4話目 宿泊料と食事代が払えないならローンを組むのかPNTを差し出すかいずれかを選びなさい
「これで汎用宿泊施設のの建物は良いわね。
後は家具を入れたり、備品を整えたりと。
確かその手の業者がマドリンから来ているわよね。」
「はい、今日の午後に会えるように手配しています。
親方や店主は風の神殿の方の宿泊施設を先に整えていました。
駄女神夫妻の管理部屋は既に終わっています。
明日からはそちらはしばらくお休みして、こちらの宿泊施設を準備することになると思います。
まぁ、全く間取りが一緒でしょうからやりやすいといっちゃぁ、やりやすいですが・・・・・。」
「まだ、同じ建物だということにこだわっているの。」
「当然ですよ。」
「慣れよ、慣れ。
初めから両方ともこんなんだったと割り切ってよ。」
「まぁ、考えても仕方ないんだけどね。」
「そうそう、肝心なのは儲かるか儲からないかよ。
その謎を解くことで儲かるならいくらでも謎解きに挑戦して頂戴。
じゃ、汎用宿泊施設の方は任せるわね。
なにか問題が出てきたら相談しましょう。
どうせ、しばらくは営業できないんだし。内装や備品が整わないとさ。」
「そういえば従業員はどうしますか。」
「それはマドリンの業者に相談済みだって、カメさんが言っていたわ。
今日、明日にでも派遣業者が来るんじゃないかしら。
しかし、細々と結構な初期投資が必要ねぇ。
まぁ、宿泊施設については王族と族長会議から資金が出るから問題ないけど。
宿泊施設が黒字化するまでは、私たちの給料も含めて、王族と族長会議が諸経費を持ってくれるというしね。
アラナ信徒も修行のつもりで宿泊施設の運営をしてみたらいいわ。」
「なんか、特一風見鶏の村に生まれて、そして、待望の人類との交流が再開して、私は外交の仕事をしたかったのになぁ。
なんで旅館経営なんてしてんだろ。」
「あら、明日は人類領に行くわよ。そして、門前町で買い出し。
その内、人類領からも旅行者がここに来るわよ。
宿泊施設経営を通じて、直接人類との接点を持ち、それを人類とエルフ族の今後の交流と友好に生かす。
立派な外交官の仕事だと思うけど。
特に宿泊施設だから、ここを訪ねてきた人類のお世話をしなきゃなんない訳よね。
これ以上の外交の仕事ってないと思うけど。」
「確かにそうねぇ、何か儲け話ばかりしていたから、儲けないといけないという頭ばかりが先に行って、何か不安になったのかも。」
「あっ、交流は二番だから。一番は儲けることだから。勘違いしないでね。
儲けのついでに外交よ。」
「・・・・・・そうだと思っていました。・・・・・・・」
「さてと、風見鶏のところに戻って、待合所を作りましょうか。
風の聖地の入り口にふさわしい豪勢な作りを。」
「ちょっと聞いて良いですか。」
「どうしたのアラナ信徒さん。」
「汎用宿泊施設はどうしてこんな風見鶏から離れた場所に作ったんですか。
豪華絢爛ほにゃららの仮眠施設に人を集めるためですか。」
「いい質問ね。
てっいうか漸く本題にたどり着いたって感じだわ。」
「じゃぁ、今までの話って、何なの。」
「前座、前菜、食前酒、準備運動、ラジオ体操、模擬試験、嵐の前の静けさ、好きなのを選んでいいわよ。」
「えっと何となく状況はわかったんですが、ラジオ体操って何ですか。」
「何となく頭に浮かんだの、イメージとしてはピッタリのような気がするわ。
でも何だろう。
人類の遠い先祖が、パンツも履いていない頃に、狩りに行く前に皆でやっていた体操かしら。」
「体操と言うくらいだから、まぁ、そんな感じかもね。
ラジオってのは狩りの前の雄たけびかな。」
「まぁ、思い付きだから。
と言うことで、なぜ汎用宿泊施設をここに作ったかね。」
「はい、その通りです。」
「風見鶏と言うか豪華絢爛ほにゃららから汎用宿泊施設までは、越後屋ショッピングパークのメイン施設を少しづつ建てていく予定なの。」
「そうかぁ、ショッピングパークのことを忘れていました。」
「んっもう、大事な施設でしょ。
それを忘れるなんてアラナ信徒はもっと修行を積まないとね。
他の守銭奴教の信徒を指導する司祭にはなれないわよ。」
「うっ、うっ、頑張ります。」
「そっ、頑張りましようね。
話を戻すとね、汎用宿泊施設までは越後屋ショッピングパークが誇る重要施設、集客マシーン群が数百メートルに渡って続くことになるの。」
「集客マシーンですか。」
「そう、そこに一度引き込まれると財布が空になるまでは出で来れないという恐怖のメインストリートになるの。」
「財布が空になるまでですか。」
「そうよ、ありとあらゆる娯楽施設を並べ、どんなに堅物でも汎用宿泊施設にたどり着くころにはパンツ1枚になっているという伝説の通りになるのよ。」
「パンツは残してくれるんですよね。」
「PNTはしょうがないと思わない。まさか、アラナ信徒はPNTも取り上げるというの。
さすがにそれはお勧めできないわよ。
やるなとは言わないけど。
やはり、武士の情けと言うもの必要だと思うの、守銭奴教徒とは言え。
