"クソプラン"実行
まんまサブタイ通りの内容
龍兵が伊吹達3人を半殺しにしてから4日が経った。
その日は"度胸付け"と実戦の空気を学ぶ一環として、迷宮に赴いて内部に巣食うモンスター達と戦う。
ある意味では自衛隊に入隊したばかりの新兵達が実際に銃を撃っての訓練。または、10キロほどの距離を行軍する訓練。
それ等にも似た非日常を味わうオリエンテーションと言えた。
それ故にクラスメイト達はファンタジー世界に見合った装具を身に纏い、剣や槍。それに魔法の杖と言った武器を携えていた。
龍兵独りを除いて……
「何ていうかシュールだな」
鎧兜に身を包み、手には槍。背には弓。腰には刀と矢筒を佩いた武士姿の優が龍兵に対して言えば、龍兵は同意する。
「ほんそれ……俺だけ地球の兵士の姿をしてるからメッチャ浮くし、周りからメッチャジロジロ見られてウゼェ」
龍兵の言う通り、龍兵の姿は黒一色とも言える戦闘服上下。更にその上には弾倉を初めとした大小異なるパウチが取り付けられたプレートキャリアを纏い、頭にはAN/PSQ-42 ENVG-Bと呼ばれる米軍の最新鋭な暗視ゴーグルが取り付けられたFASTヘルメット被っていた。
勿論、手にはチェコの最新軍用自動小銃であるBREN-2が握られていた。
それは当然の様にフラッシュライトとAN/PEQ-16レーザーユニット。銃声を抑える為のサプレッサーとショートタイプのフォアグリップ。
更にはElcan Specter DRと呼ばれる高性能なショートスコープが取り付けられてもいた。
特殊部隊の人間が使わなさそうなカスタムが施されたBREN-2を手にした龍兵の姿は、まさに地球の兵士であった。
それ故に龍兵は優の言う通り、場違い極まりないシュールなモノと言えた。
「すぅぅ……ハァァ……」
そんな龍兵は深呼吸をすると、思考を巡らせながら周囲を見廻して付き添いとして来た副長含めた兵士達の数を確認していく。
数は副長合わせて11人。
1個分隊規模なら、ゆーちゃんとヤクちゃんが手筈通りにしてくれれば、直ぐに終わる。
だが、問題は……
思考を巡らせながら兵士達の数を確認し終えると、後ろを振り返る。
龍兵の視線の先には完全武装した兵士達の一団があった。
問題はプランを進めてる最中に増援を呼ばれる事だ。あの数は1個中隊規模か?
通信機の類があるのか?確認出来なかったが、こう言う時は有ると考えて進めた方が良い。
その方が対処もしやすい。
兵士達の一団を一瞥して大まかな数を確認すると、龍兵は2度目の深呼吸をする。
「すぅぅ……ハァァ……」
そうして息を整えると共に覚悟を決めた龍兵は真剣な表情を浮かべると、BREN-2のセレクターをセミオートに合わせ、副長率いる兵士達の引率の基で迷宮へクラスメイト達と共に歩みを進めて行くのであった。
光が差さぬ筈の迷宮内は何故か真っ暗ではなかった。
その理由は岩肌の壁面や天井。それに地面にあった。
壁と天井。それに床の所々に仄かに光る石があるな……
此等が光源になって真っ暗な筈の迷宮内を照らしているって事か?
