3話目 豪華絢爛ほにゃららはなんちゃら倉庫宿泊施設と違って宿泊はしないの
「取り敢えず、宿泊施設の基礎工事と外枠を作っちゃいましょうか。」
「なんかさっきもそれを聞いたような気がするんだけど。」
「さっ、行きましょうか。」
「えっ、どこに行くの。この風見鶏の近くに作るんじゃないの。」
「いいから、いいから、まぁ、付いて来て。」
荒野を7分ぐらい歩いたところだ。
「ちょっと、木と草が、あとは岩も邪魔だわ。
取り敢えず掘り返して、整地するね。それっ。」
ものすごい音がしたと思ったら、すごい土煙が上がって、前が見えなくなった。
その後も5分ぐらい轟音と土煙が続いた。
私たちは轟音が止まって、土煙が晴れるのを待った。
職校の寮ぐらいの広さの土地が整地されていた。
「すごい。あっという間ですね。」
「さぁ、これらが本番よ。」
「いよいよ建物を建てるんですか。」
「そうよ。取り敢えずここは職校寮と同じ作りでいいわね。寝られればいいわけだし。」
「なんか、シュウ君から豪華絢爛長期滞在にうってつけ駅近飯うま従業員も親切対応王室御用達ホテルとまでとは言わないから、ホテルに申し訳がなくてホの字も使えない従業員も受付で金をとるだけで何にもサービスがなくキャンプ飯をとりあえず食っとけ本棚がベッド代わりの倉庫宿泊施設にだけはしないように、人としての尊厳を損なうような施設だから、絶対に阻止してくれと言われたんだけど、大丈夫よね。
でもその、なんちゃら倉庫宿泊施設って、そんなにひどいの。」
「そんなことはないと思うわよ。実際、第1083基地では繁盛していたし。」
「ちなみに、最高司祭様はタダだったらそこに泊りますか。」
「ムリ。お金をもらってもムリ。」
「わかりました。
なんちゃら倉庫宿泊施設仕様だけは絶対やめてください。」
「当然よ、私たちも宿泊施設の管理者として泊まり込むわけだからね。
だから、職校の寮と同等にはするわよ。」
「本当ですよね。絶対ですよ。
守銭奴教の最高司祭様がお金をもらっても泊るのが無理な施設なんて、ガクブルですから。」
「まぁ、見てなさって。ちゃっちゃと作るわよ。それ。」
また、轟音と物凄い土煙が舞った。
轟音は5分ほど続き、土煙が晴れるまでにはさらに3分ほどの必要だった。
「さぁ、これが風の聖地突風待機施設の汎用宿泊所よ。」
「ここれは・・・・・・いったいどうしたことなの・・・・・・・。」
「アラナ信徒、どうしたの。呆然と見上げちゃって。
ああっ、そうか。もしかして、土属性魔法による建築法を初めて見て、感動しているのね。
ちぇっ、見物料を取ればよかったわ。
私としたことが、迂闊だった。」
「そうじゃなくてですね。
私、この同じ建物を見たことあるんです。建物の形、色までもそっくりです。
間取りも知っているわ。
建物の真ん中で男女別、部屋は個室になっていて、その真ん中は管理人さんの住居なんですよね。」
「えっ、なんでそのことを知っているの。
その通りだけど。アラナ信徒は人類領なんて来たことはないわよね。」
「そうなんだけど、私は先週に風の聖地の宿泊施設に泊って、あっちの方の準備をしていたからこの建物の形を見間違えるはずはないのよね。
そんな偶然ってあり得るの。」
「まぁ、いいんじゃない。おんなじ建物が3つあっても。
職校でいらなくなった、家具や備品をタダで貰えるかもしれないし。
建物の規格が同じだときっと入れやすいし、使いやすいでしょ。」
「えっと、そのっ、気にするところはそこなの。」
「何かまずい事でも。ただで使いやすいものがもらえるのよ。
あっ、そうだ。
職校を卒業して寮を出る奴らから、何か使えそうなものがないか聞いてみようかなぁ。
どうせ、明日はお土産の仕入れに教会本山に行くんだし。
丁度、これから引っ越しシーズンなのよね。」
「同じ建物がいつ建てられたかもわからない忘れられた風の聖地と人類領にあるのよ。おかしくない。」
「まぁ、そんなものよ。機能美を追求すると形は似てくるんじゃない。
いずれにしても、これでアラナ信徒がシュウ君に依頼された宿泊施設がなんちゃら倉庫宿泊施設仕様でないことははっきりしたでしょ。
良かったわね、仕事が一つ減って。」
「もう、いいです。最高司祭様のおっしゃる通りです。
同じ建物が3つもあることの謎を追求するより、なんちゃら倉庫宿泊施設仕様でないことが大事なことです。私たちもそこに泊るわけだし。」
「んっ、ここに泊まるのはあなただけよ。ここの管理者だから。」
「私だけ? 私が管理者?