そのぐらいの情けを見せておいて、次回も来たくなるようにするのが筋だと思うの。
PNTまで取り上げられたら、・・・・・・"ふっ"。」
「また、"ふっ"、ですね。それで取り上げられたらどうなるんですか。」
「アラナ信徒はPNTが好きなんですが。明らかに食いつきが違うんですが。
まぁいいわ、アラナ信徒もう一度聞きます、よ~く考えてください。
PNTがないとどうなりますか。」
「そうでですね、PNTがないと・・・・・」
「がないと? 」
「す~ぅ、す~ぅして風邪を引きそうになりますね。」
「ふむふむ、風邪を引くとどうなります。」
「鼻水が出ますね・・・・・・・、あっ、無駄に体の水分が奪われる。
おのれぇぇぇぇ、風邪めぇ。私の水分を奪うとは絶対に許せないわ。」
「うふふふっ、そう。無駄に水分を外に出してしまうことと、それにより体力を奪われるというもっと恐ろしいことが風邪により、PNTが無くなることにより起こりますね。
旅先での嫌な思い出は後々尾を引きますからね。
それで越後屋ショッピングパークのイメージも悪くなり、もう来たくないと思われるが一番困るわね。
ここはやはりPNTの1枚は武士の情けで取り上げず、ガウンを貸し出し、汎用宿泊施設の利用料と朝晩のすいとんの食事代はローンで返済ということで行きましょう。
そうすることで、越後屋ショッピングパークの楽しい思い出ともに風の聖地の巡礼をするという当初の目的を達成することができるわね。」
「最高司祭様、ちなみにそのローンの利子というのは如何ほどにされますか。」
「そうですね私たちも風の聖地に仕える身です。
そうそう、銭の亡者と思われてはいけませんね、建前でも。」
「そっ、そうです。私たちも敬虔な守銭奴教徒であり、風の聖地と風の女神に仕える身ですよね。」
「では格安の十一で。」
「十日で1分ですか。妥当だと思います。」
「はっ、あなたは何を馬鹿なことを言っているの。そんな安い利率でお金なんて貸せないでしょ。」
「あっ、はいっ、申し訳ございません。
それでは訂正して、巷の悪徳高利貸しと一緒の十日で1割ですね。
守銭奴教徒の施設でお金を借りたのが運の尽き、それぐらいの利子は当然ということですね。」
「ちょっと、アラナ信徒、あなたは本当にそんな利率でお金を貸すつもりなの。信じられないわ。
もうちょっと現実を見ましょうよ。
なにもPNT一枚の巡礼者から今すぐすべてを取り上げようというわけではないのよ。」
「まぁ、確かにPNTしか残っていないわけですから、それを取り上げないとすると、もう何も取るものは残っていませんよね。」
「後でゆっくりでいいのよ宿泊料とすいとん代は。そうゆっくりと払っていただければ。」
「で、結局、利率はいくらなんですか。」
「ほんと私って、甘いから、ほんと信じられないぐらい低利率なのよ。
何と。」
「なんと。」
「実は。」
「実は。」
「10分で1分よ、ほんと良心的よね。1割と言わないところが。」
「PNT差し出したほうがましじゃねぇ。」
活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。
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もちろん、聖戦士のため息の本篇の方への感想、評価などもよろしくお願いします
この物語「アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記」は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の外伝になります。
第108旅団の面々は3つのパーティに分かれて行動することになりました。
「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」
の本編はシュウを中心として、月の女王に会いに。
「優しさの陽だまり」はエリナを中心としたエルフ王族の寿命の調査にエルフの王都へ。
もう一つの「 アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記」は駄女神さんを中心とした風の聖地の運営に。
この物語では越後屋さんとアラナちゃんの風の聖地突風待機施設の建設物語を楽しみください。
また、この物語は今後の展開とあまり関係がありません。
ゆるりとした気持ち、生暖かい目で見守ってあげてくださいね。
1日1話更新しています。
10/5より「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。
この物語も「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。
「アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記」の前提ともなっていますので、お読みいただけたらより一層この物語が美味しくいただけるものと確信しております。