5章 燃えよ!ダイヤの有志たち6
「ちょっといいかい。」
入ってきたのは2メートルを超える大男、ヴィルドラだった。
「他の、特に若い子らには言えねぇことでもオレなら聞いてあげられる話もあるんじゃないかと思ってさ。」
その目は、その笑みは優しかった。
その一言はあの日以来、常に弱みを見せず自分とその後に続く者達を導いてきた少女の涙を誘うには十分だった。
フレデリック・フランシスの審議の間、カッサーノはまだ幼いといっていいほど若かったフローラに婚約を迫っていた。
受け入れれば処分をもみ消すこともできる・・・と条件を持ち掛けて。
しかしこれに気付いた父、フレデリックは激昂し追い返す。
そして気付いた。
この一連の事件はカッサーノが仕組んだことだと。
当時、カッサーノはフレデリックが所属する『アークライツ・ダークデビルズ』の監督を務めていた。
野球賭博も魔道ドーピングも身に覚えのなかったフレデリックだが、まさかチーム内のそれも監督が仕組んだものだとは思ってもいなかった。
しかしそれがわかったからには対策でもることもある。
早速チームメイトのヴィルドラやドラグパインなど数名にアリバイや道具管理について証言してもらうよう頼んだ。
しかし審議会当日、ドラグパインとサブーダの二名が裏切り証言せず。
決定的な証拠がないので処分保留となったものの身の潔白を証明できず野球界から実質永久追放となった。
フローラもヴィルドラも、自分のせいだと思っている部分がある。
その後、フローラはすぐ放浪の旅に出てヴィルドラはギガントラビッツにトレードで移籍。
そしてカッサーノは当時抱えていた大問題である野球賭博を内密のうちに解決した手柄をマカイリーグ協会から評価された。
一般にはあまり知られていない、マルゲニア及び世界の歴史を大きく動かした大事件である。
暴風雪で家に帰れず。
帰ったら帰ったで水道管破裂・・・。
とりえず今出せる分まで公開します。




