スランプ
あたしの脳みそはいつも踊っていた。
いつもファンタジーにあふれていて、望めば空も飛べたし、魔法だって使えた。
いつからだろう、私が魔法を使えなくなったのは。
人間社会はいつだって私の味方じゃない。
どうして人は噓をつくの?
どうして人は人を騙すの?
どうして人は人を傷つけるの?
そうして私の心は濁ってきっと魔法が枯渇しちゃったんだ。
ふと、空を見上げた。
空はいつだって優しかったし、厳しかった。
心が洗われていく一方で、今日のご飯や、洗濯、片づけ、祖母の世話に、掃除、そのことが気がかりで、脳みそはいつも疲れていた。
猫は癒し。だけどいつも気がかり。可愛い、大好き、愛してる。だけど、脳みそはいつも忙しい。
ある時、肩を痛めた。ただの筋肉疲労だけど、リハビリに通うようになった。リハビリ中は暇。だけど、そのたった一時間が、私の脳みそを動かした
カーテンレールから伸びた影に妖精が出てくる。影の細い線を伝って、リハビリを受けているおじさんのあたまにちょんって飛び乗る。
看護師さんの後ろの影をくるくる走り回る。
三角帽子の妖精たち。
脳みそが踊っている。あたしの脳みそが踊っている・・・!
もう少し待っていてください。皆様に素敵なダンスをお届けいたします。
碧蜜柑