表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

殺し屋

作者: うっすらみどり

お題:


〇まくら

〇沈む

〇××がなければ即死だった

 俺は殺し屋だ。今回のターゲットの部屋の天井裏に潜んで一時間が経過した。

 ターゲットは47歳・会社員の男性、山下トモアキ。独身で安い二階建てアパートの203号室に住んでいる。十五分前に帰宅した山下トモアキは、スーツから部屋着らしい甚兵衛に着替え、買って帰ったコンビニの総菜をつまみに日本酒を飲んでいる。

 頭上に殺し屋がいることに気づいた様子もない。今夜の仕事は楽なものだ。

 アパートは築年数が相当なもので、天上板は一切の細工をしなくても隙間が多かった。指一本でも動けば、山下は異変を感じるかもしれないが、それなら一切動かずに殺せばよい。

 俺の武器は吹矢だ。

 即効性の高い毒針が一瞬でターゲットの命を奪う。音もなく、隙を狙えば暴れられることもない。

 あらかじめスタンバイしていた矢の延長上に山下が来た瞬間に、息を吹き込むのだ。山下の死亡を確認してから部屋に侵入し、山下の持ち物の包丁で首を切るなりして、自殺を装う。この男にはたいした資産も名声もないから、警察が詳しく調べることもないだろう。

 のそ、と山下が立ち上がる。

 一つあくびをして、ベッドに向かう――今。

 緊張も不安もない。全くいつも通りに俺は息を吹き込む。次の瞬間、山下は静かに倒れ、息を引き取る…………はずだった。

 キイン!

 高い音がして、山下が足を止める。俺は目を疑った。

 山下の首に刺さるはずだった毒針は、その手前で、山下のワンカップのガラス瓶に突き刺さっていた。

「のんでいなけりゃ、即死だったな」

 くつくつ、と山下が喉を鳴らす。笑ったのだ、と理解したのは一瞬後だ。

 失敗した、と判断するや、速やかに撤退に移る。

 伏せていた板の上から、太い梁に体を乗せようとして、体が沈む。腹の下の天井板が突然傾いた。

「やっぱり男かぁ。華がないねぇ」

 天井板の一部がはずれ、宙に浮いた俺の足を山下がつかんでいた。自由な片足で蹴りつければ、奴はあっさりと手を離した。音が立つのも構わず、天井裏から空き家の205号室に降りる。ベランダから飛び降りて、俺の足を銃弾が掠める。

「はっ!?」

 203号室のベランダに山下がいる。黄ばんだ枕を手すりの上で緩衝材にして、サイレンサー着きのライフルで俺を狙っていた。

「俺は引退したんだが……殺しに来るってこたぁ、やり返される覚悟があんだろうな」

 その瞬間、俺は思い出した。

 暫く前に姿を消した伝説のスナイパー、Y。奴は、依頼には金とは別に酒を要求するほどの酒好きで、たしか飲めば飲むほど強くなる。

 まさか、それが山下――……。


「おうい、バッチャン、バッチャーン!!」

 203号室のベランダから、一階へ大声を出す。

「うっせーぞ、ヤマシタぁ!!」

「くたばれヤマシタぁ!」

「うるせぇ。てめぇらも殺すぞ」

 下の階の住人と舌戦を繰り広げていると、一階の角部屋から、85歳の大家が顔を出す。

「何時だと思ってんだい。叩き出すよ」

「おう、バッチャン。今度も俺が勝ったぜ。引退したんだからよう、もうタマ雇うの止めてくれや」

「なんだい、若いもんは根性がないね。こんな腹の出た会社員ひとり殺せないのかい」

 老婆が嘆いて、頭を部屋に引っ込める。

 山下はため息をついて、死体の処理のため、最近痛む腰をよっこらせと持ち上げた。

恋愛お題が大すぎぴえんな毎日にさよなら。

ちょうどいいお題メーカーが見つからないなら、作ればいいじゃない。作りました。


創作お題3つだしったー

https://shindanmaker.com/1010061


あれ、思ってたより難しいお題が出るわ……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