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異世界転生七人組!  作者: 狂人Q
プロローグ
4/15

Turn-4 変身、そして転生(リ・バース)

side:Sho Ichihara




「………あちゃー、やっぱり間違って<決定>しちゃったか」



何だ、コリャ。

田原が突然男女(おとこおんな)になっちまったのもビビったが、今度は慶人が狼人間になっちまった。


死んだって報せから思ってたが、マジで何でもありだなココ。


俺は自分のパソコンの画面を見る。

そこには<ランダム決定>の1回目で見事に<超改善>を引き当てた猫の様に(しな)やかで、それでいてがっしりとした俺の姿。



<決定>を押せば、俺もこの姿に………



思わずマウスを握った手が<決定>を押そうとスライドさせていく。


ガシ。


「ちょっと市原………それを押すのは止めなさい」



ざんねん! その て は ふうじられて しまった!



「離せ!俺にはイケメンになるという夢がある!」

「勝手に変身されてもこっちが困るのよ!心の準備とか!」

心の準備って何だよ!全く、女の考えってのは理解出来ねぇや。


「いや、心の準備って、訳分かんねえよ。説明してくれ、三文で」

そう言うと、多少落ち着きを取り戻そうとしてるのか深呼吸2回、終わると同時に話し始めた。


「………つまり、

・部員が別人になった

・彼氏も別人になった

・見知った顔が減るのはもう嫌!

という事よ」



………



「って、自分の我儘だろうがそりゃ!もう限界だ、押すね!」

「あっ!」

俺は古岳の腕を強引に振り切り、<決定>を押した。

画面の姿が揉み合いで変更されていたのにも気付かず………




--------------------




俺を包んでいた光が消え去ると、今までの身体が大岩でも背負い込んでたみたいに軽くなっているのを感じる。


「おお………何かスゲエ………」


自分の掌を見ると、華奢な指と小さな掌が目に付く。…………………………華奢?


おかしいな………俺って確か、靭やかでがっしりした体型になるはずだったのに………


ハッとなり、慌てて画面を覗く。

そこには線が細いがしっかりとした体つき、女性的な顔と尖った耳をもった西洋風の茶髪キャラが<2回目:改善>の文字と共に映っていた。


「な、な、な、何じゃコリャアアアァァッ!?」

「あーあ………」



少なくともランダム決定で田原みたいに性別が変更される事は無い。そこはすごく安心出来るんだが………


俺は女の子にモテたい一心であのキャラに変身したかった。

なのに古岳と争っていたお陰で結果は男にモテそうな女顔の男になっちまった!!




………



……






あれ、待てよ………いや、これはこれで良いんじゃないか?

ビジュアル系のメイクもよく映えそうだし、なにより黒髪の様に清楚っぽくなくて、かといって金髪の様に着飾っている風でもない………それに、こういう顔が好みって女も最近は増えてるらしいし………


「………割とこの姿、良いかも!!」

「おー!天笠先輩はワーウルフ(仮)、僕がワーラビット(仮)、今度は市原がエルフ!人外多いッスね!」

「人外………か、確かにな!ハハハッ!」


田原は何か知らんが喜んでるし、慶人も笑い始めてるし………まあいいか。






-----Sho Ichihara→Takamasa Tabara-----






いや~、こうなってくると段々異世界に行くって実感が沸いてくるッスね~ッ!


あ~、早くこんな事終わらせたいッス!!



「ケ○ル!ホ○ミ!ヒール!………<重症治癒(キュアウーンズ)>!」


暇潰しに片っ端からRPGでお馴染みの魔法を試したら、最後の言葉を言い終わると同時に僕の身体が少し輝いて身体が温まる。


「おっ!魔法まで使える様になったのかよ田原!いいなあ、俺も使えるかな?」

「慶人は魔法系のスキル取ってないでしょ?無理に決まってるわよ」

何やら魔法が成功した事で周りから注目される、ちょっと恥ずかしいッス。


確か僕が持ってたスキルで魔法系統なのは<生命>と<精神>、あと離れてるけど多分<錬成>の3つ。


<重症治癒(キュアウーンズ)>はD&○の回復魔法だから<生命>に入るんスかね?



皆が転生準備をしている間に他に成功したと実感できたのは、


“生命魔法”

<軽症治癒(キュアライトウーンズ)>

<範囲軽傷治癒エリア・キュアライトウーンズ>

“精神魔法”

<困惑眼(コンフューズアイ)>

<恐怖眼(ドレッドアイ)>


の4つだけ。



残念ながら<錬成>のスキルは[使用不可能]と出所不明な天の声に言われるだけだったッス。

どうやら魔法系スキルのレベルは<使用可能な魔法のランク>と<魔法の効果や範囲>に関係しているらしいッスね。


他に魔法が使えたのは古岳先輩(水のみ)と久保山(火・地・雷)だけッスね。ってか久保山が地味に凄いッス。


だって手から火が吹き出したり、全身から雷を放出したり、突然空中から石の槍を作ってぶっ刺すとか(以上被害者全て僕)非道の限りを尽くして行きましたよ彼女は、ええ。


傷は勿論自分で<重症治癒(キュアウーンズ)>使って治療したッス。滅茶苦茶痛ェッス。


刺されているのに血も出てないのは、いや、死んでるからか。

というか何で僕ばっかりこんな目に遭うんスかね………?






-----Takamasa Tabara→Yuzuki Kuboyama-----






何故に自分ばかり被害に遭うのかって?


それはね………こんな所で素っ裸になる奴が悪いのよ!

