2章 集えダイヤの戦士たち3
「あれ?ソリスとメイガスキーさん知り合いだったの?」
コーヒーのおかわりを持ってきたアリーナが意外そうな顔をする。
「いやいや、私がお願いして相席させていただいたのですよ。」
少し話しただけだがソリスは随分年上のメイガスキーとすっかり打ち解けていた。
話も上手でなにより野球観が合うのだ。
野球はピッチャー。とはいえその投手の良さを引き出せるのは女房役のキャッチャーであるというのが二人の見解であった。
そしてキャッチャーの一番の役目はピッチャーの信頼を得ること。
「しかし、クラーケンズの捕手はもう少し慎重にリードしたほうがいいんじゃないでしょうか。」
ソリスは配球のスコアをつけながら言う。
「私もそう思います。クラーケンズ含めイシュタールリーグ全体的に捕手は打撃重視なところがありますから。」
クラーケンズは若手の『打てる捕手』として4年目のリグフェーザ選手を積極的に起用している。
しかしリグフェーザ選手はストライクを欲しがって結果甘く入った球を痛打されるケースが目立つ。
配球とは時には巧くボール球を要求して打者の打ち気を逸らしたり意表をつくことで投手の能力をより引き出せる。
またワンバウンドのボールをしっかり止めることができればランナーがいても思いきて変化球を投げられる。
それに肩が強ければ盗塁しにくくなり投手の精神的負担は減るだろう。
そういった数字に表れにくい部分の重要性を語り合えてメイガスキーも満足気だった。
しかし試合は7回表、2点リードの場面で先発投手が踏ん張れず出てきたリリーフを打ち込まれ逆転負け。
クラーケンズファンとしては苦い展開になってしまった。
去っていくお客さんも見送るアリーナも落ち込んでいるようだ。
メイガスキーさんは特に表情を変えることなく「では私もこれで」と言い残しソリスの分の御代も払って去っていった。
「残念だったねぇ。」
「そうだね、でも仕方ないよ。」
「えらくあっさりしてるね。いつもだったらもっと落ち込んでるのに。」
ソリスももちろん残念だとは思ったが終わったら終わったで明日から始まる野球が楽しみでそわそわしていた。
そのことを話すとアリーナもなぜだか元気が出てきたようで
「試合見に行くから!差し入れもってくね!」
と謎の張り切りを見せていた。
いや、まだ試合とかいうレベルじゃないんだけど・・・とは言えず
「ああうん。もし試合するときはよろしくね。」
とだけ返しておいた。
人とか街とかの名前をつけるのって難しいんですよね。
あきらかにド○クエっぽい名前が多いのも仕方がないことなのかもしれません。
元カープの助っ人っぽいリズムの人もいますし、何かしら元ネタがあるようですよ。