8.Stage1~パートナーは百合姫様~
イベント当日。
ドキドキして寝れないなんて事はなく、睡眠時間もやる気もバッチリだ。
イベントは昼の12時から。今は9時ちょっと過ぎ。朝御飯を食べたらMWOにログインして少し遊んでおくとしよう。慣らし運転は大事だしな。
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【やぁ、(  ̄ー ̄)ノイベント前でドキドキしてるレヴィちゃんは落ち着かせようと中級部屋でずっと狙撃してました。("⌒∇⌒")楽しかったー!】
「ねぇ、レヴィは何やってんの?朝っぱらから佐官が中級部屋に来てるとかほとんどの人からしたら悪夢だからな。」
慣らし運転に中級部屋(推奨階級軍曹~少尉)で暴れようと思ったら見知った顔がいた。と言うかすでに暴れてた。普段は上級部屋(推奨階級中尉~中佐)どころか無制限に顔を突っ込んでいる分類だし。ふざけんなって言われてもしょうがないレベルだし。
【まぁ、今日は百合姫先生がいるからレヴィちゃんが撃破される心配はしなくていいし、前衛のユート君達には安心してもらえると思うよ(/▽\)♪それくらい仕上がってるのだよ、レヴィちゃんは】
「そりゃそうだろ。一人で89kってふざけてんだろ。」
因みに30vs30で7人欠けの53人。時間内にどれだけ敵を倒せたかを競うチームバトルで、平均10kいけば良い方、暴れた方で20k、と言った辺りの筈なのに一人で89kという記録を出したのだ。一人だけ別ゲーをやってるかの如くだったし。
「まぁ、良いんだけどさ。調子が上がってるってのは俺らにとってプラスなことだし。」
【ふふふふふ、任せたまえよユート君。見事なまでの狙撃を見せてあげるから(*´ω`*)】
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《まず二手に別れてほしい。障害物が多い短い道と、障害物が全くない代わりに長い道。2:3に別れてそれぞれ進んでほしい。健闘を祈る。》
レヴィの任せたまえはフラグでした。
イベント会場へと向かい、リーダーとして登録させられたカホから予め受け取っておいたチームIDを受付のお姉さんに言うと、既に俺ら待ちをしている面々にあった。そして、いざイベントスタートと思いきやこのオチである。
「で、どーするのさリーダー。」
「障害、物ある、側に、地雷、関連の、ふたり、あるてしあ、ユート、でいって、ほしい。」
【そうすればレヴィちゃん後衛、カホちゃん前衛、ざるそばさん遊撃のチームが出来るしね、無難なところかな(⌒‐⌒)】
「それか、俺、レヴィ、カホが障害物無しでざるそばさんとあるてしあが障害物ってのもあるが…。」
「無理。大した親交も無いのに私が男と二人っきりなんてマジでやだ。」
「だよな。じゃあ俺とあるてしあが障害物ありに行くわ。」
一応、ざるそばさんにフォローをしておくか。
「最初会ったときは俺もこんな感じ、むしろもっとひどかったです。だからあんまり落ち込まないでくださいね。」
それだけを言うとあるてしあのあとを追い、短い道と書かれた扉を潜る。
※※※
扉を潜り、少し歩くと急に立ち止まるあるてしあ。真面目な顔をしている。
「さて、ユート。一応これでも上位プレイヤーとしての勘なんだけど、厄介事の匂いがするんだよね。だから本気でいくよ相棒。」
「…当たるからな、勘。良いぜ。付き合ってやるよ、相棒。」
あるてしあによって地面に設置されていく地雷。それを俺が地雷殺のセンサーで見つけてそのまま除去する。
それをひたすら繰り返す。
殆ど知られていないがあるてしあの地雷は地雷センサー共有不可という特性を持っており、Pが地雷センサーで地雷を見つける→それをマップで共有してEが地雷をお片付け。という定石通りの動きをしていては一向に地雷を消す事が出来ない。俺のように一人で地雷を見つけて排除できるやつでないと地雷を撤去することはできない。
さらに地雷が解除される度にあるてしあの残り地雷数が二つ増える。つまり地雷を外す度にあるてしあへと一つ余分に増えて手元へ帰っていくのだからえげつない。
そんなあるてしあの地雷特性を活かして、限界数の99まで数を増やしておこうと言う話だ。
このコンボをたまたま出来ちゃったときはお互いびびったものだ。そのお陰で酒イベで最後まで残れたのだけど。
地雷をMAXまで増やしてホクホクな気持ちでしばらく進むとあるてしあが手を軽く挙げて止まれと合図してきた。
どうやら敵襲のようだ。銃声とともに弾がこちらへと飛んできた。回避運動をするまでもなく元々外れのコースを走る弾丸だったためにうごかなかったけど。
「下手くそだね。この距離なら私でも簡単に当てられるよ。レヴィちゃんならHS余裕なんじゃない?」
「俺はもっと下手だな。あれがうまく見えるもんよ。」
「ユート下手だもんなあー狙撃。何でそんなに下手なのか知りたい気持ちはある。」
「俺は真面目に狙ってんだけどなー。真っ直ぐ的に向かって撃ってるんだけど。」
二人揃ってコの形をしている障害物の内側に入って談笑。既に地雷は設置済み。こっちが動かない限り勝確だ。
「ところで話変わるけどさ、ユートの交友関係って女の子だらけだよね。なんで?」
「女だけでは無いぞ?男も結構居る。むしろ今回組んだ三人以外は灯くらいだ。」
「…。オフレコにしといてあげる。」
「?。さんきゅー?」
「なんでそんな化け物みたいなのと知り合いなのかなぁ。私といい、カホちゃんといい、レヴィちゃんといい。」
「化け物ってお前なぁ…。だってに灯はリアル妹だし。」
「はぁ!?妹!?あいつが!?」
「驚くことか?そんなに」
「………普通驚くよぉー。これもオフレコにしといてあげる。」
「そうなのか。さんきゅー。」
「………………あ、誰か引っ掛かった。ようやく一人だよ。」
「ようやくかよ。あと何人くらい居そう?」
「二人だね。さっさと来てくんないかなー。煽る?」
「煽って来なかったらダサいからなぁ。」
全滅させるのに、結局このあと数分の時間を必要とするのであったとさ。
その後は危なげなく進んだ。運営が置いたと思われる地雷は俺が無効化するし、古典的なネタトラップであろう転がる岩はあるてしあの地雷で破壊したし、天井落下や落とし穴は俺のような近接プレイヤーやあるてしあのような最上位級プレイヤーには通じないし。反応速度的に余裕でブースト吹かせました。な展開だったし。
「で、次に来た奴等と組んで進まなきゃ行けないってわけ?」
『ええ、この先へ進めるのは4人の方のみとなってますので。』
あるてしあがNPCのお姉さんに突っかかっているが芳しくない。
拓けた場所へとでたからゴールかと思ったら中継地点であったというオチだである。
【4】と書かれた扉を潜れば先に進めるのだろうけどお姉さんが扉の前に立ってるしそれはできない。4人揃うのを素直に待つべきなのだろう。
『そろそろ来ると思われますが……。と、来ましたね。彼らと組んで貰います。』
お姉さんが指した方向から人が二人ほど入ってきた。一人は大柄で厳つい顔の茶髪。もう一人はふわふわした印象を抱く水色の髪の毛をウェーブさせた女性であった。
女性と目があう。眠そうなその目が少し驚いたかのように開かれる。
「あ、私とダグをアクエリアスが殺すのをサポートした砲台役の子
だー。」