そして現在
とある月明かりの下、血まみれのまま路地裏で寝ているひとりの男性がいた。普通なら近寄りたくないような、そんな男に5人の人影が近づいて声をかける。
「ーーーーーーーい、」
「…………」
「ーーーーーーい、おきろ!」
「………」
「ーーーーーーおい!起きろってば!」
「………ん、」
「はぁ。こんなところで寝るなよ。」
「……お前らが遅かったんだろ。」
「高斗、またあの夢見てたの?」
「何だっていいだろ。ほっとけ。」
「にしてもさぁ、流石に見つけるのは無理でしょ。もう何年経ってると思ってるんだよ。いい加減諦めな?」
「10年ぐらい経つんじゃない?」
「…………絶対、どこかにいるんだ。あと、出会いは9年と8ヶ月と25日目前だ。まだ10年経ってない。」
「細かっ……え?ふつうにキモい。」
「うるさい。いいだろ別に。」
「というか、手がかりは血の味と声だけだろ?顔も覚えてないのに見つけるとか無理じゃん。」
「無理じゃないし。いいからほっとけよ。」
「いやいや、血の味確かめるために片っ端から寄ってくる女の子の血吸うせいで、世間が高斗をかなりの遊び人だと思ってるのを俺らは心配してるわけよ。」
「実際ただ初恋拗らせてるだけっていうな。」
「めっちゃウケる!」
「だからほっとけって!」
「まぁまぁ。ほら、次のお客さんがお出ましだ。お前ら、いくぞ。」
いつもと変わらない夜。そうして6人の人影は、再び返り血で血まみれになりながら夜の闇に消えていった。