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流星のカケラ  作者: 青空
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はじまり

駄文ですがよろしくお願いします


チリン…チリリンリン…チリリン…。

鈴の音が幾重にも重なり合って耳に届く。涼しげな音の中、

「たすけて…」

と。誰かが白くぼんやりとした向こう側から手を伸ばす。

…だれ?

尋ねた声は鈴の音にかき消される。

チリーン…リリリーン…チリリーン…。


チリーン…チリン…ッ…リリリリリッ。


ジリリリリリリリリリッ!

「うぐ…」

うるさい。

目を開く。朝日が目に痛い。

いつもの天井と抱き枕、そして音の原因である目覚まし時計が目に入る。

「…夢かぁ」

ポツリと呟き、目覚まし時計を黙らせるべく手を伸ばす。目覚ましのてっぺんを叩き、ふわりとひとつ欠伸をした。続いてぐいーっと伸びをすれば、固まっていたらしい腹筋背筋が気持ちよく伸びる。

「…さて、そろそろ起きますか」

ひとり呟いて、私はベッドから降りた。

今日から高校2年生。勉強も難しくなるだろうし、頑張らねば!

よし!と密かに気合を入れて、いつもより少しだけ身支度を丁寧に行うのだった。


さて、ここら辺でちょっとだけ私が通う高校の説明をしよう。

ここは私立鈴神学園。全国でもちょっと有名な全寮制の進学校だ。

幼稚園から大学までエレベーター式で、通っている生徒のほとんどは内部進学生。外部から受験して入ってくる子は稀である。

と、まあここまででも普通の高校とは違うと思うんだけれど。さらにこの学園には普通の高校と違う…というか、明らかにおかしい部分が多々ある。

まず、この学園があるのは動物パラダイスができそうな山奥だということ。いつも登校時には猿や鹿とエンカウントしちゃうくらいの山奥なのだ。

え?他の動物?

可愛らしいものなら野うさぎやリス、可愛らしくないものなら熊や猪とはよく会うかな。

入学してからしばらくは割と恐かったんだけれど、次第に慣れた。

だってあっちも人に慣れてるのか襲ってこないし。

そしてそれほどまでに山奥だからなのか、この学園は全寮制。外出や外泊は届出を出さなければならないという規則まである。

…めんどくさいことこの上なくて、私は入学して以来この学園の敷地内から出ていない。

次にこの学園には絶対的なスクールカーストがあること。

いや、普通の学校でもスクールカーストが存在することは認めるよ。私が中学の時もキラキラした1群から隅っこで固まるしかない3群までの、主に本人の性格によって分けられるスクールカーストは存在したからね。

ちなみに私は3群寄りの2群でした。

だけれどこの学園は違う。実はこの学園、相当のお坊っちゃまお嬢さま校でしてね。だからなのか、社交界のトップから順に格付けされていくわけなのだ。

しかもその位ごとに変な名前が付いているんだから、初めて聞いたときは笑いそうになってしまった。

上位から並べると、生徒会の『神子』、風紀委員の『陰陽師』、生徒会や風紀委員の婚約者集団『巫女』、その他大勢の『平民』だ。…ご覧の通り、何かの宗教みたいな名前だ。

おい、名付け親。もっとどうにかならなかったのか。

普通に呼べばよかろう、普通に。

とまあ、そんなことを思う外部進学生の私はもちろん『平民』である。しかも最下層のね。

で、この平等主義が主流の現代日本でそんな身分差があれば当然暗黙の了解もあるわけで。

この学園の一番おかしな部分でもあるのだけれど、平民は気軽に身分が上の者に自分から話しかけてはならない、身分が上の者の言葉には絶対服従など、アホなルールがあるのだ。

ここはどこの中世ヨーロッパの国だ。

他にも、学食は一食千円超え、教室の椅子はベルベット、校舎内は無駄としか思えない高級ホテルのような装飾が施されているなど、おかしな点はいくつもある。

そんな学園になぜ私みたいな一般ピープル(父ひとり子ひとりの一般家庭育ち)がいるかというと、ひとえに夢を叶えるためである。

実は私、獣医を目指している。だけれど獣医学科のある大学は少なく、偏差値も高い。

だけれど、この高校の付属大学になぜか獣医学科があり、なんと内部進学が可能なのだ!

私はその可能性にかけてここを受験し、なんとか特待生として合格、ここに通うことになったのである。

そんな将来の夢がかかった学園で。

私はこれから、想像もしなかった道を歩むことになるのである。



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