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私のベースとあのこのギターは夢をみる  作者: べるりーふ
第一章
6/6

The Spring Call

 萌路と別れ(と言っても同じアパートだけど)、自分の部屋に帰ってきた。築何年って書いてたっけここ......、見た感じだと10年以上は掛かっているし、お世辞にも真新しい住居とは言えないけど今日からここが私の家なのだ、好きなように家具を揃え、好きなように自分の時間を作れる。一人暮らしってなんて素晴らしいんだろう!

 入学は明後日だし、これから始まるガイダンスや授業がどんなものになるのかも勝手に想像してみたり、サークルでベースを弾いている自分がどんな姿になるのかを考えたりもした。お姉ちゃんから聞いた話だけでは大学生活というものがどんなものなのかが完全には分からなかったから、とにかく楽しみで仕方が無い。

 それに、引っ越し初日から友達も出来た、一緒にバンドを組むことにもなりそうだし、これから待ち受ける未来が薔薇色だってことを確信しないわけがない。早くこの喜びをお姉ちゃんに伝えたいな!


 と、その前にシャワー浴びておかないとね。遅くなるとボイラーの音が響いちゃうし!

 一人暮らしをするとなると電気代とか水道代も考えないといけないんだもんね......。今まではお父さんとお母さんが管理していたことを一人でやらないといけなくなるんだ......。

 お姉ちゃんも最初はこんな気持ちになってたのかな? 暖かいシャワーが全身を包んでいるけど、楽しい学生生活だけでなくて自分自身の生活について考えると身体が固まってしまう自分が居た。


 髪はショートボブだから頭を洗うのにはそこまで時間と水は掛からないかな? 身長も150cmちょっとあるくらいだし、ケアの方だって......、

 なんてこと考えても大して意味無いかな? あんまり難しく考えない方がいいかも、今までと同じ生活スタイル組んでおけばきっと大丈夫、大丈夫のはず......。


 そもそも、水道なんてシャワーが全てじゃないし、自炊だってする予定なんだから一日だけで想像も付かない量の水を出すことになるよね、何を突然不安になっているんだか! どうしてもお金が足りなくなったらバイトすればいいんだし! お姉ちゃんだってバイトしてたんだから色々話聞いて参考にすればいいだけだよ!

 別にホームシックになったとかいうわけじゃないもん!


 ・・・・・・・・・


 シャワーを浴び終えて寝間着に着替え、スマホを開いてお姉ちゃんに電話を掛けることにした。無事に着いたって報告しなきゃだし、今日あったこととかこれから不安なこととか、話したいことが沢山ある。

 LINEの通話画面を開いて左耳にスマホを当てると2コールもしないうちにお姉ちゃんが出てくれた。


『あ、みう。ちゃんと着いた?』

「うん、さっきシャワーから出たとこ」

『そっか、みうが無事に着いたことがわかってお姉ちゃんは安心だよ』

「もう、大袈裟だってば」


 お姉ちゃんは卒業した後、一旦実家に戻ってきたんだけど、数日過ごした後すぐに鳴成市に戻っちゃったんだよね。その時には明るい茶色だった髪も黒に戻っていて、社会人になったら伸ばすって言ってたっけ。

 会おうと思えば会えるんだけど、この大都市のことだから結構距離あるし何より社会人に成り立てのお姉ちゃんは大忙しに違いない。

 お互いもうちょっと落ち着いたら会いに行きたいな。


『大袈裟じゃないよ、私だって仕事中みうのことが心配だったんだからね』

「そういうお姉ちゃんも、仕事とベースの両立出来てるかみうは心配なのです。あんなにかっこよかったお姉ちゃんの演奏が私に抜かされる、なんてことあるかもしれないし」

『私を追い越すのに何年掛かるかな? みうも誰かとバンド組んで、いつかライブハウスで私のバンドと対バン出来たらいいね』

「勿論だよ! お姉ちゃんと一緒にライブしたいもん!」


 お姉ちゃんは卒業後も大学時代に組んでいたバンドの活動を続けている。仕事との両立も大変になっていくと思うけど、それだけベースと音楽が大好きだから出来ることなんだ。


「それに、早速友達出来たんだ! もう一緒に軽音部入るって約束したんだから!」


 お姉ちゃんが入ってたサークル......、どんな所なのかな......。


『そっか、みうならきっと凄いベーシストになれるって、お姉ちゃんは信じてるからね』

「うんっ!」


 この時まで私は、お姉ちゃんがサークルでどんなことをしていたのか、ほとんど知らなかった。

 ただ楽しいだけのサークルだと思っていたけど、そんなことないって、かなり後になって私は気づいたんだ。

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