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4.都市内通路での出来事~地雷からの狙撃とかマジ鬼畜~

 都市への出入り口である門をくぐり抜け、すぐ近くにあった、細い通路へと歩を進める。


 すると通路のど真ん中に地雷が設置してあった。


 まぁ予想はしていたし、俺のザブ武器のひとつが地雷センサーの機能を持つから容易く察することが出来た。



 問題はその近く、こっちから死角になるところにSスナイパーが三人重なって地面に突っ伏して居たことだ、しかも地雷を撤去しようとする際の位置を見計らって撃ってきやがった。


 咄嗟にカホが俺を守る為に前に出る。しかし、如何にカホとは言えSの狙撃3発はきつい。おそらく耐えきれない可能性の方が大きい。

 そして、カホが沈めばこの狭い通路でS三人相手に(近接専門)が出来ることなんてなにもない。


 ―ならば手はひとつ。―


 前に出てきたカホを瞬時に持ち替えた[殴り装備]で前方30度ほどの角度で飛ぶように殴る。


 ヒュン!ガキン!

 一発は脚へ。一発は腹へ。腹への弾丸は兎も角、脚への弾丸はかすった程度だ。

 LIFEを見ると24と記してある。


 ギリギリ過ぎて冷や汗物だが運は此方の味方の様だ。


 カホの方も一発貰ったようだが耐えて、サブのSGショットガンで敵Sを殲滅。さらに隠れていたTトラップマスターの特攻を受けきって(・・・・・)零距離HSヘッドショットを決めて相手をリタイアさせていた。


 『ミスった。パイル喰らったのと狙撃一発。それに悪あがきのリボルバー数発は痛い。』


 『……残りいくつ?ちなみにこっちは24』


 『……………3。』


 ヤバい。

 どっちもLIFEに余裕がない以上迂闊な動きはできない。

 そもそも、俺のサブ武器は[地雷殺し]と[煙幕手榴弾]の非攻撃手段だ。

 地雷殺しは本来Pプロフェッショナルが持つサーチシステムのひとつの[地雷サーチ]の範囲を狭めた代わりにある程度近づけば、特殊な電波を打ち出して地雷撤去をもしてくれるというレア武器だ。


 これのお陰で地雷には気にしなくても良いとはいえこの状況はよろしくない。まぁカホのお陰で生き残っている状況ではあるけど。


 『ユートどうせTCチームチャット切ってるだろうから、敵陣周辺で連鎖地雷をミサイルで起爆させたバカが居るみたい。結構な数減ったみたいよ。』


 カホと動く際はいつもTCは切っている。カホがいつもフレンドチャットで話すから聞こえ辛いためいっそのこと切ってしまおうと、切ることにしているのだ。


 『まぁこの人数だし。むしろそれで上位陣が消えてくれてれば幸いだ。』


 ちなみに今回の設定だとメニュー(利き腕の反対側に装着される腕時計がメニューキーとなっている。俺は左)からマップと自軍のリストと敵軍のリストは開ける。設定次第ではお互いの残り数や誰がどれだけ討ち取ったかの数、敵軍への一方的通信等出来たりするが、今回はなしだ。

 だからどれだけ敵が減って味方が残っているかがわからないって言うのが少し辛い。


 カチッ


 カホが丸いドーム状の物体を今いる通路の床へと設置する。

 設置型のサーチマシーンで、設置した場所から半径20Mにプレイヤーがいるかどうかがわかるという優れものだ。設置している限りいつでもその情報が見れるし使い勝手は良い。ただし、設置してから効果が出るまで数秒を要する欠点があるため即効性こそないが。


 『……どうやら近くには居ないみたいだね。少なくとも今はまだ安全。』


 なら、少し腰を据えて作戦会議と洒落こむとしよう。


 『まず、俺らの状況だが、ぶっちゃけよくないよな。』


 『そうだね、ユートが私をもう一回殴っただけでも私は死ぬし。出来る戦略がガクッと減ったね。』


 『と言うことはだ、特攻覚悟で敵陣までブースト吹かして突っ込むか、moriさん達のところまで戻るか、一人でも敵を多く倒すためにそこら辺を徘徊するか。こんなもんか?』


 『まず、moriさんのところまで戻るのは論外。こっち側が敵陣まで攻め込んでた以上向こう側からも来てると思う。現に入口から近いこんな脇道にトラップを仕掛けて狙撃準備までするほどに時間はあったみたいだし。』


 『じゃあせめて一人は倒しておきたいから徘徊するか?特攻は非現実的だし。』


 『…悪かった。一人くらい残しておくべきだったね。』


 『あれは仕方ない。死ななかっただけ儲けもんだ。』


 『とは言え徘徊するくらいならここで待ち伏せしておいた方が良いかもよ。いくら下手なユートでもこの狭さなら当てることはできるでしょ?』


 MSAを装着した状態だと二人で並ぶのが限度な狭さ。まぁ当てられなくはないか。


 『当てるだけなら。HSとか狙えないけど。』


 『そこまで求めてないから。じゃあ待ち伏せってことでおk?』


 『おk』


 てことで戦略は待ち伏せ。カホがSGでLIFEを削り、俺が銃をぶっぱして撃破数を得る。

 まさに俺のための布陣だ。


 『なんか悪いな。俺のためにこんなことさせて。』


 『味方8、敵4。個人としては最良な戦績だし別に構わない。むしろアシストしてくれたお礼。』


 謝れば素っ気なく返事が帰ってくる。

 アシストしたお礼とはいっても殴っただけなんだけどなぁ。とは言えそう言ってくれるのならば上手く敵を倒して撃破数を得るのがお礼になるよな。


 気を取り直して集中することとしよう。




 《Emergency!Emergency! ムーンコア中央区の重力発生装置が破壊されました。約30秒後に効果が切れ、無重力へとなります。》


 集中しようと思った矢先にこれである。なんなんだこの戦場は。


 『うわっ!TC荒れてる!五月蝿い五月蝿い!通知OFF、通知OFF………………あー、狂うかと思った。』


 緊急アナウンスと同時にメニューを弄くっていたカホはふぅ、と一息つきこちらを見る。


 『待ち伏せどころじゃなくなったね。私はガトリングぶっ放すことにするけどユートは?』


 『…俺も銃を乱射することにする。俺らみたいにギリギリなLIFEのやつらがいるかもしれないし。』


 現状それしか手がない。


 『まぁ、今回はバカばっかな戦場で残念だったね…。』


 慰めるかのようにカホが言ってくれる。

 確かに考えてみれば両陣営ともガトリング砲と地雷とでダメージを受けていて、重力装置の破壊。

 普通やらんだろ…。というアホなことをやっているのだ。


 上位陣の考えることはよくわかんねーな!この理論でいけば隣のカホもアホなことやってる訳だけど。黄道十二星座イベント突破している時点で上位陣でも遜色ないか。


 『…来るよ。心の準備、しておきなよ?』


 カホのその言葉を最後に身体へと開放感のようなものを感じる。地面から足が離れる感じがする。


 そして―、無重力になったこの都市の影響を受けて、俺らは少しずつ浮いていくのであった。              

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