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湖上さんは隠れ性癖を語りたい ―可愛い委員長が陵辱エロゲ好きではダメですか?―  作者: 時田唯


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4-1 推しが推しすぎて恥ずかしい!?


「あら奏。友達の家に行ってたんじゃないの?」

「用事思い出して帰ってきた!」


 母に大嘘をついて部屋に戻った私は、そのまま顔からダイブするようにベッドへと飛び込みました。

 はしたなく鞄を投げ捨て、足を水泳選手のようにばたつかせひたすら悶絶しまくります。


 どうしよう。

 どうしよう。

 じたばた暴れてる間にも、記憶のなかで宮下さんの言葉が繰り返し響きます。


 ――僕がフィーンテイルのシナリオ書きました。

 ――僕が。


(宮下さんが書いたって何なんですか!? え、作者様ってことですよね?)


 いま思い返してもさっぱり意味が分かりません。

 書いた、ってつまり、イラストについてる文章を書いた御本人、という意味ですよね?

 宮下さんのお顔が、御本人の御尊顔、ということですよね!?

 つまり現人神ですよね!?


 普段の私なら、冗談だと聞き流していたことでしょう。

 同じ教室にシナリオライターさんが居るなんて宝くじの一等にでも当たるような確率、クラスメイトに小説家が紛れ込んでしまったようなものなのです。

 そんなバカなことあります!? と。


 ですがパソコンに残された大量のデータを目にすれば、本物であることは嫌でも分かります。

 それに……宮下さんが、そんな嘘をつくとは思えませんし。


 つまり彼の言葉は本当で――ってことは、


(フィーンテイルの作者がおりゅうううううううっ!? どどどどどどういうことなんですっ!?)


 パニックに陥るあまり、思わず掛け布団をむぎゅぎゅっと抱き締めてもおおおおおおっ~~~、と声をあげてしまう私。

 頭のなかはとっくに大爆発の活火山状態、お風呂のお湯がだばだば溢れてしまうかのような大騒ぎです。

 だって考えもしませんよね!?

 私の!

 推しが!

 一番身近なお友達だったなんて!


 例えるなら、普段仲良くしてた友人がじつは登録者数2000億万兆人の大人気Vtuberでした、ってカミングアウトされたようなものです。しかも私の最推しです。

 隣のあの人の正体がじつは織田信長の生まれ変わりだった、と言われてしまうくらい凄いのです。

 そんなこと聞かされたらそれはもう私だって布団の上で枕抱き締めてんもおおおおああああああって足バタバタするしかないじゃないですか!


 瞼をぎゅっと瞑り、あうあうと転がりじたばたする私。

 学校では清楚で魅力的なお嬢様と言われますが、私だってごく普通の陵辱好きな女子に過ぎません。ときには感情のまま暴れたくもなるのです。


 ……しかも……

 ああ、しかも。

 いま思い返してみれば!


 私、そんな彼に向かって――ドヤ顔で、陵辱ものの魅力を語っていた!


(んもおおおおおっ!!!)


 痛い痛い痛い、これはあまりに痛すぎます!

 釈迦に説法。

 猿に木登り。

 竿男に竿役の心得。

 現役小説家様に向かって自称専門家(笑)が「これだから最近の作品はダメなんだ」と鼻高々に語るくらい恥ずかしいことであり、恥辱のあまりおわはああああああんもおおおおおとなるのもやむなしなのです。


 もう恥ずかしくて起き上がれない。

 うっうっ、と布団を抱き締め、心の高鳴りが抑えられず、目の奥がぐるぐる回転していきます。

 身体の芯から燃え上がるような、感情をぐちゃぐちゃにかき混ぜたような感覚を味わいながら、悶絶する私。


 ……でも。

 それでも――


(…………でも、凄かったなぁ。あのとき見たファイル、すごかった!)


 宮下さんのパソコンで目に焼き付けたシナリオファイルは忘れません。

 大量に差し込まれた赤字の修正痕。

 それに返信されていた、それ以上に膨大な指摘量。

 初案もちらっと読んだのですが、キャラ設定も内容もいまとは大分異なります。当初はもっと気弱な少女が主人公になる予定だったり、メイン武器が槍ではなく剣だったり。

 その修正量は、そのまま宮下さんが悩み考え、迷った証なでしょう。


 それを……私は素直に、尊敬します。


 同学年の一生徒が、勉強の合間にあれだけのことをこなしている――

 凡人の私には信じられません。

 お遊び感覚で行ってる部活動なんかより余程凄いですし、実際にそれで収入を得ているのでしょうからもっと驚きです。


 ……いやまあ、宮下さんはもともと凄いのですけどね?

 成績優秀でえっちな本の見識も広く、調査能力も高いうえ、いざという時に助けてくれる勇敢さも持ち合わせた凄い人、というのが私の宮下さんに対する認識です。

 なにより――私が欲しいときに、欲しい言葉をくれる人。

 本当、私みたいな一学生には、想像もできない人。


 ……とまあ、格の違いがありすぎて。


(どうしましょう。明日から、合わす顔が無いのですけど!)


 んああああ、とまた足をばたつかせる私。


 私は好きなものには「好き!」と突撃する性格ですが、推しの作品にきゃあきゃあ遠くから声をあげるのと、推しの人がリアルにおはようと挨拶してくるのでは意味が違います。

 現役イケメン俳優さんと毎日顔を合わせるようなものです。

 あああどうしようどうしよう。

 明日から宮下さんに、普通に挨拶できる気がしません。

 顔を合わせた瞬間、赤面してぷいっとそっぽを向いてしまいそう……


 あうあう。

 すっかり混乱してしまった私は、明日の学校をどうしようと考えて、


「へくちっ!」


 うっかり、くしゃみをしてしまいました。

 鼻を噛みながらふぅと一息つきましたが、興奮のあまり身体が火照りすぎて、なんだか熱っぽいです。


 ……ん。あれ?

 もしかして私、本当に風邪かなにかで発熱してません?


 これはいけないと思いましたが、同時にずるっこい私は閃きます。

 風邪。

 ええ、考えるには良い機会です。ということで――


「よし。ずる休みしましょう。その一日を使って宮下さんのことについて考えます……!」


 私はベッドから起き上がり、階段を下って「お母さーん明日ずる休みさせてー!」と声をあげました。

 うちの両親は娘大好きの甘ちゃんなので、ずるしたい時には嘘をつかず「ずる休みします!」と話せばある程度は許してくれるのです。

 もちろん成績を維持した上での話ですし、年何回までと決まってますけど!

 そしてあっさり許可を貰った私は、とりあえずゲームして気分転換することに決めました。


 え、風邪?

 そんなものは明日休むと決めた時点で治りました!


 そして考えすぎても仕方ありません。明日のことは明日考える!

 大抵のことは寝れば解決するのです。

 明日、宮下さんがいきなりお見舞いに来るなんて不意打ちがなければ、私は万全な状態で一休みして頭をスッキリさせ、宮下さんと向き合うことができるでしょう。

 という訳で私はその日ゲームを堪能し、お風呂にのんびり浸かりながら一日リフレッシュに努めるのでした。



 ……ああでも本当、宮下さんって凄い人だったんだなぁ。

 顔を合わせるのが照れくさい――本当、どうしようかなぁ、ああ本当、身体が火照るくらいに恥ずかしい――


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