Turn-6 転生生活 -はじまりはじまり-
side:Yoshito=Amagasa
うわあ、何だか凄い所に来ちゃったな。
俺が異世界で目覚めてから初めての思考である。
石レンガが剥き出しのそこそこ明るい部屋の中。自分はその部屋内の小さなベッドの上で寝かされていた。
起きようと試みてはみたが、何だか身体に力が上手く入らず断念。あちこちを触ってみた結果、どうやら俺は赤ん坊になっている様だった。
あの狼耳&尻尾も健在であった。
赤ん坊だからか、あまり毛は生えてなくツルツルした………毛無しチワワみたいな触り心地で、自分のモノながらちょっと気持ち悪い触感だった。
さて、他に何か出来る事は―――――
『あ~、オホンオホン。先程の転生者達諸君、神様から君にちょっとしたお知らせがあります』
突然脳内に響く声。
は?神様から?
『君達の作ってくれたステータスなんだがね………上に提出した所。何人かは名前の欄を変更しなくてはならないらしいんだ』
上に提出とか、神様の癖に割と俗っぽいな。
それよりも、名前を変更しろだと?
『うん、そだよ(笑)』
某工作番組並みにノリが軽いなおい。
『だってさ、任されている仕事はこれだけだし、仕事量の波は大きいし、娯楽どころか休みも無いし………何と言うか、退屈なんだよ!』
それで退屈しのぎに俺達をからかって遊んでいると。
『うん、そだy
二度も言わせねえからな?
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『ハローハロー、聞こえてる?』『おおっ、与那!』
とりあえず迷惑料代わりとして、他の連中と話せるようにしてはもらったが………
『お~い!こっちは滅茶苦茶エロいエルフに囲まれてんだけど!何ここ、天国!?』『(ピー)で(アッハ~ン)で(ドキューン!)な女の子いねえな………』『こんな所で欲望漏らしてるんじゃないわよこの変態共!』『パネェ!念話パネェ!』
以上。順に市原、二階堂、久保山、田原なんだが………
『…………………………うるッせえええェッ!!』
そう、凄く煩いのだ。
声が脳内に直接響き渡るので、耳を塞いでも大音量の騒音が直に届いてくる。
一旦は静かになったものの、何時また騒ぎ出すか判らないのでとっとと本題に入らせてもらおう。
『で。今回は名前を変えるらしいが、誰か変えたい奴はいるか?』
『はい!』『ほい!』『ソォイ!』
何で最後だけ何かを叩き付ける時のような掛け声してんだよ。
とりあえず挙手(?)したのは田原・市原・二階堂の三人か………
-----Yoshito=Amagasa→Sho=Ichihara-----
『神様?先に俺達の名前決めちゃってOK?』
『うむ、大丈夫』
とは言ったものの………特に何も思い付かないんだよなこれが。
『あー、とりあえず僕はタッカーで宜しくッス』
『やだよぅだ(憤慨)。洗濯バサミに竹ひごを刺しただけじゃない』
『………まさかここで、某ゴリラなのか熊なのか不明瞭なヤツのセリフが聞けるとは思わなかったッスよ………』
『冗談は置いといて、それでOKね』
田原はもう決まったのか………
ってか、そこは普通に○ロリって言えよ………
『ロリ!』
真哉、俺はそういう意味でこの伏せ字にした訳じゃねえ!っていうか地の文を読むな!
まあ、ゴ○リネタは置いといて………
『ゴリ!』
だから違ェッて!
田原の名前はただ単に敬征→タカマサ→タカ→タッカーに捩っただけだろうが………
ショウじゃ捩りようがねえな、うん。
『俺はサイノアで』
『はいは~い♪』
『原型留めなくて良いのかよ、おい!』
『ファンタジー世界だしそれっぽい名前の方が………格好いいじゃない?』
あれ………いつもに比べると、割とマトモ………?
『ついでに女の子にモテそうな名前にしたかった』
『最後の一言で台無しだよチクショウ!』
お前もモテたい一心でその姿を選んだんだろうだって?それはそれ!これはこれ!
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色々あって結局思い付かず、田原に任せた結果。俺の名前はジニーとなった。
………何で女っぽい名前にしてんだよ。
『英語のGenius(天才)から取ったのと顔が女っp………いや何でも無いッス』
あ"あ?
