2ステージ
「あの娘どうかな?
スタイルいいし人気出そう…。」
さっきからあたしをストーキングしている奴がいる。
そいつは小太りで四十代後半に見える。
小声の独り言が不快だから大胆に言った。
「なあ!あんた!!
あたしに何の用か!?
援交なら受け付けないぞ!!」
「ひいー!!」
そいつはこの世のものではないものを見たかの様に驚いた。
「いや、援助交際ではないんですよ!」
そいつから名刺を渡された。
『芸能事務所 ウイングプロダクション
青木治彦』
それにはそう書いてある。
その下には住所、電話番号が小さく記してある。
「君、アイドルやらない?」
「はあ!?」
あたしは目を丸くした。
「ただいま。」
「おかえり。
つばさ、ご飯出来ているわよ。」
あたしはスカウトされたことばかり頭に入っていた。
そのせいで帰り道の後半で母が今日は仕事が休みだということに気が付いた。
「ねえ、こんな名刺渡されたんだけど。」
スカウトされた際に渡された名刺を母に見せる。
すると母はすぐにこう言った。
「いいじゃない!
やりなさいよ!
これでつばさはヤンキー生活とおさらばよ!
けほっ、けほっ…。」
病弱な母は辛そうに咳をした。
このままではあたしは親不孝だ。
あたしはアイドルをすることを決意した。