周囲を見廻し、迷宮内で視界を一応は確保出来る程度に明るい理由が壁面と床。それに天井の所々にある仄かに光る石が理由であると判断した龍兵は心の中で「IRライトは使わずに済みそうだな」そう独りごちると、静かに歩みを進めると共に兵士達の位置を然りげ無く確認していく。
程なくして兵士達の位置を確認した龍兵は目にENVG-Bをセットし、電源を入れた。
そうして視界が薄緑一色に染まると共に鮮明になれば、龍兵は周囲を警戒する様に見廻しながら皆に歩調を合わせて歩みを進める。
暫く進んで行くと、兵士の1人が何かに語り掛ける様子があった。
「こちら、警護部隊。現在の所、異常ありません」
兵士の1人が救出部隊である兵士の一団へ定時連絡するのを視認した龍兵は「やっぱ、通信機の類が存在してたか……」そうボヤくと、時計を見て今の時刻を確認して定時連絡が何分毎に行われるのか?計測し始めた
その後。兵士の定時連絡が数度行われながら暫く進んで行くと、天井に大きな✕印が描かれているのが見えて来た。
ソレを視認した龍兵はENVG-Bを上に上げて肉眼になると、其処にあった筈の✕印が無い事を確認するや口元に笑みを浮かべた。
そして、大きく息を吸うなり、腹の底から大声で叫んだ。
「伏せろ!!」
龍兵の叫びにクラスメイトと副長含めた兵士達が困惑する。
だが、そんな中で勇輝と優が龍兵と同じ様に叫んだ。
「「皆伏せて耳を塞いで目を瞑れ!!」」
2人が叫ぶと、クラスメイト達は即座に言われた通りの行動を進めた。
そうして、立っているのが龍兵と副長。それに兵士達となって完璧に視界と射線の確保が出来れば、龍兵は即座にBREN-2を構えて引金に指を掛け、行動に移った。
ソレからの龍兵は動きは早かった。
既に位置を確認していた兵士達に対し、龍兵は素早く次々にサプレッサーでくぐもった銃声と共にヘッドショットで射殺していく。
程なくして銃声が止めば、副長も含めた兵士達が全員、為す術も無いまま頭を撃ち抜かれて即死した。それはほんの数秒間の出来事で、通信機に向けて報告する間すら無かった。
11人の人間を躊躇い無く射殺し終えた龍兵は武道の残心の如く、前方と自分達が通った道と言える後方を見廻して視認し、残敵が居ない事を確認する。
そうして残敵が無い事を確認すれば、龍兵は直ぐに大声を挙げた。
「皆聞いてくれ!!」
龍兵の大声で皆の困惑に満ちた視線が龍兵に集まれば、龍兵は更に声を張り上げる。
「今から日本に帰るぞ!!」
龍兵の日本に帰れる。その言葉に皆は沸き立っていく。
だが、その中でも龍兵の言葉を疑わしいと言わんばかりの意見が上がった。当然だろう。
「本当に日本に帰れるの!?」
女子の1人から言われると、龍兵に代わって勇輝が皆にも聞こえる様に大声で肯定した。
「本当だ!!本当に皆、日本に帰れるんだ!!」
龍兵に代わって勇輝が肯定すれば、その女子は掌を返した様に直ぐに疑うのを辞めた。
そんな中で前方で光が輝き迸る。
眩い光と共に自分達が見慣れた教室が見えれば、勇輝は更に声を張り上げて皆に告げる。
「見てくれ!!俺達の教室だ!!」
皆の視界に見慣れた教室が見えれば、皆は盛大に歓喜した。
そんな中。龍兵は皆とは正反対の後方へと駆け出して行く。
龍兵が元来た道へ駆け出すのを見た優は勇輝に皆を教室へ避難させるのを頼むと、龍兵を追い掛けながら大声で尋ねた。
「何処行くんだよ!!?」
優の大声で駆ける足を止めた龍兵は振り返ると、大声で返す。
「定時連絡が途絶えた事で外の連中が大挙して来るかもしれんから備える!!」
今回は嘘を何一つ言っていない。
定時連絡の間隔を測っていた龍兵は既に定時連絡の時刻が過ぎているのを承知の上でプランを強行し、11人を殺害したのだ。
そうして定時連絡が途絶えた事で外の兵士の一団……1個中隊の兵士達が、様子を確認する為に兵を差し向けてくるのは時間の問題と言えた。
それ故に龍兵はやって来る兵士達に備えざる得なかった。
そんな龍兵に優は大声で言う。
「なら、俺も一緒に行く!!」
「バカ!!さっさと戻れ!!お前等が脱出成功しなかったら、俺が帰れなくなるだろうが!!」
龍兵が想いと決意。それに断固たる意志が籠もった答えを返せば、優は後ろ髪を引かれながらも踵を返した。
