2章 集えダイヤの戦士たち9
それから数日も経たないうちに新入社員はやってきた。
「それじゃあ自己紹介をしてくれ。」
「ハイッ!自分はデュアーロ出身の23歳、スティーラ・ルイスです!」
随分気合いの入った若手がやってきた。
「野球のポジションは投手です!ストレートには自信があります!」
野球で最も重要なポジション、投手がついに埋まった。
社長のどや顔を見ても高い期待度がうかがえる。
「ソリスやアストラの一つ下だな。ルイスには営業に入ってもらう。アストラ、しっかり教えてやれよ。」
「よろしくお願いします!」
「ああ、よろしくな!」
人当たりのいいアストラとは相性も良さそうだ。
「それともう一人・・・あれ?どこいった?」
辺りを見廻すがそれらしい人物は見当たらない。
ざわめきが起こり微妙な空気になりかけた時、唐突に扉が開いた。
「おーい、新人連れてきたぞ。」
ドミニクが新人と思われる少女と言っていいだろう、若い女性を連れてきた。
慎重はランザスよりさらに一回り小柄で綺麗な金髪をクルクルに巻いて二つに分けてくくっている。
髪型に合わせるようにグレーを基調とした白のフリル付きエプロンのような服を身にまとっていてよく似合っている。
「ふえぇ、すみませぇん。迷っちゃって。」
少女は涙目でうつむいている。ちなみに入り口から今いる作業室まで扉一つだ。
逆にどうやって迷ったのか聞きたいくらいである。
「う~ん・・・まぁいい。とりあえず自己紹介してくれ。」
「はぁい、ビアンコ出身のマドカ・エリオットですぅ。野球以外のスポーツライターを担当させてもらいますぅ。」
「マドカはなんだっけ?なんかのスポーツのバドランド代表になったことがあるんだよな。」
「はぁい、学生時代に『チュキョシュボール』で国代表に選ばれましたぁ。」
・・・。
「えっと、すみません。僕の勉強不足なんですが、チュキョシュボールってどんなスポーツなんですか?」
「そうですねぇ、まだまだマイナースポーツですからご存じない方もいらっしゃるかもしれませんねぇ。」
代表してソリスが質問したが誰一人ピンと来ていないようだ。
「簡単に言いますとボールをファチュゲートにシュッキャプしながらポッシュしていくんですよぉ。」
一同顔を見合わせるが専門用語が多すぎて説明を聞いた上で誰一人ピンと来ていない。
その時、扉がトントンと叩かれ近くにいた女性社員のアリカが扉を開けると見おぼえのある顔がぬっと現れた。
「説明、必要ですかな?」
「いや、チュ・・・なんたらボールにそこまで興味はないんだ。」
「そうですか・・・」
「ひどいですぅ。」
落胆するゴスロリと紳士。
説明機会がないと知るや否やパタンと扉を閉めて立ち去るメイガスキー。
何事も無かったかのようにアストラが話を戻す。
「でも国の代表なのになんでうちで取り上げなかったんだ?」
地方紙であるハピスポなら普通は地元民が国代表になると取り上げて応援していくはずだ。
「ん?ああ、マドカが代表だったのも10年いjy」
「わ~わ~、マイナースポーツだから仕方ないんですよぅ。兎に角よろしくお願いしますぅ。」
どうやらマドカには知られたくない秘密があるようだがほぼ周知されてしまった。




