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異世界転生七人組!  作者: 狂人Q
幼少期編
9/15

Turn-8 転生生活 -ヨシュアの場合-

テストで時間が足りなかったため、今回は短めです。

誤字があったらすみません………

side:Yoshua




俺が高校三年生の“天笠慶人”から異世界の子供“ヨシュア”に転生して、早くも4年が経過した。


生まれた場所はこの世界最大の国家であるディーラ帝国の王都イルトスク、の外れにあるスラム街。


海賊刀(カトラス)を使う冒険者の父親カイルと専業主婦の母親イシュカに厳しいながらも大切に育てられ、スラム街の中でも沢山の友人に恵まれた。


スラム街と聞いて良くないイメージしか沸かなかった俺には、自分が恵まれている事に感謝していたが、恵まれていた事は他にもあった。




ヴェアウルフの中でも数が少ない希少種、ガルム。


12種族と呼ばれる者達の中で最も野性の本能が強く、生命力や瞬発力に恵まれている者が多い。


それが俺の種族らしい。




「フン………ッ!」


スラム街の一角、小さな空き地。


そこで俺は親父監督のもと、気合と共に両手で握った小剣(ショートソード)を勢いよく振る。


その剣筋は的として用意した木の棒の中ほどにガスッ、と音を立てて食い込んだところで動きを止めた。



「………踏み込みが浅い。剣もそうだが武器を使うなら深く踏み込んで一気に振り抜く感じで斬れ。そうしなければどんなに良い武器でもただの(なまくら)になってしまうぞ」

「はいッ」


長年冒険者として活躍していた親父(見た目20代だが中身は40代らしい)の指示は的確で、一つ一つ問題の部分を解決していく度に自分の力量が上がっていくのが実感できた。



それから素振り、筋トレ、ランニングなどをこなした後、やっと朝食へと移る。



何でまだ4歳なのにこんなハードに練習できるか?


………説明面倒だから頼んだ、07。


『はいはい、かしこまりー。』



コイツは俺に宛がわれた疑似人格、M(メイル)-07。

このユルい口調から仕事(俺のサポート)もいい加減な感じがするが、教える時はしっかり教えてくれる。


『ヴェアウルフ種を初めとする獣人種、12種族でのケットシー種・ホビット種・ケンタウロス種・ミノタウロス種・リザードマン種・マーマン種などはその他の知的種族に比べ比較的早熟であり、その中でも特にヴェアウルフ種・ケットシー種・ホビット種・マーマン種は肉体の最盛期が長い事でも知られています』



………との事だ。


実際、地球の感覚からすると俺の肉体年齢はもう6,7歳くらいじゃないか?


周りの獣人種を見ても見た目相応の考え方を出来るらしいから某名探偵の逆パターンなんて連中はそうそういない、と思う。




「あら、また訓練?たまには朝食食べてからでも良かったんじゃないの?」

「いや、朝早くからやらせた方が習慣付けるには丁度良いんだ。況してやヨシュアももう4歳。ガルム族として、戦士を目指すなら今からでも始めておいた方がいい」


家では既にお袋が朝食を作り終えていた。

献立は黒パン二個にレトゥエの葉が入ったスープとアプレの実が三切れ。



朝食を作ってもらってこんな事を言うのも悪いんだが、個人的に言わせてもらうとスープが薄味なのが気になるんだよな………いや、異世界に来てまで味を追い求めるほど食に執着はしていないんだが。