そう言えばここを汎用宿泊施設と言っていたような。他にもあるんですか。
まさか、汎用じゃなくて激安用になんちゃら倉庫宿泊施設仕様のものを作るとか。
やっぱり作っちゃう気だったんですね。止めましょうよ。」
「そんなのを作ったら管理人の私がそんな倉庫に住まなきゃならなくなっちゃうでしょ。
だからなんちゃらは作んないって。」
「それを聞いて安心したわ。で、最高司祭様が管理する宿泊施設はどのようなものですか。」
「決まっているじゃない。豪華絢爛長期滞在にうってつけ風見鶏と風の聖地が劇近飯うま従業員も親切対応王室御用達ホテルよ。
シュウ君もそっちは作るなと言ってなかったでしょ。」
「確かに・・・・・。
でも、そんな豪華な施設をこの似非職校寮の近くに作ったらなんか見た目から差がありすぎて、同じ値段じゃ、皆、豪華絢爛ほにゃららホテルの方に殺到するんじゃないですか。
あっ、そうか、そっちは一日3組の限定なんで、似非職校寮の方にも客が来るってことね。さすがだわ、客寄せのプロだわ。」
「んっ、ちょっとと言うか、かなり違うわね。」
「えっ、違うの。」
「いくつか違うわよ。
第一に、豪華絢爛の方は風見鶏の施設と一体化させるの。
さっきも風見鶏と風の聖地が劇近だと言ったわよね。」
「確かに、風見鶏の小屋からここまで歩いて7分もかかるわ。」
「第二に、同じ宿泊料ではないわよ。私たちの自由設定よ。」
「でも、宿泊施設の食事と宿泊料はソシオさんが決めることになっているわよ。」
「汎用似非職校寮の方はそうしてください。」
「えっ、宿泊施設はすべてそう言うことになるんじゃないの。」
「あっ、ごめんごめん、これから建てるが豪華絢爛長期滞在にうってつけ風見鶏と風の聖地が劇近飯うま従業員も親切対応王室御用達ホテルと言ったので、宿泊施設と勘違いしたのね。」
「えっ、ホテルって宿泊施設施設ですよね。」
「なんちゃら倉庫宿泊施設と明確に区別するためにそのような言い方をした私が悪かったわ。
施設名を正確に言うと、豪華絢爛長期滞在にうってつけ風見鶏と風の聖地が劇近飯うま従業員も親切対応王室御用達待合所よ。」
「宿泊施設ではなく待合所だというのね。でも、長期滞在と言うのは宿泊が前提じゃぁないんですか。」
「食事も仮眠もできます。そんな仮眠施設に朝まで過ごしていただいても、何日でも仮眠をとってもらっても構いません。
でもそれはホテルではありません。税金(死神さんへの上納金)もないんです。」
「だから、仮眠したまま夜を越せるということは、それはもはや宿泊施設と言う・・・・・」
「違います、もう一度言うからよく聞いてね、豪華絢爛長期滞在にうってつけ風見鶏と風の聖地が劇近飯うま従業員も親切対応王室御用達待合所よ。
宿泊施設なんて言っていないわよ。」
「でも、長期滞在ってことは宿泊・・・・・・」
「違います、もう一度言うからよく聞いてね、豪華絢爛長期滞在にうってつけ風見鶏と風の聖地が劇近飯うま従業員も親切対応王室御用達待合所よ。
宿泊施設なんて言っていないわよ。」
「あっ、確かに宿泊施設ではないような気がしてきました。
失礼しました、私の思い過ごしですね、最高司祭様。」
活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。
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もちろん、聖戦士のため息の本篇の方への感想、評価などもよろしくお願いします
この物語「アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記」は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の外伝になります。
第108旅団の面々は3つのパーティに分かれて行動することになりました。
「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」
の本編はシュウを中心として、月の女王に会いに。
「優しさの陽だまり」はエリナを中心としたエルフ王族の寿命の調査にエルフの王都へ。
もう一つの「 アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記」は駄女神さんを中心とした風の聖地の運営に。
この物語では越後屋さんとアラナちゃんの風の聖地突風待機施設の建設物語を楽しみください。
また、この物語は今後の展開とあまり関係がありません。
ゆるりとした気持ち、生暖かい目で見守ってあげてくださいね。
今日から1日1話更新予定です。
10/5より「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。
この物語も「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。
「アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記」の前提ともなっていますので、お読みいただけたらより一層この物語が美味しくいただけるものと確信しております。