第六話 異変解決
短いのう……
いよいよ、異変解決が近づいて来たわ。
射命丸文が白玉楼の人達だけが何も盗られて居ないという情報を得たらしい。
本気になった射命丸の情報収集能力は誰よりも高く、異変発生から僅か一週間でもう犯人を突き止めて私に、
「霊夢さん!犯人は恐らく幽々子さんですよ!早く異変解決しましょう!早く!」
と急かしてくる。正直私も悠が心配なので是非もないけど。
カメラが無いと文々新聞が出せないから困っているのでしょうね。文字ばかりの新聞なんて誰も読みたくないでしょうし。私も読む気失せるでしょうね。あれ?元々読む気あったっけ?
「そろそろ冥界のはずよね?ここらへんに入り口があったと思うんだけど」
と言った直後に浮遊感が消えて、重力の方向が変わるのを感じる。おっとっとと、ちゃんと立つ。
「さて、いっちょ頑張りますか」
「ですね。頑張って下さい」
「完全に人任せじゃない」
「あ、やっぱりバレましたか」
こいつ、ぬけぬけと……。まぁいいわ。私は心が広いからね。
でも、少しおかしいわね。石階段を登りきったのにいつもなら妖夢とかがここらあたりで襲いかかってくるんだけれど。
「どういうことでしょう。誰も居ませんね」
「そうね。罠って可能性もあるわ。注意して進みましょう」
さっきみたいなふざけた雰囲気はなりを潜め、私と文で黙々と歩を進める。
ふと白玉楼の目の前で、誰かが倒れているのを見つける。
「あれは……幽々子さん!?どうしたんですか!?」
文が一足先に気づいて駆け寄る。
あれが今回の元凶の西行寺幽々子の、はず。でも少しおかしいわね。妖夢もまだ出てきていないのにもう元凶が出てくるものかしら?普通は最後に出てくるものでしょうけど。
「どうしたの?まさか私よりも先に異変を解決させた人が居たのかしら?」
「うぅん……悠……悠ちゃんが……私と……妖夢を倒して……」
「え!?悠が貴女を倒したの!?悠そんなに強かったかしら……?」
「ちょっと……油断しちゃって……」
「まぁ、それはいいわ。それで、皆から盗んだ物を返してもらうわ。何でこんなことをしたの?」
「世の中の……生き物に大切にしてもらっているものには……全て魂が付くわ。九十九神がいい例ね……。それを回収する為に……、少しだけ拝借させて貰ったって訳よ……。まぁ、暇潰しも兼ねてたけどね」
やっぱり暇潰しのようね。でもどうしても悠が戦って勝つなんて想像出来ないわ。どうやったのかしら。
「霊夢さん!私のカメラありましたよ!あと皆さんの盗まれていた物も!これを返して異変を終わらせましょう!」
文がニコニコとしながら白玉楼から出てくる。その手には、魔理沙の八桂路。早苗のお払い棒。紫の傘など色々なものを抱えている。
じゃあ宴会は面倒だけど、さっさと戻りましょう。
「じゃあ私達は戻るわね。このあと多分宴会でしょうし。ちゃんとお酒持ってくるのよ!」
「霊夢……。悠ちゃんのことだけど……あの子、心理戦のプロよ。出来れば二度と戦いたくは無いわね。霊夢も気を付けなさい」
「はいはい。わかりました。じゃあね。妖夢によろしくお願いね」
そして私と文は、盗まれた物を皆に返して回って、異変解決と触れ回った。
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「妖夢、まだ“アレ”は気づかれて無いわよね?」
「はい。霊夢さんたちの反応からして、まだ気づかれては居ないかと」
「よかった。これは悠ちゃんが居るときにやった方がよかったのだけれどね。ちょっと間に合わなかったわ」
「いえ、まだ遅くはありませんよ。しっかり出来たら、悠様の元へ連れて行きましょう」
「そうね。まだ時には早いわ」
「まぁ、楽しみにしておきましょう」
その部屋には、怪しく微笑む主人と従者が居た。
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