名探偵、白峰円の事件帖を記録するのは私の仕事です。
なろうラジオ大賞用に書きました。元々は2000文字程度の作品でした。
楽しんでくださいね。
「くっくっくっ!さぁ泣け喚け!これを差し込み、引き抜けばお前は死ぬ。死ぬんだ」
「いやぁ…」
その人物は、ナイフを深々と差し込んだ。
「そう……その顔が見たかった!!」
その人物はその場から去って行った。
「あっ!白峰さん!こんな所に居たぁ。探しましたよ。お客さんですよ」
私は、三枝柊。25歳。住み込みで探偵の助手をする傍ら夜間のコンビニアルバイターだ。
その日、探偵事務所に依頼が舞い込んだ。
「私は如月やよいと言います。写真の女性は双子の姉です。私は絵師をしています。仕事のことで姉と5日前に大きな喧嘩をしてしまったんです」
「ほう喧嘩ね。それで?」
「姉は家から出て行きました。私は追いかけませんでした…」
「今日まで連絡なくということですか?携帯やLINEは?」
「反応ありません。既読にもならないし…」
「そうですか。お受けしましょう」
「私は少し調べ物をしてきます。 如月さんには2日後にこの事務所まで来てもらうように連絡しておいてくださいね」
白峰は2日後の朝、帰ってきた。
そして如月やよいも現れた
「やよいさん。貴女、人を刺しましたね?」
「貴女の手傷ですが、貴女がお姉さんを刺した時についた物ですね?」
俯いたまま小さな声で告げた。
「……私は…姉が……あいつが憎かった。なんでも、かんでも全て奪っていく姉が! どうして、みんなあいつばかり!私は努力もして頑張ってきたんだ!だから……」
「貴女の姉さんは、なぜ彼を奪ったと思わせたか知っていますか? また仕事の事も?」
「貴女の彼氏、複数の女性と関係を持っていたようですね?しかも女性に借金を負わせ最後は風俗などに沈める…かなり性悪なスカウトとして知られていたようですよ」
「嘘よ!たかしは!」
「それに、貴女の作品ですが、画廊がかなり仲介手数料をボッていたようですよ?」
「それを知った貴女の姉さんはどうしたと思いますか…」
「そんな…ありえない…ありえないわ…」
「そう、貴女に恨まれてもいいと思いした事ですよ。全ては貴女を守るために」
やよいの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「うわぁぁぁぁぁ」
そして白峰はポケットから一枚の紙を出した。
「生きてますよ。お姉さん。通りがかった警察の方がすぐに警察病院に連れて行ったそうですよ」
「コレからどうするかは貴女次第ですよ」
後日、私が勤める探偵事務所に手紙が届いた。
それには新聞記事と手書きの便箋に感謝の言葉が書かれていた。
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救いがあるエンドシーンが私は好きです。
探偵ものだけど悲劇ばかりは辛いですからね。