だが、優は直ぐには戻らなかった。
「必ず戻って来いよ!!」
大声で告げられると共に慌ただしい足音が遠ざかって小さくなっていくと、龍兵は小さな声で「悪いな」そんな謝罪の声を漏らしてから再び駆け出していく。
そうして所定の位置に着いた龍兵はその場に右膝を立ててしゃがんでBREN-2を構えると、セレクターをフルオートに合わせて膝撃ちの姿勢となった。
それから少しすると、慌ただしい足音が近付いて来るのが聴こえて来た。
そして、先頭を走る剣を握り締めた兵士の姿が見えたと同時。龍兵は引金を引いた。
くぐもった銃声と共に先頭を走る兵士の頭が撃ち抜かれ、ドサッと倒れる。
突然、何の前触れも無く戦友が死ぬ様を目の当たりにした兵士達が驚いてしまう。
そんな一瞬の隙が命取りとなった。
共に居た4人の兵士達は瞬時に頭を撃ち抜かれ、殺された。
ほんの一瞬で4人を即死させた龍兵はジッと静かに敵である兵士達が来るのを待ち続けていく。
それから程なくしてまた4人の兵士達が来た。
龍兵はまたも一瞬の間に兵士達にヘッドショットを決め、射殺した。
兵士達以外にも無関係の冒険者が6人来た。
龍兵は躊躇いも無く、やって来た冒険者達も全員撃ち殺した。顔色1つ変える事無くにだ。
そんな龍兵はBREN-2に装着されていたPMAGと呼ばれる弾倉を取り替えながら、どうでも良い事を呑気に考えていた。
バーサーカーの代名詞な薩摩の捨て奸もこんな感じだったんかな?
「まぁ、俺は生きて戻るんだけど……」
1年ぶりに人を。しかも、30人近く殺したと言うのに龍兵は終始呑気な様子であった。
そんな時だ。
龍兵のスマートフォンが電子音を響かせた。
スマートフォンを腰の雑嚢から取り出すと、龍兵は直ぐに電話に出た。
「もしもーし」
「君が先日に要求した前金……君以外の2年3組のクラスメイト、32名全員を日本へ帰還させ終わったよ」
依頼人の彼がそう告げれば、龍兵は皮肉を込めて返す。
「ソレは何よりだ。だが、証拠が無い以上は糠喜びになりそうだな……不渡り手形は勘弁してくれよ?」
龍兵がそう返すと、依頼人の彼は「それは当然だな」と、前置きしてから告げる。
「なら、後で証拠写真を送るとしよう。勿論、フィルム式の写真だ。デジダル映像だと、君はAIによる捏造と疑うだろう?」
「俺の居た所じゃ、デジタル映像には証拠能力が実質無くなってるんでな……」
龍兵が返せば、依頼人の彼は次の本題を切り出そうとする。
「さて、この後だが……」
「待て!後で掛け直す」
依頼人の彼の言葉を急いで遮ると共に電話をブチッと切ると、龍兵はスマートフォンをしまってから耳に意識を集中して澄ましていく。
耳を澄ませると、視線の向こうから多数の足音が微かながらも聴こえて来た。
精鋭部隊特有の綺麗に整った一糸乱れぬ多数の足音。
向こうの指揮官は腹を括って覚悟を決めたみたいだな……
微かながらも聴こえて来た足音を分析した龍兵は、敵である騎士団側が覚悟を決めた。
即ち、被害を度外視して勇者達と戦友たる兵達に襲い掛かった脅威を排除する為に隊列を整えてやって来た事を察すると、龍兵は彼等を迎え撃つ為に立ち上がる。
それから直ぐに踵を返し、駆け出していく。それこそ、脱兎の如くに。
一頻り走って差し向けられた部隊から少しばかり遠ざかると、龍兵はその場で立ち止まってBREN-2を背負ってから後ろを向き、胸元のポケットから耳栓を出した。
両耳に耳栓を詰め込むと、龍兵は迷いの言葉を漏らす。
「どっちにすっかな……機関銃が良いか?グレネードランチャーが良いか?」
迷った末に龍兵は……
「この際だ。派手に盛り上げよう」
その言葉と共に龍兵は機関銃とグレネードランチャー、その両方を召喚した。
召喚された機関銃は龍兵の持つBREN-2より長くてゴツく、グレネードランチャーはリボルバーをアホみたいにデカくした様な見た目であった。
「コレって確か……M240BとMGLって奴だったよな?」
とある海外ゲームとアニメでしか見た事の無い2つの重火器を召喚した龍兵は弾も召喚していく。
200発の7.62ミリNATOが詰まった2箱のモスグリーンカラーのアモ缶と、30発の40ミリ榴弾が詰まったキャンバス地の袋を2つ。
