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【修正作業中】the magician's reunion  作者: 冴木遥
第一章 魔術師たちのはじまりの焔
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第十三話 風は邪なものを引き寄せた



「何がどうしてこうなった。」

「いや、俺は止めたんだよ?」

「そうそう。」

「教室は何とも言えない空気に包まれていた。」


周りのこそこそとした視線がめちゃくちゃ痛い。

そして数人は何故キラキラとした目でこちらを見ているのでしょうか?そんな期待されても何も出ませんからね?


「だって、俺、ゆうの女装見たことないし。」

「お前の意見など聞いてない!」


どうでもいいから早く説明してくれ!






******






「38度4分・・結構高いわね。」

「うえ~・・さぶいよぉ・・」


私のその泣きごとに絢子は呆れた顔をする。

この間、水を被ったことにより風邪を引いてしまったみたいだ。そんなに長い間濡れたままでいた訳でもなかったのに。


「医務室の先生に伝えておくから、辛いようなら医務室で寝かせてもらいなさい。」

「はーい。」


寝ながら絢子に手を振ってお見送りとした。それを確認すると小さく息を吐いて学校へと向かって行った。


(あ~そう言えば、寮に一人きりでいるの、初めてだな。)


まだ1階の朝の賑やかさが絶えないその音を聞きながら眠りへと落ちて行った。






*****






そしてその日の教室。


「え、今日、ゆう休みなの?」

「うん。風邪だって~。」

「風邪?」

「昨日の授業のせいだろうな。」

「一番中央に近い位置にいたから。」

「・・・へえ。」


3バカの返答を聞いた葵は、少し考えると無表情に戻って一言つぶやきEクラスの教室を出て行った。


「止めた方がよかったかな?」

「何バカなこと言ってるんだ!蛍太!!」

「さすがに今の佐倉を止めたらまた、教室爆破されるぞ!!」

「「今日はフォローが居ないんだから!!」」

「ああ!そうだね!」


この話を聞いていたクラスメイト達は、裕也の躾が少しは行き届いているのだと実感し、ほろりと涙を流した。

そしてその日の午前中、大きな濁流音とともに成人男性の悲鳴が響き渡り、その男性が、理事長室に掛け込んで助けを求めていたということもあったが、それはまた別のお話である。






*****






誰かに頭をなべられている気がして目が覚めた。


「あら、起こしちゃったかしら?」

「医務の・・・」

「お久しぶりね。具合はもうだいぶいいみたいね。」

「はい。」


時計をみると既に12時を回っていいた。


「食べれるようだったら、机の上におかゆ、置いてあるから食べてね。」

「作っていただいたんですか?」


そう言うと医務の先生はちょっとびっくりしたみたいだが、すぐまた微笑んだ。


「わたしじゃないけど、作ってきたみたいよ。」

「誰が?」

「さあ、誰か当てて見たら?絶対、喜ぶわよ。」


様子を見に来ただけだったらしく、先生はそのまま部屋を出て行った。

朝から何も食べてなく、おなかがすいたので、なべのふたを開けてみる。


「お、たまご粥だ。」


誰が作ったのか大体予想を付けながら、おいしく頂きました。






*****






「それでは、今日は茜祭に向けた、配役を決めていきたいと思います~!一応、裕也と話しあって大体の配役を決めてました!増やしたい、いらない配役あったら手ぇ挙げてねぇ!!」


