9.stage1~FPSってなんだっけ?~
「んだよ、機体が解除されたからゴールかと思いきやまだ続きがあって、しかもお前らと組まされると言うわけか。」
「〔殺戮姫〕と〔がっかり獅子〕か…あんたらがチームを組んでるのはわかるけどもう一方は平気なの?中尉以下二人と引率の三人でしょ?戦力比間違ってない?」
「誰ががっかりだ。その引率が〔守護者〕だと言えばわかるか?」
あるてしあが俺を守るように前に出る。確かにあるてしあが前に出たほうが良いのかもしれないが、やはり女の子に守ってもらうのはなんだかなぁ…。
「…なにその豪華面子。逆に怖いんですけど。」
「むしろ隊長が居ないことに突っ込むかと思ったんだがな…。」
「そーいや、なんでjackいないのー?どうせ、私とNEROちーの方が強いとか言う理由だろうけど。」
「「最低」」
「んな訳ねぇだろうが!三人まとめてぶちのめすぞ」
「凄んだところで私の方が強いし…」
「凄んだところで私に勝てた試しないし…」
「凄んだところで私と相性詰んでるし…」
「…わかった、もうめんどくさい。さっさといくぞ」
がっかり獅子ことダグラスさんがきれたー。というか殺戮姫ってことはこの人がメビウスさんかな。初対面だけど、怖いな。掲示板の書き込みからしてもこの人に軽く恨まれてそうだし。
とか言ってたらこっちに近づいてきて、
「あ、安心して良い。私があなたを今殺すメリットはなにもないし、アクエリアスでもない限り無理には殺らないよ。」
とかいって去っていった。怖かったー。
「まぁこの面子でなら余裕だとは思うし、気楽に進もうか。」
あるてしあの言う通り上位プレイヤーが三人も居るなら大丈夫だろ。
NPCのお姉さんに挨拶をし、扉を潜り、さっさと先に進むことにする。
と、その前に。
「さっきは気圧されて挨拶出来なかったけどYutoって言います。短い間だとはおもいますが、以後よろしくお願いします。」
こわいし丁寧に挨拶をしておこう。
少し考えるかのような素振りを見せたあと
「私はメビウス。ダグのリアル彼女。だから惚れないでね?」
「んな自己紹介があってたまるかって気持ちで地雷蒔きそー。」
「こいつの言う通りこいつはリアル彼女だけど、あんまり言いふらさないで欲しい。」
「まぁ、良いですけどね。このゲーム変人率高いですし。」
「変人とは酷い言い草ではないかなぁ。」
とか雑談しながら進む。なんというか、この面子で真剣になる必要を感じないのはありがたいけど、奇襲とかこわいなぁ。メビウスさん辺りが防ぎそうではあるけど。
少し進めばちょっと豪華な扉の前に仮面がおいてある。
《3の番号もちがいれば通してやろう》
扉の前で聞こえるお爺さんのような声。
「俺が3番だ。」
丁度よく3番の数字を取っていたために名乗り出る。
《そうか、ならば進むがよい。ただし知恵なき者は進まぬことをおすすめするぞ。》
扉が開く。知恵なきものは進まない方が良い。か。
「まぁ進むんだけどね。」
というかあっちの二人組が相談もなしにずかずか進んでいくんだもの。びっくらしたわ。
※※※
さっきの扉進まなきゃよかったと後悔。全部で100問の雑学クイズ(?)に答えなきゃならないらしく、
9回まで間違えられて、10回間違えたらイベント事態が失格となるらしい。
《世界三大珍味はフォアグラ、トリュフ、後何?》
《MSAを作った会社は?》
《〔英雄〕と呼ばれていた男の名前は?》
《去年の本屋さん大賞は?》
《キャベツは何科?》
《なんで彼氏を作らないの?》
《サービス問題!一つ答えを埋めておいてあげたよ!トランペット以外の楽器、19個答えて。》
