそうかな」
彼の包み込むような暖かな声が、ルリコを魔法にかけ始めた。藍色の大きな瞳は少し垂れていて優しい。
こんなに見つめられるなんて、私はどうしたらいい?
逃げたほうがいい?
でも、なぜ逃げるの?私も彼を好き
「まだ、君は別れたばかりでそんな気持ちになれないかもしれないけれど、僕はずっと前から君を好きだ。だから離婚したと聞いて……………ごめん。こんなこと言う男は最低だよな。……………やっと運が回って来たって、飛び上がりたい気持ちだった」
彼は私の手を握った。彼の熱い体温が伝わってくる。
でも、こうやって彼の家へのこのこ着いて来たこと事態、既に私の方から意思表示している。
認めよう。私も好きだった。
「ありがとう」
暫く二人は見つめ合った。そしてエドガーの方からキスを求めた。大きな体がソファのルリコの上に覆い被さり、かなりの重量感だ。
エドガーは唇から耳元・首筋とキスを移動させた。そしてルリコのブラウスをめくりブラジャー
を外し、バストに激しいキスを始めた。
ルリコは進展の速さに戸惑うが、かなりの重量が体を押さえつけていて、抵抗など出来るものではない。
「嫌でなければじっとしてて。乱暴にはしないよ」
彼は優しい声で言った。そして、ルリコを抱き上げ、二階のベッドル―ムへ移動した。
彼を止められるはずもない。エドガーはルリコの服を脱がす毎に、自分も一枚脱ぐ。という律儀なやり方で彼女の全身にキスの雨を降らせた。
ルリコは目が覚めたようだった。
今までの結婚生活は何だったの
生活費を出し合う合宿生活
仮面夫婦を演じるだけ
夫の性癖を隠すための、隠れ蓑に利用された
腹立たしさが彼女のスイッチを押した。
ルリコからも、彼を求め始めた。
エドガーの首元から下腹部までの濃い胸毛が、彼女の体を刺激する。絡み合ううちに、ルリコの口の中に胸毛が入ってくる。
別れた夫は日系だった。肌を比べると白人男性の肌はカサカサしている。水分とかキメの細やかさは少ない。テクニック云々などではなく、ひたすら情熱とパワーで女性を悦ばそうとする。
二人は感激的な夜を過ごした。
好きな相手とメイクラブする。
それは食事と同じくらい必要で、当たり前で習慣的なこと。
今までの私の生活がおかしかったんだ。
エドガーと体を重ね合い、自分がリセットされたような気がした。
「まだ、三年間セックスレスなんていい方よ。10年とか20年とかいるわよ。日本人夫婦だけど」
と親友のリカが言う。
「信じられない」
「ねぇ、ルリコ。もっと素敵な男性が沢山居るわよ。エドガーもいい人だけど、消防士は危険過ぎるわ。山火事の季節になる度に、もう会えなくなるんじゃないかって心配するのは、アナタ、疲れるわよ。イケメンを紹介するわ。来週空いてる?」
続く