後は見た目がそっくりなのに味が違うものがあると混乱する事もなんか嫌だ。

アプレをリンゴと勘違いしてかじりつき、口内中が酸味で溢れ返り悶え苦しんだのが何回あったことか。




--------------------




で。


そんなこんなで朝食を終え、俺と親父はスラム街を南に少し行った場所にある森へと行く。


手には弓を携えて。



ウチの家族は月に二、三日ほどこの森で動物を狩り肉を得る。


獲れるのは主にキークン鳥やドエ鳥、時々だがボルと呼ばれる豚もどきが獲れる事もある。


まあ、狩りで手に入れた肉類は自分達用に少し残してスラムの露天市に流し日用品に変わっちまうんだがな………たまには腹一杯肉を食いたいと思うのは仕方ない事だろう。



森の中ほどまで来たところで、今日の獲物は見つかった。

「キークン鳥か………俺が奥の二匹をやる、ヨシュア。お前は手前の一匹を射るんだ」


親父は普段狩りを見せているだけで俺に狩らせてくれたのは何十回通った中でほんの数回程度だ。


「………わかった」


だからこそ、一部とはいえ狩りを任せてくれた。その事が俺には嬉しかった。



期待に応えたい。認めてもらいたい。



思わず弓を握る手に力が籠る。

スキルは持っているだけでは意味がない、正しく活用できてこそスキルは真価を発揮する。


弓に関連するスキル<射弓>はLv2まで取得しているが、そのスキルを完璧に使いこなせているか、と聞かれれば答えはNOだ。

というか実際、スキルがしてくれる事といえば『基本威力の底上げ』と『スキル相応の行動修正』程度のものだ。

仮にLv.Maxまで持っているとしても失敗する時は失敗するし、当たり所というものもある。


………いかん。そもそもやる前から失敗する事を考えるなって言われたか。



獲物にバレない様、慎重に矢を番え弦を引く。



息を殺し、殺気を抑え、ゆっくりと構える。

大丈夫。練習した通りに射れば当たる場所は殆ど変わらない。



「今だ」



親父の合図と共に弦を引く指を離す。

放たれた矢は矢羽によって勢い良く回転しながら飛んでいき、キークン鳥の一匹(狙い通りの場所)へと命中した。


「シッ!!」


それに比べて親父は凄かった。

俺が仕留めてすぐに一匹目の頭を射抜き、続いて素早く二射目、これも射損じる事はなかった。



「ふむ。やはり二射連続でヘッドショットは厳しいな………」



おまけにこのセリフである。

聞いているだけならそうは思わないかもしれないが、実を言うと俺達と鳥の間は軽く50m以上離れているのだ。


ちなみにキークン鳥の大きさは大きいものでも大人の掌程度(大体20~25cmくらいか?)しかない。


人間の頃だったら粒にしか見えなさそうな目標に二匹も当てて、その内一匹はヘッドショットかましてる奴の言うセリフじゃないだろ………



「ま、お前もその内俺以上に上手くなるさ。ハッハッハ」



一生掛かっても無理な気がする。



こんな感じで終始狩りは続き、夕方にもなるとそれなりに猟果を得てそれを露店に売る。



「ほら、今日の分だ。幾らになる?」

「う~む、この頭射ち4匹は4800ラル、それ以外の7匹は4900ラルがで合計9700ラルニャ!」

「わかった、それで頼む」

「はいはい、毎度ありニャ~♪」



いつもの露店で店番と駄弁りながら数枚の硬貨を受け取る。

ちなみにラルというのがこの世界での共通通貨で、鉄貨・銅貨・銀貨・金貨・白金貨の五種類からなる。



単位別に表すと、


鉄貨 =1ラル

大鉄貨=10ラル

銅貨 =100ラル

大銅貨=1,000ラル

銀貨 =10,000ラル

金貨 =50,000ラル

白金貨=100,000ラル


こんな感じか。



「ところで、今日はヨシュアも取ったんニャよね?」

「マジ?分かるのか?」

「そりゃあ、カイルさんじゃ有り得ないくらい下手な矢傷を見たら………ニャア?」



マジか………弓の腕って傷見たら分かっちゃうモンなのかよ。俺ってそんなに下手?



「そりゃあもう、酷いくらいニャ」

「おま、もうちょっとやんわりと言ってくれよ………ミーア」


そういえば説明するのを忘れてたがコイツはミーア。

ケットシー種の亜種であるバテスト族の女で俺と同い年の幼馴染みって奴だ。


悪戯好きで調子に乗りやすいが、顔立ちは整ってて顔だけなら割とモテるタイプの奴。


まあ、俺にはヨナが居るからこんな奴が幾ら可愛くなろうと変な目で見たりしないし、どちらかというと悪い虫が付いたりしないか心配する頑固親父的目線で見てる気がする。


「ほら、友達と話すのは楽しいだろうがいつまで話してる?帰るぞヨシュア」

「わかってるって親父ッ」


「ま~たニャ~♪」



ま、こんな感じで俺の幼少期の一日は幕を閉じるのだ。




後書きは今後、本編の進行上紹介できなかった地名や用語、武具、道具などなどの説明欄として活用する事になります。



【地名】

[ディーラ帝国]

大陸の中心部を支配する世界最大の国家。

政治は皇帝による世襲制の封建主義とされているが、実態としては独裁主義になっている。

世界を支配する事を第一に考えていて、それにより国内では治安の悪化や有力者の横暴、飢餓に貧富の差なども広まっている。


[イルトスク]

ディーラ帝国の南部に構えられている王都。

世界の中心という事もあり物流の終着点で物資が豊か。


[大陸]

世界の六割を占めると言われる大きな陸地。

世界地図の五大大陸を無理矢理縮めて繋げた様な歪な三日月型をしている。


【用語】

[12種族]

この世界で特に数が多く友好的な12の種族、ヒューマン・リリパット・オーグル・エルフ・ドワーフ・ヴェアウルフ・ケットシー・ホビット・ケンタウロス・ミノタウロス・リザードマン・マーマンの総称。


[ガルム]

ヴェアウルフ種の中でも特に能力に秀でた希少種。

銀色の体毛が特徴であり、「銀色の死神」とも評される。


[バテスト]

ケットシー種の中で過酷な環境に適応してきた亜種。

褐色の肌に暗い色の体毛が特徴。


【武具】

[青銅のショートソード]

種別/階級:片手直剣/一般(ノーマル)

属性:実体

攻撃力:18+7~14~21

概要:青銅製の小剣。ごく一般的な武器で強度もそこそこ。


[ショートボウ]

種別/階級:/一般(ノーマル)

属性:実体

攻撃力:6+3~12~21

概要:一般的な木製の短弓。威力は低いが弦の張力は低く初心者用。


【動植物】

[レトゥエ]

レタスに似た見た目の野菜。

味は同じらしい。


[アプレ]

リンゴに似た見た目の果物。

味はレモンの様に強烈な酸味を持っている。


[キークン鳥]

体長20~25cm程度の鳥。

物音に敏感で臆病な性格だが、反応が鈍いため仕留めるのは容易い。


[ドエ鳥]

体長15~25cm程度の鳥。

主に地上で活動し昆虫を餌とする。


[ボル]

体長1~2.5m程度の猪の様な哺乳類。

性格は温厚で人里で家畜として飼われる事もあるが、稀に好戦的な個体も居る。

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