全くもう、恥ずかしいったらありゃしない!

二階堂先輩から隠すのだって大変だったのに、田原君といったら『ありがとう』も『ゴメン』の一言すら言わないんだから!


人生の教訓って奴よ!わかった!?



………なんて、頭の中で考えてても伝わらないわよね。


でも、まさか自分でもあんな事が出来るなんて思わなかったわ。

手から炎や雷って、どんな奇術師よ。


まあ異世界ならそんなの当たり前に、それこそゴマンといるんでしょうね。



兎も角、私が使えるのは、


“火炎魔法”

<火炎球(ファイアボール)>

“地変魔法”

<石柱槍(ストーンランス)>

“雷撃魔法”

<発電(ジェネレート)>

<放電撃(スパークショット)>


の4つだけ。



特定の魔法名にしか反応しなかったから、多分魔法名は最初から全て決まっているのか、自分で強いイメージを持てる魔法名でないと発動出来ないのか………まあ、そこは要検証ね。


というかこの部屋、これだけ魔法を放って大丈夫なのかしら?

うう………自分でやった事とはいえ、心配になってきたわね………



『諸君、長らく待たせてしまい申し訳ない。私が“神様”です』



突然、アナウンスの様な声が部屋に響き渡り顔をしかめる。

やけにノイズ混じりで男なのか女なのか、子供なのか老人なのか判らない声だった。


『これから君達には新たな世界へと転生して頂くのだが、今この場で転生せずあの世へと行きたい者は?今なら特別に天国行きに強制変更出来るが』



皆が皆、考えに考えてキャラを作った。勿論今更転生しないなんて人はいないでしょう。



こちらの意志を汲み取ったのか、アナウンスは続く。

『よろしい。これから君達は同じ年、違う場所で生まれる事になる。では今の内に――「あっ、ここから声が聞こえると思ったら、やっぱりッス!」うわっ、ちょっと!何をするんだね君は!」



………後ろが煩いと思ってたら、何故か田原君が備え付の棚の向こうから中学生位の少女を引きずり出し、抱き締めていた。


少女の着ているダボダボの服の表面には「真の寄生者(ニート)たる者、図太く在れ!」、裏面には「御飯は扉の前にそっと置いてくれ!」なんて書いてある。


アナウンスが途切れたと同時にあの子が出て来たって事は………まさかアレが神様?




--------------------




「失礼だな君は!この世の頂点である神に対してあの様な振る舞い、断じて許されたものではないぞ!」

「はあ………スンマセンッス」

アレが本当に神様だったのは驚いた。

最初の文面やアナウンスでは紳士的な男の人かと思ったのに、蓋を開けてみればこんな少女だなんて………


「その兎耳を触らせろ、さすれば許さん事もない」

「う………………うう………どうぞ………」

神様(仮)から傲慢不遜な態度で兎耳を要求され、田原君も凄く悩んだ末に差し出した様だ。



もふもふもふもふもふもふもふもふ。



辺りに耳をもふもふする音だけが響くこと数分。


「う~っ!!////」

「うわっふ~、久々にもふもふした!宜しい、許す!」

天笠先輩といい田原君といい………獣耳ってどうなっているのかしら。

触られている本人は凄く身体を捩ってるから、触られると相当くすぐったいのは判ったけど。



「オホン………改めて自己紹介をさせて頂くと、私が神様。とは言っても、精々中級程度だから名前は無いがね」

少女はやる気無さげなトーンの口調で胸を張って、自分が神であると宣言した。



「アンタ、その証拠になる物は?」

「あるんスか?」

………市原君と田原君はこっちに来てからやけに連携が上手くなりつつあるわね。

もしかして………って、そんな訳ないか。



その反論に神様は指先を田原君に向けてクルクルと回しだす。


「一体何を「黙っていたまえ」………」

何か言いたげだった田原君を速攻で黙らせる神様。その声音は既に先程と比べて明らかに数段低い、恐ろしいトーンをしていた。



数秒後、田原君が光に包まれたかと思いきや変身する以前の姿へと戻っていた。


「ほら、元通り」

トーンが元に戻った神様の声ですぐさま田原君は身体をまさぐり、そして発する。

「へ?は?嘘………タマが戻ってるッス!!」



他に調べる場所が無いとはいえ………戻ってすぐ調べたのがそこって、ちょっとアレよね………



「まあ、そんな訳だ。これ以上ここに居させるのも面倒だし上も煩く言ってくるからもうそろそろ強制的に転生してもらうよ」

元のやる気無さげなトーンで神様は再びこちらに向けて指をクルクルと回しだす。


「え、ちょっ、僕の姿はどうなるんスか!?」

「勿論兎耳の方だ、デメリットも返しておくよ」

神様の返答は、ある意味残酷で、ある意味無慈悲だった。




「で、デメリットはお手柔らかにお願いするッスよぉぉぉぉぉっ!!!」



私が部屋で見た物はこれで全部。こうして、私達の異世界転生物語は始まったのだ………






-----Yuzuki Kuboyama→The Minor God-----






ああ………また面倒臭い転生者達が現れたモンだ。前回はええっと………10年くらい前だったっけ?

人間界じゃ長いかも知れないけどさ、神様のスパンで見れば滅茶苦茶短いよ?

上は真面目にやれとか煩いし、来る奴も来る奴で皆煩いし………面倒臭いなあ。




どうせ別世界で上手く生きられる奴なんてそうそう居ないのに何でこんな仕事を作ったのかね。


まあ、精々足掻くがいいさ、あの7人組も。




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