そして、10キロのC4爆薬が詰まった2つのサッチェル……もとい、梱包爆薬を召喚した龍兵は、急いで弾の装填を始めた。
ベルトリンクで列なる7.62ミリNATO弾をM240Bにセットしてチャージングハンドルを引いて弾込めを完了させると、今度はMGLの大きな特徴とも言えるデカいシリンダーを横にスライドさせて展開する。
シリンダーの大きな孔に指を突っ込み、慣れた様子でくるくると回した龍兵はシリンダーの孔に6発の40ミリ榴弾を1つずつ装填する。
程なくしてMGLへのの弾込めが完了すれば、MGLを脇に置いてからM240Bを手に取り、備え付けられた二脚を展開して地面に据え付けた。
そうして重火器を何時でも撃てる様にし終えると、龍兵は両手を地面に押し当ててから梱包爆薬の蓋を開ける。
中に付属していた雷管と導火線、点火器を手に取ると、工具を用いて慣れた手付きで素早く其れ等を組み合わせていく。
そうして雷管を導火線で繋ぎ合わせた物を4つ作り終えれば、龍兵は再び地面に両手を押し当ててから2つの10キロのC4爆薬に作った物を2つずつ繋ぎ合わせた。
そんな準備が終わると、龍兵は地面に伏せて脇に置いていたMGLを手に取り、思考を巡らせながら安全装置を解除して迎え撃つ準備をしていく。
斥候兼ねた先遣隊を幾つも送って戻って来ない上に通信機からは連絡が無い。
連絡が完全に途絶えた事で敵さんは教会から預かった勇者達って言う、国賓を救出する為に隊列整えて仕掛けて来るのは当然の帰結だ。
何の努力もせずに失敗なんてしたら、御偉いさん達の首が面白い程に飛ぶし、自分達の首だって飛ぶんだから尚更か……
「でも、悪いな……俺の行動で御偉いさん達の首が飛ぶってんなら、俺は心から喜んでお前等をブッ殺してやるぜ♡」
嗤いながら独りごちた龍兵は満面の笑みを浮かべると、息を殺して静かにその場で待った。
整った足音が小さくも近付いて来る。
足音は段々と大きくなっていく。
だが、それは程なくしてしなくなり、視線の先に並び立つ兵士達の一団が見えた。
龍兵はMGLを静かに持ち上げて構えると、映画のセリフと共に引金を6度引いた。
「Say hello to my littlefriend!」
セリフと共に軽やかな砲声が小さく響けば、6発の40ミリ榴弾が放たれ、放物線を描きながら兵士達に吸い込まれる様にして飛んで行く。
程なくして鼓膜を破らんばかりに耳を劈く程に大きな爆発音が6度響けば、先頭とその近くに居た兵士達は為す術も無いまま瞬く間に蹂躙された。
突然起きた6度の爆発と共に多数の兵士達が戦死し、負傷者を出た。
目の前で起きた惨劇のせいで、精鋭である筈の兵士達は大きく浮足立ってしまっている。
そんな大きな隙を龍兵が見逃す事は無かった。
龍兵は既に構えていたM240Bの引金を引いた。今度は絶え間無い銃声が轟いた。
激しい銃火が迸ると共に耳を劈く銃声が絶え間なく響き、地面に薬莢とリンクが吐き出されて散らばる度に7.62ミリNATO弾のシャワーが浮足立つ兵士達へ容赦無く浴びせられていく。
そんな容赦無い機関銃掃射を浴びせられた残存する兵士達は次々に穿たれ、中には腕や脚が千切れ、時には頭の一部が無くなる者すら居た。
ソレは一方的な殺戮。
否、虐殺と言えた。
この虐殺を仕掛けた張本人。もとい、龍兵は嗤っていた。
龍兵は嬉々として的確に掃射を続けて残存する敵を淡々と処理していく。
程なくして銃声は止み、動く者が何処にも無くなった。
動く者が完全に居ない事を確認した龍兵は硝煙立ち昇るM240Bに予備の弾をセットすると、MGLを手に取って先程と同じ要領で40ミリ榴弾をセットしていく。
ほんの僅かな間で装填作業を完了させた龍兵は右耳の耳栓を抜き、片方だけ聴覚を戻した。
鼓膜保護の為に詰め込んでいた耳栓を片方だけ抜くと、視線の先。
足の踏み場も無い程に死体と数え切れない千切れた人間のパーツが転がる血の海よりも更に向こう。
悲鳴や呻き声。それに幾つもの怒鳴り声等が微かながらも聴こえて来た。
静かに耳を澄ませた龍兵は断片的ながらも聴こえて来る敵の声を拾い、情報を集めていく。
負傷者が複数出てる?
