第十一話 舞踏会の終わり
「あーあ……飽きちゃった」
そういい弾幕を撃つのを止めて手を下ろすフラン。
もう止めちゃうのか、つまんなぁい。
「もうおわらせちゃおうっと♪」
「……なんだと?」
「きゅっとして……」
と、右手を出し空中を掴むように動く。
ゾワッと全身を赤黒い殺気の様なものが全身を包む。周りの空間も歪み、赤黒く変色し、大きい手の上に乗っている様な錯覚を感じる。
……なんじゃこりゃ。クラクラするな。
「どかーん!」
大きい手が少しずつ閉まっていく。それと同時に周りの空間が縮んでいく。とてつもない圧力を感じる、私の存在をも巻き込んで押し潰される。
グシャッ
「やっぱり悠も簡単に壊れちゃうんだね……」
寂しそうに呟くフラン。それなら壊すなと言いたいんだが?
……パチン……パチン……パチン。
指の音が響く。
「な、何!?どこから!?」
……パチン……パチン……パチン。
六度の指の音が鳴り、止まる。
空中からにじみ出てくる私に驚いて声もでない……訳でもない。
「はは……驚いたろ?壊される直前に存在自体を消してまた出したんだよ。ついでに能力もつかえないぞ?こんなんでやられるかよ。べーっだ」
「んー!んー!」
「あぁ、そうか。喋れないのか。これでいいかな?」
パチン。と一つの指が鳴る。これでまぁ喋れるようになるだろう。
「っ!ゲホッ……い、一体……何を……」
「フランの全身の筋肉を使えなくしたんだよ。流石にそれじゃ何も出来ないしな。全身の関節を外して元に戻したし、三十分は動けないぞ。この勝負は……私の勝ちだね」
最後にニヤッと笑って挑発する。
フランはまるで私を親の仇の様に睨んでいる。……と、フランの目から黒いものが消える。やっぱり狂気に支配されていたか。ついでにこれも消しておこう。
「あり……がと……悠……」
「……どういたしまして♪」
この体もそろそろ返さないと、私と融合しちゃうしね。霊夢さんたちも丁度終わったみたいだし。
ちょっと時間差を置いて紅魔館からでる。
そこには頭からぷすぷす煙を上げたまま眠っている美鈴さんが居た。
……分身がやった不始末だ。ちゃんと後片付けをしないとね。
美鈴をしっかりと布団に寝かせ、一緒に入って意識を交換する。
ククク……お互い面白いことになり……そう……だ……。
悠(精神汚染)はただの能力を使っているだけです。チートではありません。扱い方が上手いだけです。