4章 未来へ3
「ソリスティアさん、ちょっといいですかぁ?」
「あ、はい。」
ある日の昼休憩ソリスに幼い少女風の声がかかる。
実際は立派な成人マドカであった。
「あたし、練習試合のスコアブックを見て気付いたことがあるんですよぉ。」
彼女は野球は未経験であったが長くスポーツ科学を研究していた経緯もあり時々こうやってアドバイスを送ってくれるのだ。
「ロビンさんもランザスさんもとても上手なんですけど、息があってないというか、ミスが多いですよね?」
そう、実際この二遊間の守備はリーグで通用するレベルに見える。
特にロビンは2ndランクあたりの球団からドラフト指名されてもおかしくないほどのレベルだ。
一見スコアを見ても二人のエラーは少ない。
だが、そこに落とし穴がある。
ピッチャーゴロなどで投手の取る位置が微妙な時など基本的にはベースカバーに入るポジションは決まっている。
それは1プレイごとにサインで決まるので事前によく話し合っておく必要がある。
ここの連携がうまくいっていないといくらゴロをうまくさばいてもダブルプレーが取れなかったりフィルダースチョイス(ゴロを取った野手が先のランナーをアウトにしようとして結果オールセーフになるエラー)になることもある。
特にランザスは内野だけでなく外野からの中継プレイ(外野から内野へ返球する際、直接ベースに送球するのではなく野手を経由する連携プレイ)が乱れるなど連携が巧くいっていない。
ロビンはまだ10代で人付き合いがわからない部分もあると思う。
それをフォローする役割をランザスに期待していたが如何せん高すぎるプライドと自分勝手な性格がそれを妨げている。
「どうしたもんかいのぅ。」
「こればっかりは人と人の問題ですからぁ・・・」
「僕のほうでも考えてみます。マドカさんもいい方法あったら教えてください。」
「はぁい。あ、それからアストラさんの打球方向なんですけどぉ。」
それからマドカはいくつかアドバイスをして去っていった。
問題はまだまだある。
が、逆に言えばそれは伸びしろ。
ソリスは今のチームに監督代行としてプレッシャーもあったが同時にやりがいも感じていた。