俺が撃った弾が貫通したり、良い感じに流れ弾してくれたのか?
だとしたら、流石は俺。
良い仕事したもんだ。
龍兵が自信満々に立てた仮説通り、100発近く放たれた7.62ミリNATO弾の一部は、後ろの離れた所に居た後詰めの部隊にそれなりの被害を齎していた。
現実の銃弾はゲームの様に敵に当たれば消える訳じゃないのだ。
こう言う事が起きても特に不思議な事ではない。
そんな中、龍兵は敵側が一時撤退を選んだのを聞き取った。
是が非でも行かなきゃならん状況下だが、複数の負傷者を抱えてる上に敵は未知数。
徒に戦死者を出すよりも、残存する生存者達を連れ帰ると共に現時点で知り得た情報を持ち帰る事が選べるとはな……
向こうには良い指揮官が居るみたいだ。
お陰で俺も先に進める。
敵の指揮官の取った行動にほくそ笑みながらも、兵を大事にする指揮官を少しばかり称賛した龍兵は起き上がると、7.62ミリNATO弾の詰まった2つのアモ缶と40ミリ榴弾が詰まったバッグをひっくり返して中身をぶち撒けていく。
中身を全てぶち撒け終えると、龍兵は手榴弾のピンにも似たリングが着いた4つの金属製の筒とも言える点火器を手に取った。
それから直ぐに2つの梱包爆薬から伸びる4本の導火線と点火器を繋ぎ合わせ終えると、4つのリングを引っ張って導火線に点火。
4本の導火線に火が点れば、龍兵は即座に立ち上がって迷宮の奥へ向かって全力で駆け出していく。
龍兵は体力の続く限り、駆け続けた。
ひたすらにG1競走馬の如く迷宮を駆け抜け、今から起こる大爆発から身を守れる所を見付けた龍兵は立ち止まると、今来た通路の脇の壁際へ駆け寄る。
壁際に寄った龍兵は地面に伏せると、急いで耳を塞ぎ、口を開けた。
そうして鼓膜保護をした瞬間。10キロのC4が詰まった2つの梱包爆薬が爆発。
大きな爆発音と共にビリビリとした振動が身体に伝われば、爆心地に残置していたM240BとMGLは木っ端微塵となった。
そればかりか、20キロのC4と言う強大な威力によって天井部分が崩れ落ちて龍兵が今まで居た箇所とその周囲が完全に埋もれた。
そんな爆破をして退けた龍兵は立ち上がると、両の耳栓を抜いていく。それから背負っていたBREN-2を手に取ると、満面の笑みを浮かべて独りごちる。
「最高の結果を出せて、最高の気分だ」
自分の叩き出した戦果と結果が完璧なものである事に心の底から満足した様子の龍兵は歩みを進め、迷宮の更に奥へと向かうのであった。
な?サブタイ通りだったろ?
耳栓は狭い室内で機関銃ぶっ放したり、爆発物爆発させんなら必須やぞ
無かったら鼓膜死ぬからな?
後、爆薬関連扱う時は地面や床に両手を押し付けてアースも必須…安全第一やけぇね




