4章 未来へ12
その裏、セイントナイツは三番からの好打順である。
長身のビグバレーが左打席に入ると威圧感がある。
一打席目はショートゴロに打ち取ったがタイミングは合っているので十分に警戒する必要がある。
一球目は外ボール球のストレート、二球目は外ギリギリにストライク。
これがキッチリ決まってカウント1-1投手有利な展開に持ち込んだ。
三球目、インコース高めにボール球のストレートを要求。
しかしルチアの投げ込んだ球はやや真ん中寄りに入ってきてそれをビグライトは見逃さなかった。
高めボール球だったが強引に引っ張ってレフト前に運ばれる。
ノーアウト1塁で四番打者を迎える嫌な展開となった。
「うちの捕手がすまなかったな、代わって謝罪させてもらう。」
四番で一塁手の男が右打席に立ちソリスに話しかけてくる。
「・・・いえ、大丈夫です。」
「だが勝負では手を抜けない。悪いがここで終わりにさせてもらう。」
先ほどは三振しているものの大柄な四番打者である。
芯でとらえれば簡単にスタンドを超えていくだろう。
ソリスはアウトコースに外れるストレートを要求する。
ルチアの左腕から放たれた球は要求通りアウトコースに外れてボール。
間髪入れずソリスは二塁に送球!
が、間に合わない。
初球から走って盗塁成功、これでノーアウト二塁と得点圏にランナーをおいてしまった。
ソリスはタイムを取ってマウンドに向かう。
敬遠という手段もあるので一度ルチアと話しておきたかった。
「自分はソリス先輩に任せます。それで打たれたり失点しても全く後悔はしません!」
ルチアはそれほどまでにソリスを信頼していた。
だからこそ、この場面は捕手の判断で決まる。
ソリスが選んだ選択肢は・・・敬遠だった。




