第十話 狂気VS狂気
フランの口調が若干おかしいかもしれません
「……始まった?」
「えぇ。博麗の巫女、れーむ……だっけ?お姉様と戦っているのかな」
「…………霊夢さん……」
久々にその名前を聞いた。だいぶ時間がたったても全く薄れずに私の脳内に存在している。
「まぁお姉様ならただの巫女なんかに負ける訳がないけど」
「……は?」
「空を飛ぶしか能がないただの巫女にお姉様が負けるはずないじゃない」
ほぉう?コイツは私の数ある地雷を踏んだ。霊夢さんを愚弄するとは。万死に値する。
しかし体が上手く動いてくれない。急に全身に枷がついたように重く……、意識が沈み混んでいく……。
「さて、じゃあ再開しよう。悠?」
「…………」
フランside
何故か急にうなだれてうごかなくなっちゃった。諦めたのかな?
でもまぁ、壊しちゃうけどっ!
牽制のために軽く弾幕を飛ばす。けど悠は全く動かずにそれを受け……!?
なんなの今の!?足が全く動かず上半身があり得ないほど反り返って避けた!?
あんな動きが人間なんかにできるはずが……それに悠はこっちを見てなかったのになんで……?
「クックック……私が出るとは。随分と怒ってらっしゃるねぇ……」
と、顔を上げる悠。ニタァと気持ち悪い笑みを浮かべ、真っ青だった眼も紅く染まっている。
……なんでだろう。わたしがただの人間に恐怖なんて感じるはずがないのに……。
そう思ってしまうほど今の悠は人間としては異様だった。
「フランドールスカーレット、ありとあらりる物を破壊する程度の能力、か……」
「!?」
な、なんで!?なんでわかったの!?……あ、能力かな。見分する程度の能力辺り。
「さぁ、始めよう!死の舞踏会をさ!」
悠の周りにドス黒いオーラが空気から染みだし、それを羽衣の纏う。
わたしはそれを見たこと……いや、実際にしたことがある。
あのオーラは……狂気だ。
いつからか……ここに幽閉されるようになってからだと思う。
わたし自身の狂気が、何倍にも膨れ上がっていることに気づいたのは。
でも何も出来なかった。狂気に身を任せると、自分の数少ない大事な物まで壊れてしまうのがわかっていたから。
でも、目の前にわたしと同じ狂気を持つ人間を見て、わたしの中の狂気が疼いて仕方ない……!
わたしの中から狂気が流れ出ていくのを止められない……!
壊せ壊せ壊せ壊せコワセコワセコワセコワセ!
「ふぅん。フランも狂気を使うんだ。……制御は出来ていないみたいだけど」
「あははっ♪悠!壊してあげるっ!」
「ふん。その威勢もいつまで続くかね」
わたしは狂気に身を任せ、ニタァと笑う悠に踊り掛かって行った。
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