《MWOの製作スタッフの笹岡さんはたい焼きを尻尾から食べる派?頭から食べる派?》
《で、結局君は目玉焼きに何を着けるのさ?》
《獅子座は何月生まれの人がなれる?流石にわかるよね?》
《いろは歌を完璧に歌って!》
《さっき君らがあったお姉さん。名前は?》
《なんでどんぐりころころでどじょうは困ったの?》
《たんさんって聞いて電池と飲料水以外に浮かんだものを3つ言って。早く!》
《トヨタのアルファードを英語で書いて。》
《32+215は?》
《将棋の駒の種類。11個答えて》
《今何問目?》
「フォアグラ!」
「これ知ってる、アブラナ科だ。あのバカと同じだ。」
「余計なお世話だ!」
「普通にソース派だったんだよぅ…。」
「7、8月だろ。つーか獅子座だけどなんかうぜぇ」
「Rurukaさん。名札してた。」
「どんぐりが喉にでも刺さったんじゃないの?」
「タン塩が3つ、痰が3つ、一旦木綿。通称旦さん。」
「えーと、…233」
「竜王、竜馬、飛車、角、金、銀、歩、と金、玉将、香車、桂馬。」
なんつー鬼畜っぷり。こんなのノーミスは無理だって。
というかなんか中の人替わったよね。途中で。
ふと思ったんだ。
昔、ボールを投げて捕まえたキャラクターを育てて戦わせ、バッジを集めるゲームがあったけど、それに出てくるバッジを持ってるあるおじさんのところでは、ボスであるおじさんの場所まで辿り着くために本来戦わなくてはならない敵と、戦わずにクイズに答えて正解する。という方法があった。
そんなの知らなくて、全員倒したけど。唸った俺のLV100水ブイ。
そのおじさんのように選べれば良かったのにと思う。戦うのかクイズか。選べさえすればきっと
――――――――――――
ダグラス:8/10
メビウス:1/10
Yuto:1/10
あるてしあ:1/10
――――――――――――
こんなことにはならなかった。
「ダグ、頑張れ。私たちは実質何もできない。」
「100%わかるのだけだね。他はこわい。」
「 悪いとは思う。でも頑張ってくれ!」
「なんで俺が知能班なんだよ!」
切れてるダグラスさん。まぁ、気持ちはわかる。身体使って遊ぶゲームなのに完全頭しか使ってないしな。
でも。無理なものは無理なのです。
残念ながら。俺ら体力尽きたくないし。
※※※
どうにかダグラスさんが頑張って100問突破を果たし、先へと進めた俺らだったが、どうやらまたヤバイのらしい。なんか銃とか使った戦いをするわけではないらしい。
《20歳以上のみメンバーと確認。今より飲み比べをして貰う。勝ったチームのみ先に進める。》
拓けた場所で自動的に再びMSAを脱ぎ、アバターの姿となる。これさっきから着て脱いで着ての繰り返しだけど、FPSってなんだっけ?
他のチームも居るらしく、20人ほどいる。全員成人してるらしい。とは言え
「最終ステージ入賞組な私達に負ける可能性はないよね。見知らぬ顔だけだし」
「見知らぬ顔=酒イベ不参加か酒イベで俺らより下の位置って意味だもんな。」
負ける通りはない。潰してくれようぞ。
※※※
というわけでさっさと他のチームを酔わせ、容赦なしに潰したら先へと進むことにした。
この先は語るほどのことでもない。
掲示板での発言を有言実行し、暴れまわる〔殺戮姫〕メビウスの姿を眺めている作業をしていただけのこと。
無事ゴールへとたどり着きメビウスさん、ダグラスさんとはお別れだ。
「じゃあ、次会うときはきっと敵だけど。またね。」
「去らばだ。」
ゴールと書かれた二つある扉のうち、二人とも自分達のチームIDが書かれている方のゴールへと入っていく。俺たちもゴールへと入ろう。
何はともあれ、stage1は俺らはクリアだ。