4章 未来へ10
投手以外初戦と同じオーダーで挑んだ二回戦はハッピーズの先攻めだ。
先頭のランザスが右打席に入る。
「なんか君らのチームピリピリしとるなぁ。たかが野球になんでそんな必死なん?」
いきなり捕手が話しかけてくる。
「・・・。」
「ワイら遊びでやっとるだけやのに親戚やら呼ばれて大変やで、貴族って。君ら庶民が羨ましいわ。」
「君、私語は慎みなさい。」
さすがに球審から注意を受ける。
その異様な空気感の中、プレイボールのコールがかかった。
マウンド上のビグバレーがゆっくりと振りかぶる。
その大柄な体格と無口な性格からメディアがつけたあだ名は『バルドランドの巨神兵』。
一投目、ランザスが見逃した球は真ん中低めにズバッと決まる。
その名に恥じない球速は余裕で140キロを超えているだろう。
過去に記録した151キロはイシュタール学生大会の最速である。
二投目、外角のストレートを空振り。
「まぁ、君らでは無理やろなぁ・・・」
一瞬ムッとしたランザスだったが試合中に気にしてはいられない。
三球目は外に外れてボール。
見切った、というより手が出なかった感じだった。
今日のビグバレーは絶好調のようだ。
四球目、表情一つ変えぬまま投げ込んできた球はど真ん中に決まって三振に打ち取られた。
その瞬間、観客席から大歓声が沸き起こった。
書いててやっと面白くなってきたなという感じがします。