てめー今、おれの顔のことなんつった!いや、気に入っているから別に怒る必要は無いんだけどな。
………まあいい。
-----Jinnie→Yona=Hurutake-----
真哉達の声が聞こえなくなったけど………大丈夫なのかしらね、あの三人。
『はいは~い♪神様只今もっどりました~!』
何か神様は最初と比べて性格が崩壊し始めてるし………何やらかしたのよアイツら。
『で、後何人変えればいい?』
『う~ん………後は………二人、かな?』
神様が言うには、同じタイミングで大人数が転生する場合は前の世界との繋がりを極力減らしておかないと時空とかにえらい歪みを生み出すからこうする、らしい。
『なら、男の俺達二人が変えりゃいいだろ』
『だな』
え?ちょっと………
『俺はヨシュアで』『俺はヒューラーだ』
『かしこまり~♪』
『ちょっと待って――ッ!』
ブチッ、とまるで何かを切断する様な音ともに念話はそこで途切れる。
私の声も一歩届かず、こうして名前変更騒動は静かに幕を閉じたのであった。
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今の私が寝ているこの部屋からして、どうやら私の家は中世の中~高所得層らしい。
流石に王族とまではいかないかも知れないけど、そこそこ位が上の貴族・騎士である事は確かだ。
………そういえば決定したあのステータス画面はもう見られないのかしら。
そう考えていると、脳裏に<実行:ステータス画面>との声と共に以下の文字が表れた。
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名前:ヨナ=ファルテ
性別/年齢:女/0
守護星座:聖盾座(優:体,敏,感/劣:筋)
Lv:3
HP:31/31
MP:58/58
筋力:04+1/体力:07/敏捷:08
感覚:08+5/知識:12+4/精神:07+3
スキル:17/20
スキルP:0p
<練体Lv1>
<刺突Lv2>
<長柄Lv3>
<発声Lv3>
<運動Lv3>
<生活Lv3>
<軽業Lv2>
<集中Lv5>Max
<作業Lv2>
<学術Lv4>
<算術Lv4>
<言語Lv1>
<育成Lv3>
<根性Lv3>
<水冷Lv3>
<調理Lv2>
<槍術Lv2>
加護:1
<時間停止>
アーツ:2/14
<薙ぎ払い>
<二段突き>
魔法:1/13
<水圧鎚>
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これは………
『貴女のステータス画面です、ヨナ様』
脳裏に響く声。
(だ、誰!?)
驚いて思わずそう脳内に問いかけると、
『申し遅れました。私、疑似人格のM-02であります。今時点より貴女の転生生活を補佐させて頂く事になりました』
と、私の疑問にその声はすぐ応えてくれた。
(それにしても疑似人格?何でそんな物が私に?)
『貴女だけでは御座いません。転生者にはすぐにこの世界へ慣れてもらう為にも必ず疑似人格を設定させて頂いております』
(へえ………って事は今頃他の六人も、こんな感じなの?)
と聞いてみると、
『済みませんがその情報を開示する権限を、私は持ち合わせておりません。』
と返されてしまった。
それはそうか。これを使ってお互いの情報をやり取りされてしまえば、普通の人達からすると完全にズルよね。
『私が応答できるのは残り155,519,078秒です』
突然の宣告。
………は?
(えっ、ちょっと待って。時間制限?どういう事?)
『残り155,519,068秒――貴女が転生してから155,520,000秒の間のみ、私は応答する事が出来ません。それ以上の干渉は転生者及びその周辺の方々に著しい悪影響を与えかねませんので………』
本来は親や知人に教えてもらう情報を、自己解決されてしまうと困るのかしら?
(えっと、つまり疑似人格に頼りっぱなしの状態になるのを防ぐ的な?………後、残り時間の単位を一番最大にしてもらえるかしら?)
幾ら何でも解り辛いわよ、秒数だけで教えられても。
『概ねその通りで御座います。尚、残り時間は4年11ヶ月29日23時間44分13秒となります』
(じゃ、以降はそれで頼むわ)
『畏まりました、ヨナ様』
さて、まずは―――――
(この赤ちゃん生活から脱しないと、ね)
これより一話につき一人形式で行こうと思っています。
更新が遅いのは作者の仕様ですので感想も批評もアイデアもドシドシ!応募しています!………メンタル弱いのは本当ですよ(笑)