2章 集えダイヤの戦士たち4
「・・・というわけで今日から野球部を設立するぞ。会社の宣伝にもなるからな、しっかりやるように。」
次の日、ふぁーねみーとあくびを噛み殺しながら出社してきた社員たちに朝礼からいきなり重大発表が待ち受けていた。
ざわめきの中には不安の声もある。
「ただでさえ忙しいのに野球する時間なんてあるのかな?」
「ふぉー、運動は苦手でごわす。」
「拙者、影に生きる身ゆえ団体種目では力を発揮できぬでござる。」
社長はうむ・・・と頷いてその声にこたえる。
「もちろん今の仕事量のままだと厳しいこともわかる。私自身もぎりぎりだからな。」
少し間をおいて社員たちを真っ直ぐ見つめる。
こういう時、意思の強い眼をする社長は本当にカリスマ性があって誰もが聞き入ってしまうのだ。
「そこで中途採用を行う。面接官は私とドミニク。野球部が活躍すれば営業面でも有利だろう。」
ベテラン編集者のドミニクには既に話が行っていたのだろう、平然としている。
「あとチャールズは太りすぎだ。運動不足解消にもいいだろう。」
「ふぉー。」
いつものごとく名指しでいじられたチャールズ中心に話題が集まる。
気が付けばさきほどまでの不安はどこ吹く風、みんな笑顔になっている。
頃合いを見計らって社長が締めの一言を放った。
「よし、今日も頑張って働くぞ。」