蛍太がそう説明し始めると、陽介と匠は配役を黒板に書き始めた。


「当日の配役はメイド、執事、宣伝兼偵察、調理となってます。決まったら前に出てきて描いてある配役の下に名前書いてね!」

「こっちもいいよ。」

「じゃあ、どうぞ!」


描いたの掛け声とともに皆前に出てきた。数人は何にするか悩んでるみたいだ。司会進行をしていた3バカは、とりあえず教師の方へ避けて書き終わるのを待った。


「それにしても、あなた達がクラスの司会進行を出来るまでに利口になっていたなんて・・・藤城さんにはほんと頭が下がるわね。」

「これぐらい僕らだってできるよ。」

「そんなこと言って・・・今までならあなた達、前に立った瞬間勝手に遊び始めるでしょう?」


そんなことあったかな?など、今までの自分たちの行動などさっぱり忘れてしまったようにお互いに?を飛ばしあっている。


「副委員長~!みんな大体書き終わったけど、裕也君はどうするの~?やっぱり執事だよね!?」


女子は皆その話で盛り上がっている。その反面男子は呆れかえっている。


「う~ん、そうだね。裕也、今日休みだから、皆がそう言うならいいと思うよ。」


その肯定の言葉に、女子がより一層盛り上がるが。


「はい。異議あり~。」


その声はこの教室にいるはずのない人のものであった。


「佐倉!どうしてここに!?」


蛍太が嬉しそうに何故か裕也の席にいる葵へと声をかける。

ちなみに、ただ今突っ込み不在のため、皆さまの心の中で突っ込みください。

クラスメイトは皆、葵が突然現れたことでざわつきはじめた。

反対に、葵は楽しそうに笑っている。


「ふふふ。ちょっと楽しそうだと思ってね?」

「そうなんだ。異議ありって・・・何か問題あった?」


何故か他クラスの人間に現状の問題点を聞いている蛍太。


「うん。裕也はメイドがいいと思うよ?」

「え?」


この発言にクラスの全員が静かになった。

それはそうだろう。あの容姿だ。そしてあの制服だ。このクラスに人間は女性だと認識しているが、他クラス、また他学年、そしてかかわりのない教師たち。彼らはきっと今だに男性だと思っているのであろう。


「ゆうってば私服でも女性の服持ってないって言ってたから、せっかくならこの機会に見せてもらいたいなあって思って。」


穏やかに微笑み続けている葵の目が、すうっと大きく見開かれた。


「まさか、その邪魔をするなんて人は・・・いないよね?」


ぞくっと背筋が寒くなるような視線が感じられる。それに、あの悲鳴だって聞いたのは午前中と久しい。

クラスメイトはそれに答えられず沈黙し、ただ教師が黙って裕也の名前をメイド欄に書き足したのであった。






*****






「のであった・・・じゃ、ねえぇぇぇ!!!」


がっしゃああああぁぁん!!


目の前にあった机をひっくり返した。いや、実際には続き机になっているのでひっくり返せないのだが。


「まあまあまあ。」

「怒らせた元凶がなだめに入ってんじゃねえよ!!何しちゃってんの?!どうしてそんなことしちゃったの?ねえ!」

「だから、女装姿が見たかったんだって。」

「だからってなんでメイド服!?」


どうしても納得のいかない私は、頭を抱えて悶絶していた。

とその時。


「裕也君!」

「ハイ?」


傷心の私に話しかけてきたのは女子生徒2名。半泣きになりつつ顔を上げた。


「あの、もちろん、執事服もきてくれるんだよね!」

「ん?」

「私たち、裕也君のも作っておくから!」

「え、あの、ちょ、ちょっとお!!」


と、その子たちが立ち去るのと入れ替わりにまた別の女子生徒達がよってきた。


「あの、藤城君!」

「・・・はい?」


どうしよう。嫌な予感しかしない。と言うか、手に持っている薄い本と、分厚い使い込んだ手帳は何でしょうか?


「あの、私たちは、藤城君の女装・・・楽しみにしてるから!!!」

「・・・」


それだけ言うと、きゃあーと言いながら、元の席へと戻って行った。


「ゆう、人気者だね。」

「誰のせいだ。」


誰かが私の肩を叩いた。


「仕方がないさ。」


振り返ると、陽介から憐れみのこもった視線をよこされる。


「もう、ほんとに、休むんじゃなかったあ~!!」


2日続けて、学園に悲鳴が響き渡ったのであった。



題は一応かけているのですが、ただのおやじギャグですね。

今回はただの風邪の回でした。


誰がおかゆ持ってきたかってわかりますよね?

短い昼休みに学園抜け出してまで来る人間なんて、奴しかいませんから。

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