第四話 マボロシの強さ
はい!作者のゆっくりです
初めて戦闘シーン書きました。やっぱり難しいですね。他の作者さんみたいに上手くなりたいものです。
遂に私の能力が見つかった。
名前を付けるならば、『絵を実体化させる程度の能力』だろうか。指先で書いたものを自由に実体化できる。弾幕も完全に張れるようになり、実用化の目処もたった。喋れないのも慣れたし、実体化した盗聴器で相手の情報も揃えた。
そして今日、ここを脱出する。
「………………」
私を気絶させてここへ誘拐して、毎日食事を持ってくるのは、妖夢という半人半霊で、その誘拐を命令したのは幽々子という人みたいだ。能力は未だに解らないけれど、妖夢さんは剣を差していることから、剣を操るあたりの能力だろう。
「こんにちは。今日も食事を持って来ました。」
「…………」
「ここに置いて置きますね。では」
妖夢さんが食べ物の入ったお盆を置いて部屋を出ていこうとする。
時は今しかない。実体化させていたクロロホルムを染みこませたハンカチを妖夢さんの口と鼻にあてがうと、数秒で眠るはずが、弾き飛ばされた。
「一体何をするんですか!?それになんですか!?その妙な……も……の……」
「…………」
フラフラと頭が揺れ、クラッと倒れるのを、抱き止める。妖夢さんはスー、スー、と無邪気に寝ている。普段の立ち振るまいから年上と思っていたが、こうしてみると意外と幼い顔立ちで、同学年かもしれない。
妖夢さんを私が寝ていた布団の上に寝かせ、部屋を出ていく。現実ではあり得ない程大きい家を忍び足で出ると、
「何をしてるのかしら?木下悠さん?」
「…………!」
ほわんほわんとした声に呼び止められた。ギクリとし、振りかえると、ピンク色の髪をした女性が立ってこっちに笑いかけていた。多分幽々子さんだろう。
即座に外へダッシュ。こういうのは判断の速さが運命を左右する。
「今あなたに逃げられたら私が困るのよね」
しかし、あっちのほうが早かったらしい。後ろで弾幕が展開される気配。
咄嗟に振り向いて唖然とした。
弾幕の速度は霊夢さんや魔理沙さんとは比べようもない。しかし、弾の数が文字通り桁違いだ。
密度の高い弾幕を体をかすりそうになるほどギリギリで避ける。しかしその事に集中力を使い過ぎていて、こちらから弾幕を放つ余裕はない。
このままでは集中力が切れて私が負けるだろう。それにもうすぐ妖夢さんも起きて援軍にくるだろうし、そうなったら私に勝ち目はない。
私は、勝たないといけないんだ!
避ける事で、ヒートアップしている頭を無理矢理クールダウンさせる。頭が冴えてくる。勝つ為の策が頭に思い浮かぶ。私はこの戦いを、平面的に見すぎている。
これくらいの危機、何でもない。アノトキニクラベレバ。ホントウニハシナナイノダカラ。
「…………」
「ふふっ♪」
何故か笑っている幽々子さんを目の端に、高速で指先を動かし、二つ書き上げる。
ちらりと相手を見ると、弾幕が影になって見えなかったのだろう。何も見たような表情はしていない。相変わらず楽しそうに笑っている。
そして私は、書いたひとつ目を実体化させて弾幕を思いきり避けた。弾幕が一番薄い場所。つまり空へ。
「え!?あなた飛べたの!?」
「………………」
私が実体化させたのは、鳥の羽。ただし普通の鳥の羽なら小さすぎて飛べないだろう。実体化できるのは現実にあるものだけだから、想像のペガサスの羽根などは実体化出来ない。もしかしたら幻想郷にはあるのかもしれないが、今はトライ&エラーしている暇はない。だから私が実体化させたのは人間用の鳥の羽根……つまり、射命丸さんの鴉の羽根を実体化させていただきました。
驚いた表情をする幽々子さんにニコリと笑い、こちらはV字の弾幕を地上の幽々子さんに放つ。
速度も密度も全然足りないが、当てることが目的じゃない。
当然、避けられる。私と同じ位置の、空中へ。私の狙い通り、幽々子さんは宙へ舞い上がる。
「うふふ、おしいおしい」
そして私は私と同じ高さまでそのまま昇ってくる、幽々子さんに向かい、二つ目を実体化させ、手を軌道上に向け、
『恋符 マスタースパーク』
と念じた。
私の手の中で実体化された、霊夢さんと魔理沙さんが弾幕ごっこをしていた時に何度も見ていた八桂路が光輝き、巨大なレーザーを発射した。
そんな不意打ちを避けられる訳もなく、幽々子さんは正面からマスタースパークを喰らう、地面に落ちる直前にキャッチが間に合い、そのまま地面に下ろして、私はアテもなく、羽根を消し、幻想郷を歩くことにした。
……何故か、霊夢さんの所には戻る気はしなかった。
誤字、脱字がありましたら、感想でよろしくお願いします。