第五話 幻楼異変 霊夢視点
今回は霊夢視点です
博麗神社から木下悠が、消えた。
……消えたって決めつけるのはまだ早いわね。ちょっと急ぎ過ぎたわ。
でも、今まで一度も神社から出たことがないのに、もう三日も帰ってこない。この前射命丸が文々新聞で悠のことを記事にしていたし、幻想郷のことなら……考えたくないけど死体とかになっていたら、誰かが見つけて教えにくるでしょうしね。
「悠……どこに行ったの……?」
頬を熱い雫が流れる。手で触ってみて私が泣いている、ということに気づいた。私は、ほんの少し悠が居なくなるだけで、泣いてしまうという事実に愕然とした。一番仲がいい魔理沙が一週間来なかった時でもこんなに苦しく想ったことは無かったのに。
「れ、霊夢さん!異変です!異変が起きました!……って、どうしたんですか!?」
最悪のタイミングで射命丸文が来た。まさか泣き顔を見られるとは思わなかったわね。見たところ、カメラを持っていないようだからそれが幸いかしら。
私は涙を払い、文に向き直る。
「何でもないわ。それで異変?何が起こったの?」
「え、えぇ……。ここ最近、皆さんの大切な物が消えてしまう事件が多発しているんです。」
「皆さん?私は何も無くなってな……いわよ……?」
咄嗟に頭の中に悠のことが思い浮かぶ。
「そうですか。魔理沙さんは箒、アリスさんは、上海人形。私はカメラが消えてしまいました。」
「ふむ……、それは確かに異変ね。調査する必要があるわ」
「えぇ、ではお願いしますね。私は記事を書いてくるので!」
そう言い残し、文はどこかへと飛んでいった。
今回の異変には悠も恐らく関わっているのだろう。他の人達の物が無くなっていなくて、私だけないっていうのは有り得ないと思うし。多分私の大切な『物』は悠なのだと思う。
悠が来て数日たってから、悠の顔を見るたびに胸が締め付けられるような、ジンジンと痛むのは……恋?
瞬間ボッと顔が熱くなるのを感じる。……今は、異変のことに集中しないと。このことは今は胸の奥に閉まって置く。
「…………よし!」
私は悠のため……もとい異変解決の為に幻想郷の空へ飛びたった。
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