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流星のカケラ  作者: 青空
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二度ある事は三度ある


眩しい…。

重たい瞼を押し上げると、朝日が目を刺した。白いカーテンが目の端で揺れ、消毒液のにおいがツンと鼻に付く。

ここ、保健室…?

うわぁ、保健室や医務室で目覚めるの、今年何度目だろう。

ズキズキ痛む頭を抱えて、倒れる前のことを思い返す。そして再びうわぁ、と心の中で呟いた。

ヒーロー気取って自分がやられるとか、私どれだけ間抜けなんだ。加賀美くんや聖花ちゃんに迷惑かけすぎだろう。

それに。

胸元に手をやり、そこに玲からもらったお守りの布の感触が触れる。いつの間に戻ったのか、あの刀も今は小さな鍵となってお守りの中に入っていた。

「…玲、なんてものお守りに入れてんだ」

いや、それのおかげで助かったけどさ。幼なじみにあげるものとしては少し物騒で、それ以上に色々とダメなんじゃないかなぁ?

私ビックリだよ。

これは玲を問い詰めなければ、と大きなため息をついて起き上がる。が、掛け布団の片側が妙に重たくてうまく起き上がれなかった。

なんだ、とそちらを見ると、そこには赤い頭が。

「…うん……」

小さく呻くソレの正体に気づき、私は悲鳴をあげかけた。慌てて口を手で押さえ、ソレを凝視する。

は⁈なんで加賀美くんがこんなトコにいるの⁉︎

え、私があの場で倒れたから?だとしたら本当に申し訳なさすぎる…。

ジッと加賀美くんを見つめ、昨日の反省をしてみる。…が、どうにも集中できずに気づいたら寝ている加賀美くんを観察していた。

わ、まつげ長い。肌白い。女子を敵に回してるよね。

それに髪色も目の色も派手で、保健医さんによく似ていた。もしかして姉弟だろうか。

…どっちにしても、綺麗な顔をしてるよねぇ。『神子』に負けずとも劣らずって感じだ。

女子より綺麗ってどういうことよ。羨ましくなるよ。

それに比べて、といつも鏡の中で出会う自分の平凡な顔の作りを思い浮かべて苦笑を落とした。

羨むだけムダだった。

それより、喉乾いたな。顔も洗いたいし、少しだけなら抜け出してもいいよね。

保健室の向かいの手洗い場に行こうと、加賀美くんを起こさないように起き上がる。そしてベットのヘリに座り、立ち上がろうとした時。

「…どこ行くん?」

後ろから気怠げな声が私を引き止めた。

「あ」

振り向くとそこには眠たげに目をトロンとさせて私を見つめる加賀美くんがいた。その眠そうな姿は寝起きの猫を思わせる。

「どこ行くん?寝てえんとまた倒れるで」

加賀美くんが私の肩を掴み、再び寝かしつけようとする。…ぽんぽんとお腹のあたりを布団の上から叩かれているのは何故なのだろうか。

奴からしたら、私は保育園児以下ということか。この野郎、昨日のことがなかったら禿げる呪いをかけていたぞ。

…効くかはわからないが。

にしても倒れるとはどういうことか。頭痛はするけれど、倒れるほどのものじゃないぞ。

眉を寄せていると、加賀美くんがポツリと独り言のように呟いた。

「…そら、昨日のこと覚えとる?」

その言葉に、彼にも迷惑をかけまくった私はピシリと固まり。

その反応を見た加賀美くんは、

「覚えとるんやな」

と何故か少しホッとしたように笑ったのだった。



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